中日・福留に「引退ですよ」PL後輩に異例の“勧告”をした宮本慎也YouTube発言の真意

中日・福留に「引退ですよ」PL後輩に異例の“勧告”をした宮本慎也YouTube発言の真意

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/06/23

球界最年長選手、中日の福留孝介(45)が6月13日に2軍落ちした。プロ24年目の今季は23打数1安打の打率4分3厘という極度の不振で、当然の措置ではあった。

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一方、2軍降格を予知していたかのように、元ヤクルトの宮本慎也氏(51)が同10日に収録したというYouTubeチャンネル『野球いっかん!』で注目発言を行った。ちょうど福留が出場選手登録を外れた13日に公開した動画では「福留は……孝介は……後輩はね、今年結果が出なかったら引退ですよ。年齢とかも考えると」と慎重ながら明快に言い切った。

鉄の結束を誇るPL学園高の先輩が後輩に対し、異例の引退勧告。その内幕を探ると――。

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遅きに失した2軍降格

2人と同じPL出身の立浪和義監督(52)が、中日で現役時代を共にもした福留に降格を通達したのは、交流戦最終日の6月12日だった。

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福留孝介 ©時事通信社

「本人もきつかったと思う。(代打で)大事なところで使っていた。(判断の目安は)交流戦までと思っていた」

苦汁の決断だったことを言外ににじませた。チーム関係者が失笑とともに振り返る。

「よくここまで(2軍落ちの結論を)引っ張ったなという感じですよ。PL同士でなければ、交流戦前にとっくに2軍に行っていてもおかしくなかった。京田(陽太)なんかは、守備でミスした試合中に即、横浜から名古屋に強制送還ですからね」

「代打の切り札」としての期待に応えられず

実際、宮本氏もYouTubeでは「監督がある程度、思う存分やらせてあげたい、情の部分もあると思う」と立浪監督の福留への“特別扱い”を認めている。遅きに失した2軍降格だった。

福留は日米通算2450安打、日本球界だけでも1952安打の、まさに球史に残るスラッガーだ。昨季から、プロ入りした球団の中日に復帰しているものの力の衰えは隠せず、今季は代打の切り札としての期待に応えられていなかった。1割にも満たない低打率に、宮本氏もYouTubeで「宮本さん、敵チームならガンガンいけよって指示になりますか?」との問いに「はい、なります」と答えるしかないほどだ。

この年齢、この実績の選手がこの時期に2軍落ちする意味は重い。番記者の「引退発表もあり得ると警戒していました」との言葉も大げさではない。

「自分からユニホームを脱ぐと言うわけがない」

しかし、この備えを福留の元同僚選手は一笑に付す。この元選手はまず、福留が1995年のドラフト会議で7球団競合の末、1位指名を受けた近鉄入りを拒否し、社会人野球を経由してでも希望球団への思いを貫くなど、「鋼のメンタル」の持ち主であると指摘する。

「あの性格からして自分からユニホームを脱ぐと言うわけがないでしょ。中日が契約してくれなければ、他球団でプレーする道を探ることだってあり得ないわけではありません」

とことん現役にこだわるとの見立てを述べた。

立浪長期政権に向けた人身御供

大選手の引き際は、自身に結論が委ねられる側面があるだけに、いつの時代も波乱含みだ。2019年、阪神は2000安打をクリアしていた鳥谷敬に一方的な“事実上の引退勧告”を行った。球団が指導者への道など将来のビジョンを擦り合わせなかったため、鳥谷は態度を硬化させた。結局、けんか別れとなり、移籍したロッテで引退したことは記憶に新しい。

「中日は、福留には穏便に身を引いて欲しいと思っているはず。もめると球団のイメージダウンにもなりますから」(遊軍記者)

この遊軍記者はそう指摘した上で、福留に引導を渡すキーマンとして立浪監督の名を挙げた。

長く監督をやるには、勝敗以外の評価も

「監督は福留に、引退後はコーチとして自分を支えて欲しいと思っているのではないでしょうか。ちょうど今季途中に中村紀洋打撃コーチが2軍に行ったことで、打撃コーチのポストは空いているも同然。PLの大先輩の頼みや助言なら、福留も耳は傾けるでしょう。

それに福留をすんなりとやめさせ、地元の消化試合で引退興行でもできれば球団には願ったり叶ったり。立浪監督は管理能力の高さを、球団にアピールすることにもなります。(契約の)3年で終わるつもりはないでしょうから、長く監督をやるには勝敗以外の評価も得ておきたいと思うのは当然です」

ある程度台本があったとしか思えない

とはいえ、福留に引退の意思を固めさせることは一筋縄にはいかない。そこに宮本氏が満を持して登場したのである。

「宮本さんはYouTubeでは答えづらい質問を次々とさばいていっています。インタビュアーの鋭い突っ込みといい、ある程度台本があったとしか思えない。結果として、あのYouTubeインタビューの内容は立浪監督の思いに添ったものになっていました。福留引退が軟着陸するよう、外堀が埋まったな、と。宮本さんがあえて『立浪監督と話していない』と強調していたことも不自然でした。余計に意思疎通があったと疑われても仕方ありません」(同前)

宮本氏は昨秋、立浪監督就任時にヘッドコーチを要請されたが、辞退している。その後人選は難航し、最終的に落合英二投手コーチの兼任に至った。

もう一度、1軍でプレーする機会は与えられるのか

「落合コーチは野手のことは専門外で、来季はヘッドを外してくれというのが本音。(宮本氏がヘッドを)受けていれば、福留の引退問題に向き合っていたはずです。PLの先輩の監督の力になれなかったという負い目はあるでしょう。場外から援護射撃することが“罪滅ぼし”になると考えたのかもしれません」(チーム関係者)

宮本氏はYouTubeチャンネルの終盤、今季ここまでの立浪監督の福留起用法について、こうも言った。

「冷静に第三者から見ると、もう十分、チャンスはあげたと思う」

福留にもう一度、1軍でプレーする機会は与えられるのか。あるとすれば、早ければ球宴明け、現役続行のラストチャンスの位置づけとなるのか。それとも、シーズン最終盤、ファンに最後の勇姿を見せる消化試合か?

(木嶋昇/Webオリジナル(特集班))

木嶋昇

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