ヤクルトが3連勝でオリックスと明暗を分けた「継投」。配球や1人目のリリーフの重要性を建山義紀が徹底解説

ヤクルトが3連勝でオリックスと明暗を分けた「継投」。配球や1人目のリリーフの重要性を建山義紀が徹底解説

  • Sportiva
  • 更新日:2021/11/25

ヤクルトの2勝1敗で迎えた日本シリーズ第4戦が11月24日、東京ドームで行われた。ヤクルトは2回裏、サンタナの2試合連続となるソロ本塁打で先制。オリックスは6回表、相手のミスもあって追いついたが、直後の6回裏、先発・山﨑颯一郎の後を受けた増井浩俊、比嘉幹貴が捕まる。ヤクルトはオスナのセンター前タイムリーで1点を勝ち越すと、先発の石川雅規から石山泰稚、清水昇、マクガフとつないで逃げ切った。僅差の試合でポイントはどこにあったのか。日本ハム時代の2006年に中継ぎ投手として日本一に貢献した建山義紀氏に聞いた。

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第3戦に続き好投したヤクルト・石山泰稚

今シリーズは両チームともに接戦のいい試合をずっとしていて、第4戦もそうした展開になりそうだなと思いながら見ていました。

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4戦目なので、先発投手はローテーションの中心で回っているピッチャーではありません。継投勝負というところで、まずはオリックスが山﨑投手から増井投手にスイッチ。対してスワローズは、石川投手から石山投手に交代。あとを受けた両ベテランのピッチングが明暗を分けました。

日本シリーズのように独特の雰囲気の試合は、チームとしてもベテランに頼りたくなるところです。そのなかで増井投手がマウンドに上がったのは、1対1の同点になった6回裏でした。

山田(哲人)選手からというところで、すごく慎重さが出たなか、ボール、ボールという入りになり、自分のピッチングを非常に苦しめました。山田選手を四球で歩かせたあとはうまくダブルプレーでしのぎましたが、続くサンタナ選手は第3戦、第4戦の1打席目と2戦連続ホームランが出ていて神経を使うバッターです。ここでもボール、ボールで入って、非常に自分のピッチングを苦しめた結果、フォアボール。続く中村(悠平)選手にライト前を打たれて、オリックスベンチはたまらず比嘉(幹貴)投手にスイッチしました。

流れとしては完全にスワローズで、「よし、いけるぞ」となっていたと思います。逆にピッチャーとすれば、経験のある投手ほど、その場の空気感を受け止めやすいものです。比嘉投手は38歳のベテランで、ちょっとまずい形であとを任されたという気持ちがあったと思います。そうした心理がピッチングに多少影響したかもしれません。

同点で2死1、2塁、比嘉投手はオスナ選手を迎えました。僕も同じサイドスローだったので、「外国人対サイドスロー」という戦いは本当によく経験しています。右バッターは右のサイドスロー投手と対戦する時、絶対にスライダーを頭に入れています。そうしたなかでも、ピッチャーとすればどこかでストレートを投げなければいけない。この場面で、それをどのタイミングで投げるのか注目していました。

初球からスライダーを続けて、ボール、空振り。1ボール1ストライクになって、「ここでいくのかな」という場面でカーブを投げました。これは意表を突く意味でよかったと思います。このあと、どこかでインコースのストレート、あるいはベルトより少し高めのストレートで、できればバットを振らせる作業があったほうがよかった。そうすれば最後、スライダー勝負にいきやすくなったからです。

それが外にスライダー一辺倒となったことで、最後は若干タイミングをずらしてもバッターが対応できるような形になり、センター前にタイムリーを打たれました。いいコースに投げても、変化球はやっぱり遅いボールです。だから、なんとかバッターは対応できたという結果になりました。

そのあとの西浦(直亨)選手に対しては、初球をスライダーで入った後、インコースをしっかり使えていました。それだけに、オスナ選手にはストレートをいきにくい場面ではあったけれど、いきにくい場面ほど勇気を持っていかないといけませんでした。

一方、ヤクルトは2対1と勝ち越した直後の7回表、石山投手がマウンドに上がりました。4番の杉本(裕太郎)選手から始まり、非常に神経を使う場面です。ここで石山投手はしっかり腕を振って、ストライク先行のピッチングを展開できました。ヒット1本を打たれたこの回、4人の打者に対してすべてツーナッシングと投手有利のカウントに持っていけた。

石山投手は全盛期に比べれば、球威が若干落ちています。それでもシーズン終盤に調子を取り戻し、しっかりバッターを抑えていける状態のボールを投げられるようになりました。なにより、しっかり腕を振れて、短期決戦に挑むなかでバッターとしっかり対戦できている。自分と戦うような感じは一切なく、相手に向かっている様子が見てとれました。

短期決戦では、リリーフは引きの作業を絶対にしてはいけません。そういう意味でも、石山投手は向かっていくピッチングがいい形で出ていました。

第4戦のように継投勝負になった時、1人目のリリーフはものすごく重要になります。1人目のリリーフがどういう形をつくるかは、あとのピッチャーにも影響します。石山投手がいい形で1イニングを締めて、清水投手、マクガフ投手につなぎました。これが"継投"です。スワローズは最高の継投ができました。

一方、オリックスはそうできなかった。フォアボール、フォアボールになってイニング途中で託され、比嘉投手はきつくなりました。第4戦は、石山投手と増井投手の差が顕著に現れましたね。

これで3勝1敗としたスワローズは、先発投手の頑張りが顕著で、フォアボールも少ない形で進められています。いい流れが来ているので、その流れを逸脱するようなプレー、いわゆる緩慢なエラーや不用意なフォアボールをするとオリックスに流れが傾くので、気をつけるのはそこだけです。

頂上決戦はプレッシャーもかかりますが、そのなかでミスを恐れずに思い切っていけると、一気にということもあるかもしれません。

オリックスは第5戦、山本由伸が中4日で行くかどうか。完全にあとがなくなったので、いかに開き直っていけるかどうかですね。

好材料としては、吉田(正尚)選手のバッティングの状態が少し戻りつつあること。その前を打つ宗(佑磨)選手は非常に調子がよさそうなバッティングをしていますし、1、2番の出塁がカギになるのではないでしょうか。4戦目までと同じく、好ゲームを楽しみにしています。

中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

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