
誰かに褒めてもらうために頑張る人生は苦しい
子どもや部下の育成というのは難しいものだ。褒めたり、叱ったり、期待したり……日々、試行錯誤している人は少なくないだろう。だが、日本随一のスポーツドクターである辻 秀一さんは「褒めることは、人をダメにしていく認知的なアプローチです」という――。
※本稿は、辻秀一『自己肯定感ハラスメント』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Ольга Simankova※写真はイメージです
「褒める」は、人をダメにする
「褒めて子どもを伸ばそう」という発想が蔓延しています。
「褒める」のは、結果に依存しがちですし、さらには、褒められる他者への依存にもつながります。「○○さんに褒めてもらうために、結果を出さないといけない」というような考えです。
それが、親や保護者になると、子どもはますますその考えの基に人格を形成していくことになるでしょう。それこそが親子でつくり出す自己肯定感呪縛ファミリーになります。
「褒める」は、実は人をダメにしていく認知的なアプローチです。怒りで人を動かすのも、褒めて人を動かすのも、相手を自分に依存させていくやり方です。あの人に怒られないように顔色をうかがい、あの人に褒めてもらうために頑張るという呪縛の構造です。自分らしく伸び伸びと、そしてイキイキと生きていくことにはなりません。
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