
色彩豊かな絵画作品に見入る来場者=18日、浦添市・ANAアリーナ浦添(名護大輝撮影)
[沖展2023 74th OKITEN EXHIBITION]
沖縄県内最大の美術・工芸の公募展「第74回沖展」(主催・沖縄タイムス社)が18日、浦添市のANAアリーナ浦添(浦添市民体育館)で開幕した。4月2日まで。
絵画・版画・彫刻・グラフィックデザイン・書芸・写真・陶芸・漆芸・染色・織物・ガラス・木工芸の12部門で計742点が展示されている。
■「文化の力で社会を明るく」
開会式で沖縄タイムス社の武富和彦社長は「沖展は『文化の力』で、沖縄戦後の荒廃した郷土の復興に尽くしてきた。いま世界はコロナ禍やロシア・ウクライナ戦争に伴う物価高などで先行きが不透明となり、不安や不信に満ちている。その中で沖展を通じて人々を結び付け、支え合い、社会を明るくしていきたい」とあいさつした。
開場は午前10時から午後6時まで(入場は午後5時半まで)。入場料は前売り大人千円、小・中・高校生400円(当日券は大人1200円、小・中・高校生500円)、未就学児は無料。問い合わせは沖展事務局、電話080(6497)3485。
■4年ぶり本格開催 満喫する観覧者
4年ぶりに作品解説会とワークショップも実施され、新型コロナ前と同規模での本展開催となった「第74回沖展」。初日の18日は、美術愛好家や多くの家族連れが会場のANAアリーナ浦添を訪れ、絵画、彫刻など12部門の個性豊かな作品に見入っていた。(学芸部・勝浦大輔)
会場では、作品の前で足を止めてじっくりと見る人や、ベンチで休みながら自分のペースで観覧するお年寄り、再開したワークショップを楽しむ親子連れなど思い思いに楽しむ来場者の姿が見られた。
浦添市の又吉美穂さん(47)、利紗さん(10)親子は数年ぶりの沖展来場となった。利紗さんは「絵の色使いがすごい。とてもうまくてきれい」と目を丸くしていた。会場近くで用事を済ませた新垣愛実さん(15)=南城市=は、その足で家族・親戚と一緒に初めて訪れた。絵画作品を前に「こんなの自分では描けない」と画材や技法に興味津々だった。
静岡県在住で今の時期に3カ月を沖縄で過ごすという西川邦彦さん(81)、和子さん(80)夫妻は、滞在時は必ず沖展に足を運ぶ。「沖縄独特の文化が作品に表れていて本当に素晴らしい。ジャンルも幅が広い」と話した。
大濵設人(おきと)さん(8)=那覇市=は、ワークショップで好きなキャラクターを描いて缶バッジを作り「弟にあげるんだ」と笑顔。
■解説会も復活
絵画の解説会で美術史も交えて説明した沖展会員の具志恒勇さん(77)は「若い人たちの出品がもっと増えてほしい。そのためにもまずは作品を見に来てほしい」と期待を込めた。
浦添市、浦添市教育委員会が協力、オリオンビール、e-no、沖縄食糧、かりゆし、光文堂コミュニケーションズが協賛。来場者投票で決める「沖展みんなの1点賞」は日本トランスオーシャン航空が企画協力。問い合わせは事務局、電話080(6497)3485。