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“コロナ重症”からエクモで回復 189日間の闘いの記録

“コロナ重症”からエクモで回復 189日間の闘いの記録

  • FBS福岡放送
  • 更新日:2021/07/20
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新型コロナウイルスで重症化した患者が福岡で人工肺・エクモでの長期間の治療を終え、6月に装置を取り外しました。その期間は国内最長となる189日間、患者の命を救うため試行錯誤を続けた医師や看護師たち、闘いの記録です。

新型コロナウイルスで重症化した患者が福岡で人工肺・エクモでの長期間の治療を終え、6月に装置を取り外しました。その期間は国内最長となる189日間、患者の命を救うため試行錯誤を続けた医師や看護師たち、闘いの記録です。

7月6日、福岡大学病院の救命救急センター。

■石倉センター長

「頑張れそう?すごい呼吸の状態は良くなっているからね。」

■理学療法士

「スクワットからいきましょうかね。」

人工呼吸器をつけた状態でリハビリに取り組むのは50代の男性患者です。

去年12月に新型コロナに感染。半年を超える闘病生活を送っています。

■理学療法士

「8、9、10」

支えられながら、みずから体を動かす男性。ここまで回復するには長い道のりがありました。

去年12月の集中治療室。男性は肺の機能が著しく低下し、自力での呼吸が難しい状態で福大病院に運ばれてきました。

搬送翌日には、すぐさま人工肺・エクモを装着しました。

エクモは人工呼吸器では回復が難しいコロナ患者の命を救うための「最後の砦」です。

肺の機能を担う機器であるエクモ。患者とエクモをつないで血液を一時的に体の外に出し、酸素を加えて体に戻し弱った肺を休ませ回復を図ります。

■医療スタッフ

「背筋を伸ばせますか?ちょっと自分で頑張って伸ばして。」

■看護師

「10分しました。OK。」

男性に寄り添いながらの治療がスタートしました。

入院から1か月、男性の病状は予断を許さない状況が続いていました。新型コロナウイルスで弱った男性の肺は別の細菌によって合併症を引き起こしていました。

非常事態が続く医療現場。去年4月以降、新型コロナウイルスの患者に対し、九州で最も多くエクモ治療を行い経験を積み重ねてきた福大病院でしたが、男性への治療は一筋縄ではいきませんでした。

■喜多村医師

「肺の水っぽいというか、無気肺になっている分くらいは引けるだろうけれど。悩ましいよね。」

さまざまな治療法を試みるも抜本的な解決策は見つかりません。

救命救急センターで陣頭指揮をとる石倉センター長は頭を悩ませていました。

■石倉センター長

「この薬が功を奏したとか、そういう風なことはないと思います。例えば、学会の報告だとか論文あるいは教科書、そういうのをしらみつぶしに探して、いまこの患者にできることが本当にないかというのを常に考えて治療しました。」

感染から約2か月後には新型コロナウイルス「陰性」となった男性。しかし「陰性」イコール回復ではありません。治療の長期化によりさまざまな合併症との闘いが続いていました。

■石倉センター長

「大量の胸水がたまったり、また経過中には気管から出血したりと山があった。この患者が本当に良くなるのかということで当初は治療をしていたのが正直な気持ち。」

病状の回復が感じられない日々、患者の男性は精神的にも追い込まれていきました。そして「治る可能性がなくなったのなら静かに苦しまないで逝きたい」と医師に告げたという男性は生きることへの望みも失いかけていました。医師や看護師たちは決して諦めないよう説得を重ね、男性は治療の継続を選択しました。

しばらく経って男性から石倉センター長に送られた手紙には「3月10日にあきらめたのに福大救命チームは助けてくれました。感謝しかないです」と書かれていました。

■石倉センター長

「これを見たときは、絶対助けてやろうと思ったよ。この人は絶対に助けるからと。諦めるなということを強く言ったのを覚えている。」

その後も命が危ぶまれる状況に何度も直面。それでも回復を信じてエクモ治療や心のケアを続けました。

そして、ついに…6月7日、ついに男性は奇跡的に回復。エクモを取り外す日が訪れたのです。

■石倉センター長

「いくつも山があったんですけれど、それを何回か乗り越えてこられたんで、それだけの山を乗り越えたなら、この山も乗り越えてくれるというふうに信じていた。」

新型コロナ患者の治療では一般的にエクモの装着は1か月がめどとされます。

しかし、この男性は189日間の長期にわたりエクモ治療を続けました。回復した新型コロナ患者としては国内で最長となります。

■石倉センター長

「どれくらいの力で支えてあげているの?」

■理学療法士

「触れる程度です。」

現在、毎日2時間ほどリハビリを行っている男性。エクモは外れても、今なお人工呼吸器はつけたままで話すことはできません。これまで8か月を超える闘病生活への思いをスマートフォンのメモで「エクモ生活189日、救命センターのおかげで命をいただき、感謝しかありませんでした。リハビリのスクワット角度が高くなると大変ですが、歩行には筋肉が必要なので頑張っています」と伝えてくれました。

■石倉センター長

「責任重大、ありがとうございます。頑張っているわ。歩けるようになるよ。3歩進んで2歩下がる。コツコツと少しずつできることをやっていくというのが、最終的に患者が良くなる方向に向かっていくと思いますね。」

男性は25日以降、人工呼吸器を取り外すことを目指しています。容体が回復し、退院後にやりたいこととは「温泉に入りたい」でした。

■石倉センター長

「我々がね、これを実現してあげんとあかんよね。一緒にいこう。」

これまでの経験を生かしながら患者のために最善策を探る医療現場。命をつなぐ闘いがきょうも続いています。

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