社説:守山新市長 住民の意見聞く努力を

  • 京都新聞
  • 更新日:2023/01/25

守山市長選は、総務省出身で元滋賀県総務部長の森中高史氏が無投票で初当選を決めた。

森中氏は3期12年間務めた宮本和宏市長から事実上の後継指名を受け、5政党が推薦した。継承と発展を掲げる現市政が一定評価された側面はあるが、市長が無投票で選ばれるのは2015年の前々回から3回連続となる。

市政について複数の候補が政策を提示し、市民が選択する機会が長期間ないまま、市長交代となるのは残念だ。有権者の審判を受けなかった森中氏は幅広い意見に耳を傾け、丁寧に施策を説明し、市政に新風を吹き込んでほしい。

守山市は京都や大阪のベッドタウンとして若い世代を中心に人口増加が続く。現在約8万5千人で、市の想定を超える年間約650人のペースで今も伸びている。

ただ、急成長の陰でさまざまなひずみも生じている。

JR守山駅前は近年、中高層マンション建設が相次ぐ一方、商店街は郊外の商業施設に押され、活気を失い、空き店舗も目立つ。

そこへ市が誘致した村田製作所の研究開発拠点の建設が本格化する。生活環境に配慮しつつ、駅前整備を契機とした周辺活性化に道筋をつけ、市全体へ果実を行き渡らせるか手腕が問われよう。

市北・中部では過疎化の進む地域があり、高齢者の移動手段の確保や空き家対策、農業担い手育成など課題も多い。新たなまちづくりでは地域差を抑え、バランスある発展への目配りが重要となる。

ただ、都市部と周辺部で異なる多様な行政ニーズを支える財政は潤沢ではない。

借金である市債残高は人口増に伴うインフラ整備などで22年度末の見込みは約360億円。5年前より100億円近く膨らみ、市役所新庁舎の建設などで今後の増加も見込まれている。

森中氏は市長直属事務監として出向中、市の総合計画や行革大綱策定に関わった。公約の施策実現には財政健全化の推進と併せ、事業の精査など市民の理解を得る努力が欠かせない。

政治家としての力量は未知数だが、43歳という若さや国、県とのパイプは武器だろう。柔軟な発想で、きめ細かい行政を進める気概と変化の時代に対応する実行力を期待したい。

滋賀県内では21年の東近江市や20年の湖南市など首長選の無投票が目立つ。4月に統一地方選がある。相次ぐ無投票は、民主主義の根幹を揺るがす危機として政党は深刻に受け止める必要がある。

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