いかにもグアルディオラらしい負け方。モウリーニョの思う壺、マンチェスター・シティは不完全なまま【分析コラム】

いかにもグアルディオラらしい負け方。モウリーニョの思う壺、マンチェスター・シティは不完全なまま【分析コラム】

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  • 更新日:2020/11/22
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【写真:Getty Images】

モウリーニョの思う壺

プレミアリーグ第9節、トッテナム対マンチェスター・シティが現地時間21日に行われ、2-0でトッテナムが勝利を収めた。シティは66.1%のボール保持率を記録しながら、DFラインの裏を取られて2失点。クラブはペップ・グアルディオラとの契約を2023年夏まで延長したが、同じような負け方を繰り返すのは相変わらずだ。(文:本田千尋)
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いかにもペップな負け方だった。11月21日に行われたプレミアリーグ第9節、マンチェスター・シティはトッテナムに0-2で完敗。ペップ・グアルディオラ監督は、宿敵ジョゼ・モウリーニョのゲーム・プランを打ち崩すことができなかった。

スパーズはステーフェン・ベルフワインが4試合ぶりにスタメン復帰。ボール奪取時にはワントップのハリー・ケインが下がってボールを受け、このオランダ代表の快速ウインガーとソン・フンミンが2トップ気味に飛び出す形が目立った。

このようにベルフワインが先発した時点で、敵が割り切ってカウンター狙いなのは明らかで、そういった意味では、ペップとしても序盤の失点は何が何でも避けたかっただろう。しかし、5分にシティはあっさり失点してしまう。モウリーニョからすれば、後は“バスを停めて”カウンターを仕掛けるだけだった。

それからはペップ・シティがボールを支配はした。左SBのジョアン・カンセロがインサイドにポジションを取って、ロドリと共に配球を担当。ベルナルド・シウバとケヴィン・デ・ブライネが両ワイドに張るなどして、攻撃に厚みを持たせる。トッテナムはペナルティエリア付近に釘付けとなったが、もちろんそれはモウリーニョの思う壺でもあっただろう。

スパーズがボールを奪い返せば、シティのゲーゲンプレッシングが機能して即座にボールを奪い返すこともあった。しかし23分にケインが落としたボールをタンギ・エンドンベレが蹴ってベルフワインとソンが走ってゴールを目指したように、モウリーニョの選手たちは、隙あらばエデルソンの守るゴールを脅かそうとした。押し込まれた方が、かえってカウンターを狙いやすい。

繰り返し続ける「ペップらしい負け方」

後半に入ると、ケインにボールが出るのを読んでロドリがカットする場面もあったが、ボール支配率100%を達成するのが難しいように、即時奪回率100%を達成することもやはり難しい。カウンターの芽を全て摘むことはできず、66分に2点目を奪われてしまう。CBトビー・アンデルワイレルドが奪ってダイレクトで蹴ったボールをケインが受ける。ベルフワインとソンが走る。ルベン・ディアス、アイメリク・ラポルテ、カンセロの3人がこのオランダ代表と韓国代表に釣られ、右にスペースを空けてしまう。そこに交代したばかりのジオヴァニ・ロ・チェルソが走り込んできて、シティは万事休す。

72分にベルナルド・シウバとリヤド・マフレズに代わって、フィル・フォーデンとラヒーム・スターリングが投入されたが、違いを作り出すことはできなかった。78分にガブリエウ・ジェズスが単騎でボックス内の密集地帯に突っ込んでいったように、シティの攻撃は単調なまま。1点も奪い返すことはできず、試合終了の笛は鳴った。ボールは支配しながらカウンターに沈むという、いかにもペップらしい負け方である。

このような敗戦パターンを、ポジティブに捉えれば“理想を貫いた末に散ったペップ”と表現できるが、さすがに繰り返し過ぎなのではないか。別に私は怒りを覚えているわけではない。むしろスタイルを貫き続けて性懲りもなく負け続けるペップにかえって興味をそそられるくらいだ。

マンCに迫られる変化の必要性

バルセロナを離れてから1度もチャンピオンズリーグを制覇できていないように、ペップのサッカーはどこか不完全なもの。ちなみにドイツで「ポジショナル・プレー」という言葉は見当たらない。英語にすると「ポジショナル・プレー」と訳せる言葉はあるが、それは「ボールホルダーに対して複数の選択肢を提示する」というシンプルな意味合いのようだ。そしてドイツではペップをリスペクトする風潮こそあれど、そのサッカーを難解なものとして捉え、過度に神格化する様子はない。

だが、不完全であるがゆえに、かえってエキサイティングな試合を演出し、攻撃的なサッカーで多くの人々を魅了してきたのは事実だろう。もちろん捉え方は人それぞれだが、不完全であるがゆえに、ペップのサッカーは魅力的でもあるのだ。

しかし、これだけ“ボール支配→カウンター”という負けパターンを繰り返すと、そろそろ何か変化も必要なのではないか。バイエルンを率いていた頃に脚光を浴びた“偽SB”も、だんだん一般化してきた。このトッテナム戦では、72分に左サイドでシウバが孤立したが、偽SB化したカンセロがポジションを崩してフォローに向かっても良かったかもしれない。築き上げた戦術を時に壊すことも必要なのではないか。

もちろん代表ウィークが明けたばかりで、各国の代表戦をこなしてきた選手たちは、コンディションが整っていたとは言い難い。過密日程が続く中では難しいかもしれないが、体調が整えば、前線でのポジションチェンジも頻繁にこなすことができるようになるだろう。

だが、今後“らしい負け方”を避けるために、もっと根本の部分で、ペップはさらなる変化の必要性に迫られているのではないか。

19日、シティはペップとの契約を23年夏まで延長。その輝かしい頭の中には、既に次のアイデアが詰まっているのかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

本田千尋

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