
『海街チャチャチャ』のロケ地、浦項の海岸
「すぐにでも美しい海が見たくなる」
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そんな思いにさせてくれるドラマが『海街チャチャチャ』だった。
このドラマの舞台はコンジンという架空の港町なのだが、ロケが行われたのは『椿の花咲く頃』と同じく、慶尚北道の浦項(ポハン)であった。

『海街チャチャチャ』の撮影は浦項市内の複数の場所で行われた
■浦項の美しい海と『海街チャチャチャ』が撮影された市場へ
『海街チャチャチャ』では、歯科医のヘジン(シン・ミナ)とマルチな才能をもつホン班長(キム・ソンホ)のラブロマンスが美しい海岸線を背景に展開されていた。同時に、コンジンの住民たちの人情味あふれるエピソードがたっぷりと描かれていた。
もちろん、面倒見がよく気さくなホン班長というキャラクターは絶大な人気を誇り、放送終了後に「ホン班長ロス」になったファンも大勢いたほどだ。
撮影は浦項市内の複数の場所で行われたが、まずは海岸の風景が素晴らしかった。あの海があったからこそ、ドラマに開放的な雰囲気が生まれたのだ。

浦項の海岸こそが最高のロケ現場だったかもしれない
そして、住民の交流の場として登場したコンジン市場だ。実際には清河(チョンハ)市場で撮影が行われた。現在はドラマにあやかり「清河コンジン市場」に変わっている。
この市場内に5つのロケセットが設置された。コンジンの特産品という設定のイカの銅像、真ん丸眼鏡の少女ボラの両親が営むボラスーパー、ジャージャー麺のおいしさに定評のあるコンジン飯店、ボラの父親が経営するチョンホ金物店、かつて有名歌手だった(?)オ社長経営のオ・ユンカフェである。

真ん丸眼鏡の少女ボラの両親が営むボラスーパーのセット

かつて有名歌手だった(?)オ社長経営のオ・ユンカフェのセット
現在でも外観を見学できるが、カフェの外にはドラマに登場した若かりし頃のオ・ユンのポスターが貼ってあるのがなんとも笑える。
撮影から時間が経過したとはいえ、まだまだ外国人観光客が大型バスで見学に来ており、コンジンの住民たちが飛び出してきそうな臨場感を今でも体験できる。
また、ヘジンが開業したユン歯科(現在はレストランとして営業中)がある清津(チョンジン)港やホン班長の船が置いてある砂防(サバン)記念公園は、清河コンジン市場から車で15分ほど南東に下った場所にある。
なお、清河コンジン市場へは、浦項駅から列車でひと駅の月浦(ウォルポ)駅前からバスを利用すれば5分ほどで到着する。水平線に月が沈む様子をモチーフにした駅舎はスタイリッシュでとても印象に残る。
月浦駅から500メートルほど東へ歩くと、全長1キロあまりの月浦海水浴場が広がっている。夏場には海水浴や磯釣りを楽しむ人々でにぎわう人気の海水浴場だ。
海岸近くにある天然魚専門の食堂で浦項の伝統料理「ムルフェ」を食べた。
これは、韓国で夏に食べる刺身(フェ)料理だ。
細切りした刺身、ホヤやナマコなどの魚介類、千切りしたキュウリや大根などの野菜に調味料を合わせてシャーベット状にしたユクス(スープ)をかけ、よく混ぜて食べるのが一般的だ。
一方、浦項の伝統的な「ムルフェ」はちょっと違う。ユクスを使わずに好みの量のコチュジャンを刺身や野菜に混ぜて食べたりする。
また、好みの分量の水と氷を混ぜて食べたりもする。忙しい漁師が、船の上で慌ただしく食事をする時の方法だそうだ。
私も漁師さながらに伝統的な食べ方を試してみたが、鮮度のいいカレイのプリプリとした食感が忘れられない。カレイのアラで作ったメウンタン(辛い海鮮鍋)も濃厚な魚の出汁が効いていて、最高の味だった。

浦項の伝統料理ムルフェは魚の鮮度が秀でていて鮮度抜群の美味しさ
浦項で新鮮な海産物を楽しむ場所として忘れてならないのが竹島(チュクト)市場だ。ここは、市の中心部に位置する東海岸最大規模の在来市場。活気あふれる市場の中を見学するだけで心が躍る。
200店舗ほどある食堂では新鮮な刺身のほか、蒸たてのズワイガニ、アワビが丸ごと入った粥、浦項の冬の珍味であるクァメギ(干しサンマ)を味わうことができる。

韓国東海岸最大規模の竹島市場には200店舗あまりの刺身店が軒を連ねる
ドラマロケ地に海鮮グルメと魅力いっぱいの浦項。多種多様な魅力が詰まった浦項にぜひ足を伸ばしてほしい。
●清河コンジン市場へのアクセス
「浦項」駅からムグンファ(列車)を利用し1駅(所要11分)の「月浦」駅下車。駅前から5000番または清河4番バスで清河市場下車(5分)。
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小暮真琴(ビョン)