画家・毛利眞美、知られざる生涯を描いた本格評伝『ふたりの画家、ひとつの家』に注目

画家・毛利眞美、知られざる生涯を描いた本格評伝『ふたりの画家、ひとつの家』に注目

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  • 更新日:2023/05/26
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東京書籍株式会社は、2023年5月に書籍『ふたりの画家、ひとつの家 毛利眞美の生涯』(高見澤たか子/著 堂本右美/編)を発売した。画家・毛利眞美の知られざる生涯を描いた本格評伝となっている。

終戦直後のパリで絵画を学び、画壇に華々しくデビューした画家・毛利眞美。しかし、絵画界のスターである夫、堂本尚郎が世界的な評価を高めていく一方、同じアトリエで制作する眞美は、女性であるがゆえの困難に直面し、迷い始める――。女性の芸術家が「女流」と言われた時代に、自立心と気高さを胸にたくましく生きた、ひとりの女性・画家の生涯を描いた本格評伝。

■「序文ー刊行にあたって」より
この本の原型は、2016年から2020年の間に、文芸誌『公評』(公評社)に19回にわたり連載されたバイオグラフィーである。著者・高見澤たか子氏が、母・毛利眞美(旧姓)から聞き取っ た内容に基づくものだ。それをこの度一冊にまとめて出版することになった。
もともと母と高見澤氏は共通の友人、現代音楽作曲家・武満徹夫妻を介して知り合った。ある日、高見澤氏がノンフィクション作家と知った母は、いつか自分のことを書いてみないか、と話したという。しばらくして、2016年の春にいよいよ取材が始まった。しかし新型コロナウイルスの大流行により、2020年以降の取材は難しいものとなってしまう。文章として最後まで作り上げるには大変なご苦労があったと推察する。取材だけでなく、たくさんの資料を集め、フランス語の勉強までしてフランスの文化や歴史についても研究を重ねてくださった。母と同じく、戦後の激動の時代を生き抜いてこられた高見澤氏だからこそ見える昭和の女性史、そして母の記録がここに記されている。
幾度も拙宅に足繁く通っていただき、母の話に耳を傾けつづけてくださった高見澤氏に心から感謝している。身内には自身のことを多く語らない母だったので、この出版を機に、母の生い立ちと私自身のルーツを深く知ることができた。自らの生涯が後世まで伝わることを、天国の母はどのように感じているだろうか? 私としては、照れながらも内心喜んでいるのでは、と信じたい。
巻末に掲載の年譜と文献リストを作成してくださった日本近代美術史家・児島薫氏にも謝辞を申し上げたい。将来学術的資料としても機能するように、と作成してくださった。これにより、母の画業と当時のアートシーンも読み取ることができる。
(後略)

■著者プロフィール
高見澤たか子(たかみざわ たかこ)
ノンフィクション作家。1936年生まれ。早稲田大学文学部卒業。著書に『ある浮世絵師の遺産 高見澤遠治おぼえ書』(東京書籍、1978年)、『金箔の港 コレクター池長孟の生涯』(筑摩書房、1989年)、『「終の住みか」のつくり方』(晶文社、2004年、のち集英社文庫)、『いい年を重ねるひとりの暮らし方』(海竜社、2014年)、『ごめんね、ぼくが病気になって』(春秋社、2009年)、『ベアテと語る「女性の幸福」と憲法』(共著、晶文社、2006年)などがある。

堂本右美(どうもとゆうみ)
画家。1960年生まれ。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。ニューヨーク州クーパー・ユニオン芸術学部卒業。1990年に初個展(佐賀町エキジビット・スペース)、1995年に「VOCA展 ’95 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館)など、国内外の展覧会に参加多数。近年は六本木の東京ミッドタウン、GINZA SIXなどの商業施設に作品が恒久展示されるなど、活動の幅を広げている。

リアルサウンドブック編集部

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