元巨人“神の足”鈴木氏がセパCSを分析。下克上を起こす球団はどこ?

元巨人“神の足”鈴木氏がセパCSを分析。下克上を起こす球団はどこ?

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  • 更新日:2017/10/12
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横浜DeNAラミレス監督の采配がファーストステージ突破のカギを握る(写真・黒田文夫)

プロ野球セ、パ、クライマックスシリーズのファーストステージが14日から阪神甲子園球場(阪神ー横浜DeNA)、西武メットライフドーム(西武ー楽天)でスタートする。レギュラーシーズンを制した広島、ソフトバンクが順当に日本シリーズへの出場権を手にするのか。それとも2、3位チームの“下克上”が実現するのか。

元巨人で“神の足”と呼ばれた代走のスペシャリスト、鈴木尚広氏は、「総合的に見れば攻走守に隙のない広島、選手層の厚いソフトバンクが勝つでしょうが、セでは、横浜DeNA、パでは、西武が勢いに乗って風を起こす可能性があると思います」というセ・パのCS展望を抱く。

巨人時代にCSを4度、勝ち抜いた経験のある鈴木氏は、「短期決戦は、負けたら終わりの高校野球と一緒です。全員が集中して一つの方向を見つめ、流れをどこでつかむかが重要です。私も巨人時代に流れをつかめないまま4連敗したこともありました。横綱チームを倒すためには、仕掛けと勢いです。その可能性を持っているのが,横浜DeNAと西武なのかもしれません」と続けた。

セでは予告先発がないためファーストステージで激突する阪神と横浜DeNAの両軍は共にまだ先発をカモフラージュしている。そういう展開こそが「ラミレス監督のペース」と鈴木氏は見ている。

「ラミレス監督の現役時代を知っていますが、非常に頭のいい人です。何か奇策を取ってくるのではないでしょうか。思い切ったラミレス采配が見ものです。機動力を使えるわけでもないチームですから、いかに走者をためてから打線を爆発させて打ち勝つか。先行逃げ切りのイメージでしょうね」

3番に打点王のロペス、4番に28本、94打点の筒香、そして5番に首位打者を獲得した宮崎を擁するクリーンナップの破壊力は誰もが認めるもの。その破壊力を生かすも殺すも、1、2番の出塁が重要で、特に1番を打つ桑原がキーマンだという。

「横浜DeNAは、ほぼ固定メンバーです。ラミレス監督は、桑原が打てなくとも我慢して使い続けましたね。選手と監督に信頼関係ができています。それが勢いという名のエネルギーに変わる要素なんです。桑原が信頼に応えて出塁できるかですね。また梶谷の打順は、2番なのか7番なのかわかりませんが、予測不能タイプのバッターなので、はまればシリーズ男に変わる可能性もあります。チームカラーの明るさも勢いにつながります」

横浜DeNAのチーム打率・252とチーム本塁打134は、阪神の・249,113本を上回っている。

一方、阪神に関して鈴木氏は、「故障明けのメッセンジャーが間に合ったのは朗報でしょう。ただチームの勝ち頭である秋山に続いて計算の立つピッチャーが見当たりません。能見も岩貞も投げてみないとわからないピッチャーです。それと若い選手にまだこういうプレッシャーのかかる特別な舞台の経験がないですね。糸井、鳥谷、福留さんが牽引していかなければ苦しいでしょう。去年CSを経験して巨人を倒した横浜DeNAとの違いがそこです。阪神が勝つケースは、先発が、どこまで抑えられるか。6回まで踏ん張ると、今季60試合以上に登板した5人の強力なブルペン陣が控えています。甲子園でやれるというメリットと、ベテランが頼りです」と分析した。

メッセンジャー、秋山、能見、岩貞にメンドーサか岩田がCSローテー候補。6、7回から桑原、マテオ、ドリスに左腕の高橋、岩崎を加えた5人の勝利方程式に持ち込む展開を作ることができれば、阪神の勝率は高まる。

だが、この両チームは、ファイナルステージでは、レギュラーシーズンで圧倒的な強さを見せた広島の壁に挑まねばならない。

「トータルで広島には穴がありません。守備では堅いセンターライン。打線では足も使える1、2、3番、タナ、キク、マルが軸になっていて、どこからでも点がとれます。しかも、代打、代走、守備にも厚みがあります。安部が、もし間に合わなわなければ、多少、影響は出るでしょうが、中継ぎが、しっかりとしているので逆転劇が可能になります。ただ、1位チームは待たされるので、同じ投手でも、ボールが速く見えてしまうなどゲーム勘の問題があります。ファーストステージを戦ってきたチームの方がゲームに入りやすいでしょう。1試合目が重要になってきますね」

広島のチーム盗塁数は112個(阪神は70、横浜DeNAは39)。田中、菊池、丸の3人に代表されるような攻走守のバランスを取れた広島の牙城を崩すのは簡単ではないのかもしれない。

パのCSに目を向けると、鈴木氏は西武をダークホースに挙げた。
3チームの中で群を抜くチーム盗塁数129個(ソフトバンクは73、楽天は42)を誇り、その成功率は、76、3パーセントもある。鈴木氏は、「この成功率はチームとしては非常に高い数字。チームとして研究対策をしてきた証拠」と言う。

「西武チームに勢いを感じます。源田、金子、秋山、外崎と4人が動けて仕掛けることができます。彼らは今季の戦いの中で大きく成長しました」

源田は37盗塁、金子が25、外崎が23、そして首位打者に輝いた秋山も16盗塁した。

ファーストステージで、楽天は、今季の奪三振王の則本、FAで西武から移籍して8勝10敗ながら、防御率2.76でリーグ4位となる176回3分の1を投げた岸の2枚看板を投入してくる。

一方、その則本に、西武は、最多勝&最優秀防御率の2冠を獲得した菊池をぶつけるが、対楽天戦に今季は8勝0敗、防御率は、なんと0.82という“楽天キラー”。つまり則本との投手戦にもつれこんでも、机上では1点を取れば西武が勝てることになる。

「則本、岸の2人共にクイックは上手いほうじゃありません。則本は、落ちるボールで三振を量産しますが、そこは、足を使う側から見ると狙い目になります。ワンバウンドになる可能性が高く、キャッチャーのスローイングが遅れる可能性が増えるわけですから。西武が機動力で、則本の足元を切り崩していく展望は十分に考えられるでしょう」

辻監督は、1987年の巨人との日本シリーズ第6戦で、一塁からシングルヒットで生還した「伝説の走塁」を球史に刻んだ人である。短期決戦での機動力の使い方は熟知している。

鈴木氏は、さらに後半にブレイクして23本塁打を放った山川、27本塁打のおかわり君こと中村、森、浅村らの重量打線と機動力のリンクが西武の強みだという。

「西武は、足だけでなく、山川、中村、浅村らの強打者がいて、機動力と強打がリンクして互いに効果的な作用をもたらしています。出る人、返す人の役割分担がしっかりとしていて、一、三塁の状況を作りダイヤモンドを駆け巡ります。広島のチームカラーと似ていますね。一方、楽天は、逆に茂木やペゲーロら主力に怪我人が出てから顕著に戦力が落ちチームに元気がなくなりました。守護神の松井も終盤は不安定でした。ただ、機動力にもバッティングと同様にゲーム勘があり、ミスが重なると勢いがなくなり後手に回ってしまう諸刃の剣でもあるのです」

キープレーヤーは新人王当確と言われている源田。辻西武の象徴的なルーキーである。惜しくも37盗塁で、日ハムの西川に2個及ばずに盗塁タイトルを獲得できなかったが、盗塁の成功率は78、7%を維持している。

「源田は失敗を恐れず思い切りがいいですね。そもそも足が速く、中間から後半の加速ができて、少々スタートのタイミングが遅れてもセーフになります。金子もそうですが、西武のランナーは、どんどんチャレンジしているのが特徴。おそらく辻監督が『失敗してもいいから好きなだけ走れ!』と指示しているのでしょう。バッティングと一緒で、走塁も、こういうチャレンジにより感性が磨かれます。なにより相手バッテリーに『源田は出塁したら仕掛けてくるぞ』という脅威感を持たせたことがプラスとなっています」

鈴木氏は、そう源田の存在を評価している。

西武が持ち味を発揮してファイナルステージに進めばソフトバンクが相手。今季は9勝16敗と大きく負け越している。右脇腹肉離れでリハビリ中の柳田は、CSに間に合いそうにないが、鈴木氏は、「例え柳田が故障で不在でも、補填メンバーがたくさんいるソフトバンクは磐石でしょう」と見る。

それでも「西武が一気に速攻を仕掛けて乱すと相手にプレッシャーもかかります。そうなるとミスにつながる可能性もあります。それにサファテにしても足で崩せる隙はありますからね」と言う。
ソフトバンクの守護神、サファテは、今季シーズン最多記録を更新する54セーブをマークしているが、攻略の糸口は、ゼロではないというのである。

CS10年の歴史で3度しかない“下克上”だが、サプライズの可能性は潜んでいる。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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