「頑張って稼いだお金を高価な物につぎ込んでしまう」行為に隠された心理学

「頑張って稼いだお金を高価な物につぎ込んでしまう」行為に隠された心理学

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  • 更新日:2017/11/12
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byBrooke Lark

物を買う時に「ちょっとぜいたくして高い方を買ってみよう」と思ったことがある人もいるはず。実際には価格と品質は比例しないこともありますが、なぜ人は価格が上がると価値が上がると考えてしまうのか、そして散財することで幸せを得るにはどうすればいいのか、など、散財の背後にある心理学についてがBBCにまとめられています。

BBC - Capital - The psychology behind spending big

http://www.bbc.com/capital/story/20171006-the-psychology-behind-spending-big

カリフォルニア工科大学とスタンフォード大学の学者たちによる2017年の研究で、実際には高価ではないワインについて「このワインは高価ですよ」と聞いた人々は、そのワインを飲んだ時に同じ価格のワインよりも高い評価をするだけでなく、実際に「ワインを飲む」という経験を同価格のワインを飲んでいる時より楽しんでいることが脳スキャンから判明しました。また、痛み止めのプラセボ効果について調査した研究では、薬の価格が1粒あたり2.5ドル(約280円)だと聞いた患者は、同じ薬を10セント(約11円)だと聞いて服用した患者よりも、より痛みの減少を語っています。

上記のことからも、多くの人は物の価格が上がるほど、価値が上がると考えていることは明らか。ハーバード・ビジネス・スクールの心理学者であるマイケル・ノートン教授によると、ラボの中だけではなく現実世界の生活においても、人は「2倍の価格のものは2倍よい」と考える傾向にあるといいます。つまり、人が散財する理由は「至高体験」を求めていることにあるのです。

一方で、レストランにしろ映画にしろ、5つのうち3つ星の評価をされているものに対して、人は安心感を抱きます。そして1つ星と5つ星の両方がついているものを選ぶことは、人々にとって「最悪のものであるというリスクを踏まえて至高体験を求める」という意味でギャンブルです。しかし、リスクがあってもなお、人は至高体験を求めようとします。

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byAnthony DELANOIX

また、快感ではなく「ユニークさ」という基準で娯楽体験を求める人は存在します。ハーバード大学のアナ・ケイナン教授とコロンビア大学のラン・キベツ教授らの研究によると、これは、記憶に残る経験を積み重ねることで達成感や進歩を感じ、自尊心を高めているのだとのこと。

例えばアマチュアのレーシングカードライバーである起業家のジョッシュ・カートゥ氏は、フェラーリのコレクターとして知られています。カートゥ氏がフェラーリを集めているのはもちろん車を愛しているからという理由もありますが、それだけではなく、スペシャルイベントに参加したり特権的なコミュニティに参加する権利が得られるためだと言います。「物を集める時に得られる喜びははかないものです。他のものについても言えますが、喜びはどんどん少なくなります」とカートゥ氏。一方で、フェラーリを買うことで、自分と同じ情熱を持った興味深い人々が存在する特別なコミュニティに参加できるという点を、カートゥ氏は語っています。

カートゥ氏がこれまでに体験した「最もよい散財」は、ロシアでMiG戦闘機に乗ったことだそうです。「旅客機の2倍の高さを飛び、日中の星や、地球の丸さを目にしました。これまでの人生で最高の経験でした」とのこと。多くの人はフェラーリ集めや戦闘機に乗ることはできませんが、氷のホテルに泊まったり、豚の丸焼きを食べたりといった経験を求めるのは、カートゥ氏と同じ動機によるものです。

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byAbout Artem Katranzhi | Flickr

また、人によっては単純に、大金を支払うことで「自分は成功しているのだ」ということを示したい人もいます。カートゥ氏も同様で、裕福な生まれではないために、つきあう人々に「自分はあなたたちと同じレベルである」ということを示す必要性を感じていたとのこと。しかし、しばらくして慣れてくるとその必要性も感じなくなったそうです。

経済学においても同様の効果は見つかっています。経済学では財の価格が下がれば需要が増すという原理があるものの、一方で価格が高くなるほど需要が増すことがあり、これをヴェブレン効果と呼びます。このように、競争がある状況において、人が他の人と差を付けるために消費活動を行うということはもちろんありますが、その選択肢は人によって「極めて目立つもの」と「極めて地味なもの」に二極化するそうです。南カリフォルニア大学のエリザベス・カリッド・ハルケット教授によると、近年のアメリカにおいて高所得の人々はハンドバッグのような派手で高価なものよりも、オーガニック食品のような「人目を引かない」高価なものにお金をつぎ込む傾向が増えてきたとのこと。現代には高価なものが溢れているため、かつてのようにそれらが珍しくなくなったことがその理由の1つと見られており、「経験」や「日用品」に価値が置かれるようになってきたそうです。

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byBrooke Lark

なお、「「幸せをお金で買う」5つの授業」を記したマイケル・ノートン教授によると、お金を使うことで幸せになるのに必要なのは「いくら使ったか」ではなく「どのように使ったか」ということ。そして、「モノより思い出」、つまり経験に対してお金を費やし、自分ではなく他人にお金を使った方が人はより幸福を感じられるそうです。

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