G7参加で浮き足立つ韓国の文在寅氏に、米英が巧妙な罠

G7参加で浮き足立つ韓国の文在寅氏に、米英が巧妙な罠

  • JBpress
  • 更新日:2021/06/11
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G7の会場となる英国南西部のコーンウォール

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「クアッド+韓国」特別招待の意味

先進7カ国首脳会議(G7サミット)が6月11日から3日間の日程で英国の南西部コーンウォールで開かれる。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行が続く中、対面開催は約2年ぶり。

英政府は開催に当たり、各国代表団の人数を抑え込んだほか、記者団の取材機会も厳しく制限。首脳の記者会見もほとんどがオンラインで行われる見通しだ。

そうした中で、英国は今回のサミットにメンバーでないオーストラリア、インドのクアッド2か国と韓国を特別招待した。

ボリス・ジョンソン英首相が参加国の特別参加を執拗に主張した。G7ホスト国は誰を呼ぶか決める権限がある。

1月以降のG7首脳間のやり取りが手に取るように分かる外交文書がある。

ブルームバーグ通信が入手した同文書からは以下のような経緯が分かる。

豪印は旧英連邦国。しかも米国と日本が推進してきたクアッド参加国だ。韓国を招待することには日本が猛烈に反対した。独仏伊も反対した。

「パンデミック禍でバラバラになりかけているG7の結束を強め、タガを締めることを優先すべきだ」というのが理由だった。

日本は日韓確執が続いている中で「アジアからの唯一のメンバーは自分だ」という自負心からも反対した。

ジョンソン氏の狙いは、豪印とともに韓国を招き、先進民主主義国10か国が一堂に会し、「共通の価値観」「人権」「永続的経済」の下に団結することで「横暴な中国」に対抗するというものだった。

米国はドナルド・トランプ大統領(当時)がロシアを招き、そのついでに豪印韓を入れたG7拡大を提唱した経緯がある。

ジョー・バイデン大統領は韓国のクアッド参加を諦めていない。この際、文在寅大統領をG7のスペシャル・ゲストとして招き、先の米韓首脳会談でかけた圧力を他の先進諸国6各国の前でさらにかけたいところだ。

米国には、韓国を自分のジュニア・パートナーとしてG7の檜舞台に立たせることで、中国離れを加速できるといった魂胆があるのだろう。

https://www.business-standard.com/article/international/japan-pushes-back-against-uk-plan-to-invite-india-others-to-g-7-meeting-121012701307_1.html

韓国よ、もっとメニューを増やせ!

日独仏伊の反対を押し切り、英国の提案が通って韓国は招待される。

韓国メディアによれば、文在寅氏は米韓首脳会談では、400億ドルのお土産(韓国企業の対米投資)を持参した「朝貢外交」が功を奏して、当面米国からの圧力は避けて通れると思っているようだ。

「先進国仲間入り」を果たせると意気揚々と英国入りするのだろうが、「行きはよいよい、帰りは怖い」ことになりそうだ。

G7の中国包囲網に加われば、米韓首脳会談以降、中国がこれまで抑えに抑えてきた憤りが、堰を切ったように爆発するのは必至だ。

米国は、G7の韓国の言動を「新な証文」にクアッドとのより一層の連携を要求してくるに違いない。

カート・キャンベル・インド太平洋調整官(准閣僚級)は5月26日、オンラインイベントでこう述べている。

「クアッド首脳会議は3月にテレビ会議方式で行われたが、次回は対面会合を今秋に開催したいと思っている」

「クアッドと連携したい国があれば、扉は開いている」

この発言を国務省担当の英国人記者G氏はこう読み解く。

「韓国は、米韓首脳会議でクアッドへの即時参加を避けるためにインフラ分野やハイテク分野で協力した。知恵を絞った『アラカルト方式』だった」

「米国が出したアラカルト・メニュー(つまり提携、協力できる分野)から韓国は可能な限りのアラカルトを選んだ」

「今回は、もっとアラカルトの数を増やせと、G7首脳の前で誓約させるつもりだろう」

「今すぐクアッドに参加できないのなら、別の方法を秋までに考えろ、というわけだ」

「米国は、(クアッド首脳会合が開かれる)秋までという閂(かんぬき)をかけたのだ。韓国を特別招待したのはジョンソン氏とバイデン氏の共同陰謀だ」

中国次第でアジア版NATOへの発展も

バイデン政権はトランプ前政権の政策をことごとくひっくり返している。だが、唯一継承しているのは対中政策、特にクアッド戦略だ。

共和党系の「ワシントン・タイムズ」のベテラン外交記者、ゲイ・テーラー氏がバイデン政権の外交担当高官(数人)と単独インタビューし、クアッド戦略についてただしている。

高官たちはこうコメントしている。

「クアッドはインド太平洋地域における米国の政策の中心的な核である。ホワイトハウスは現在、秋のクアッド首脳会談を開催する準備をしている」

「バイデン政権は外交上のイベントとしてこのクアッド首脳会議を最重要視している」

「中国との経済に大きく依存する国々を中国からの圧力から守る法的岩盤(Legal bedrock)を構築するのがバイデン大統領の目標だ」

「ただ現段階では、急いで参加国を増やすプランはない。より多くの国がクアッドと連携することを奨励はしている」

バイデン氏が副大統領の時に外交政策のアドバイザーだったジェイコブ・ストークス氏(現在、シンクタンク「ニュー・アメリカン・セキュリティ」研究員)はバイデン政権の高官たちの本音をこう代弁する。

「バイデン大統領の狙いは、クアッドが将来、どのような行動やイニシアチブを取るか。コアとなる日米豪印がインド太平洋地域だけでなく、世界中の国をクアッドに組み入れるプラグ的役割を果たせるかどうか、だ」

「クアッドのゴールは、他の国々もワクチン、ハイテク、インフラ、航海の自由、安全保障を渇望する国々にその機会を提供することだ」

「中国が自らの核心的国益を追求することで各国が不利な状況にならないための防波堤だ。それは中国の出方次第でアジア版NATO(北大西洋条約機構)にだってなりうる」

https://www.washingtontimes.com/news/2021/jun/6/biden-not-seeking-to-add-countries-to-quad-to-coun/

第1次石油危機を受け、1975年、仏ランブイエで始まったG7サミット。

今回開催地のコーンウォールは美しい砂浜がある風光明媚(めいび)な海辺の保養地で、英国の人気観光地の一つ。

推理作家アガサ・クリスティのミステリー作品でしばしば舞台になっている。

文在寅氏は招待状を手に意気揚々とお出かけになるご様子だが、米英の企む「クアッド・ミステリー」には十分ご注意を!

高濱 賛

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