ジェーン・スー&佐久間宣行“中年期の葛藤”を語る フリーの心得は「真面目な納品」

ジェーン・スー&佐久間宣行“中年期の葛藤”を語る フリーの心得は「真面目な納品」

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  • 更新日:2021/06/11
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ジェーン・スーと対談を行った佐久間宣行氏

コラムニストのジェーン・スー(48)、テレビプロデューサーの佐久間宣行氏(45)が、MIRAIL・Amazon Prime Video・U-NEXTにてオンライン上映される映画『47歳 人生のステータス』(11日公開)の配信記念ポッドキャストトーク番組に出演した。

【音声】ジェーン・スー&佐久間宣行“中年期の葛藤”を語る

『ムーンライト』『ミナリ』等でアカデミー賞を受賞するなど、社会問題に独自の目線で切り込む作品を数多く手がけるブラッド・ピット率いるプランBエンターテインメント製作の同作。『スクール・オブ・ロック』の脚本を手掛けたマイク・ホワイトが監督、ベン・スティラーを主演に迎え、ミッドライフを迎えた男性の悲哀と再生をユーモラスに描いた人生賛歌となっている。

申し分ないキャリアと幸せな家庭を手に入れている47歳の中年男性ブラッド(ベン・スティラー)は、大学進学を目指す息子と2人でボストンへ向かう。その旅で経済的にも社会的にも成功した旧友たちと再会したブラッドは、次第に自分が築いた家族や仕事が果たして最高のものなのかと疑問を抱き始め、自分の人生を見つめ直していく。

先日、佐久間氏がパーソナリティーを務めるニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン(ANN)0(ZERO)』(毎週水曜 深3:00)で、ジェーン・スーがゲスト出演を果たし、仕事観などについてトークを展開したが、このポッドキャスト番組でも、映画の内容を通して、熱い議論が繰り広げられた。

【ジェーン・スー】こんなに笑えないベン・スティラーは初めてでした。ずっと不安で仕方がないベン・スティラーを見るのも初めて。あまりにも彼の言動や心境に共感できなくて、逆に目が離せませんでした。

【佐久間宣行】スーさんの第一声が「こんなに共感できない、こんなに笑えないベン・スティラーは初めてだった」ということだったのですが、僕は笑えて共感できちゃうんですよ。僕はわかるけど、人と比べてステータスを考えるのは少ない方かなと。3月までサラリーマンをやっていたので、出てくる登場人物はデフォルメこそされているけど、ほぼいるなと感じました。

【ジェーン・スー】学生時代には仲良く競ってきた男たちですが、40代後半にもなると、それぞれの人生が固定してしまう。その残酷さ。持ち家・役職・子どもの進路など、自分自身とは違うところで別の競争が始まったりするのかなと。女の人は20代から始まっているんですよね。結婚する・しない、子供を産む・産まない、仕事を続ける、続けないとか…。男の人は、社会的な成功が明確なゴールとされてますよね。女の人は、いまだに家庭での成功って言われちゃうのと同じく。ブラッドはちょっと災難にも思いました。周りの友人がみな、ずば抜けて社会的に成功しているわけですから。

【佐久間】僕はやっぱり、ブラッドと息子との関係がけっこうきつくて。子どもが受験になって、自分だけじゃどうにもできなくて、成功した友人の力を借りないといけない。自分と同じようなことが訪れたら、本当につらいだろうなと。職業的なことでいえば、40歳で決着つく、ここからなかなか逆転できないと言われることがありますが、僕が働いている中でいうと、30代後半くらいに、みんな1回キャリアのクライシスみたいなのを迎えていましたね。

【ジェーン・スー】私がミッドライフクライシス(中年期の心の葛藤)という言葉を聞いたのが、17~18年前で、その頃はまったくピンとこなかったんです。30代半ばになって、脱サラしておそば屋さんを始めたり、まったく別の仕事を始めたりっていう人たちがでてきた。そのうち家庭を捨てたりする人もでてきて、言葉の意味を体感しました。

【佐久間】テレビ局って、30人くらい新卒で入ったとしたら、制作に7人くらい入って、ADで耐えられなくてやめる、ディレクターになってから企画がまったく通らなくて、ほかの部署に行く人とかもいて。終身雇用なので、そういう同期もずっといるんですよ。だから、同期の中での競争は常にあるというか…。あとは「オレは仕事じゃないから」という人もいるし。その考えは全然いいんですけど、それをことさらに言うようになったり…。30代後半くらいから、組織の中で「自分はここで満足しているんだ」というのをアピールするようになったなという感覚がありました。この映画が新しいけど、その分きついなと思ったのは、パートナーでも息子でもなくて、自分に責任があると実感せざるを得ないところでしたね。それは、大きく考えると社会の問題になると思うんですけど。

【ジェーン・スー】年齢的にもキャリアが伸びない、下り坂になった時に突然くるんでしょうね。

【佐久間】体調と体力の問題もあるでしょうね。40代の後半を迎えてから、自分の中で新しいものにチャレンジすることを許される人が少なくなってくる。

【ジェーン・スー】会社にいると、ちょうど中間管理職ですから「プレイヤーから降りろ」という感じですもんね。そこもきついんでしょうね。

【佐久間】会社組織の中ですごく共感できる出来事として、恥ずかしくて苦しくて悲しいっていう感じになりましたね。

【ジェーン・スー】私はブラッドに対して感情的に寄り添うことが難しかったのですが、作品としてはすごく面白かった。異性に対して「なぜわかってくれないの?」とか言ったらダメだなと。こっちも全然わからないのだから。こうやってブラッドのように自分の人生に不安を感じているということを、ちゃんと見せてくれる男性が増えてくれば、もう少し理解できるようになるのかなとも感じました。ブラッドの不安定さは、よくも悪くも、妻には伝わっていないですよね。

【佐久間】ブラッドが感じているようなことは女性の中にも、もちろんあると思うのですが、ブラッドがきついのって、家族の中でもカッコつけているところだなと。

【ジェーン・スー】もちろん、個体差があるという前提があるとしても、社会が男性に期待してきた役割と自分との乖離というのがありますね。ブラッドの中には、家族にとって、自分は頼りがいがある夫でありたいという理想の形があって、そうなればなるほど、胸を開いて弱さをさらけ出すことができない。どうしたら、そこが開けるようになるのか…。

【佐久間】ブラットに起きている出来事は、それ自体は小さいことなんですけど、こんなに社会問題に派生できるっていうのは、やっぱりいい映画なんだなと思います。

【ジェーン・スー】同世代の女性も見たほうがいいですね。架空の話じゃないんだよっていう。

【佐久間】僕からスーさんに相談するコーナーもあるということで、ひとつ質問をさせてください。僕はずっと組織人だったところから、4月にフリーになって1ヶ月半くらいが経ちました。スーさんは、フリーの状態になったのはいつですか?

【ジェーン・スー】人から雇われるのをやめたという意味では、35歳ですね。

【佐久間】もちろん、これだけっていうものはないと思うのですが、フリーでやっていくにあたって心に持っておけばっていうのはありますか?

【ジェーン・スー】「真面目な納品」ですね(笑)。自分が会社員だった時に、フリーランスの人と働く機会がたくさんあったんですけど、どういう人と働きたいかと考えると「真面目な納品」をする人だったので。会社という看板がなくなった分、信用が完全に個人にかかってくるので、失敗をしたとしても、その後の対応だったり、次につなげる何かができないかというところでしょうか。

【佐久間】たしかに、真面目な納品は大事ですね! これ、名刺に書こうかな(笑)。健康に気をつける、一つひとつの仕事を真面目にやるということを改めて肝に銘じます。

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