
「悲しさと情けなさとつらさ…がこの展覧会の目玉」 建築家・内藤廣さんの企画展 島根県益田市・グラントワ
島根県益田市の島根県芸術文化センター『グラントワ』の設計を担当した建築家・内藤廣さんの企画展がグラントワで始まった。
内藤廣さんは、グラントワをはじめ数多くの大型施設の設計を手掛けている日本を代表する建築家だ。
内藤廣さん
「悲しさと情けなさとつらさと、そういうのが詰まったのがこの展覧会の実は目玉でありまして。負け話がかなりの量を占めてますので、それも楽しんで観ていただけたらという思いです」
この企画展は“Built”と“Unbuilt”と題し、内藤さんが設計して実際に建設された建物と、一方で実現しなかった建物の双方を紹介している。
“Built”の展示室では、三重県鳥羽市の海の博物館や山口県周南市の徳山駅前図書館、また高知市の牧野富太郎記念館など37のプロジェクトの建物模型や図面などが展示されている。このうちホールと美術館の複合施設として2005年にオープンしたグラントワは、内藤さんの経歴の中でも大きな節目となった代表作のひとつ。単独で設けられたコーナーにはコンペ(設計競技)の際の提案書や工事中の写真など貴重な資料も展示され、注目を集めている。
一方、“Unbuilt”の展示室ではコンペに敗れるなどさまざまな事情で建設されなかった建物と現在建設中でまだ完成していない建物を合わせた43のプロジェクトが紹介されている。
内藤廣さん
「負けてる時は負けてるなりの理由があって、たぶん自分がその思い入れが強すぎたり、あるいは弱すぎたりチューニングがうまくいってないんですよね。グラントワの時はうまかったんだろうね、それがピタッと」
建築家・内藤廣さんの仕事の軌跡を追う企画展は、島根県益田市のグラントワで12月4日(月)まで開かれている。