ロレックスほか「K18腕時計の値上がり」は金相場の影響じゃない理由

ロレックスほか「K18腕時計の値上がり」は金相場の影響じゃない理由

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2021/02/21

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

腕時計投資家の斉藤由貴生です。

近ごろ、世界的に株価が上昇していますが、金相場も上昇しています。直近ではちょっと下がったものの、金の価格は、数年前と比べてかなり上昇しています。

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斉藤由貴生

田中貴金属工業のホームページで「金相場推移」を見ると、2019年2月に4000円台だった金の参考小売価格は、今では6000円台を突破。2020年8月をピークとして値下がり傾向ではあるもの、依然として高い水準にあると言えます。

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過去5年の金価格(田中貴金属工業のHPより)

さて、このように金の相場が高くなると、「金素材の腕時計」も値上がりするという事態になっても不思議ではありません。

金の腕時計の多くにはK18が使われているのですが、そのK18の買取価格は、数年前よりもだいぶ高くなっていると言えるわけです。そうなると、その素材自体の価値が高まったことによって、K18腕時計の価格が値上がりするというのは当たり前のことだと言えます。

実際、現在の腕時計相場を見てみると、K18素材の腕時計が値上がりしている傾向にあります。では、具体的に上昇したK18腕時計は、どういったモデルかというと、以下のようになります。

◆ロレックス デイデイト 18238

このデイデイトというモデルには、K18とプラチナ素材のラインナップしか存在せず、50年以上も前の時代から、ロレックスのフラッグシップを担うモデルとして君臨し続けています。

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ロレックスデイデイト18238

ただ、中古となると、その相場は他のモデルと比較して、相対的に高くないという側面があります。特に、この18238のように、やや古い世代のモデルには、そういった傾向が当てはまるわけです。

実際、18238の中古相場は、この5年ぐらいの間、120万円前後が最安値といった傾向があったのですが、近ごろではステンレスの人気モデルでも、120万円以上という価格帯は珍しくありません。

それが、今では18238の最安値は150万円台という状況。長らく120万円程度で購入可能といった印象だったのが、見事に値上がりしているのです。

◆ロレックス サブマリーナ116618LN&116618LB

サブマリーナは、高級腕時計界隈における人気モデルの1つ。2020年9月に世代交代したことにより、その際、生産終了となった旧モデルが軒並み値上がりしたという経緯があります。

この116618LN&116618LBもそれに該当するモデルの1つであるのですが、上昇幅が他のサブマリーナと比べて派手だと言えるため、金相場の上昇に伴った値動きである可能性があります。

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ロレックスサブマリーナ116618LN

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ロレックスサブマリーナ116618LB

値上がりした結果、1年前では300万円程度で購入可能だったのが、今では400万円以上となっています。この腕時計の印象からして、「400万円台」という水準になるのは意外だと言えます。

◆パテックフィリップ ノーチラス 5711/1R-001

ノーチラスといえば、特にこの5年ぐらいの間において、世界的にものすごく人気がある高級腕時計。そして、そのノーチラスのK18を担う5711/1Rもまた、凄まじい値上がりとなっているのです。

1年前の時点では1100万円台で購入可能だったのが、現在では1400万円以上に。実に1年で300万円以上の値上がりとなっています。

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パテックフィリップノーチラス5711/1R-001

また、このほかにも、デイトナやGMTマスター2といった人気シリーズのK18モデルの数々が値上がり傾向にあります。“K18腕時計の上昇はトレンド”と言えるぐらい、勢いがあるのです。

◆K18腕時計の上昇は金相場の上昇と関係あるのか?

さて、ここまでは「K18腕時計が上昇傾向にある」ということをお伝えしたわけですが、「金相場が上昇したから、金の腕時計も上昇した」は、本当に正しいのでしょうか?

実は過去にさかのぼると、金相場が上昇したからといって、金の腕時計が必ずしも高くなるというわけではありませんでした。

例えば、リーマンショックの際、株価や原油価格は下がっていた一方、金相場はリーマンショック翌年の2009年ごろから上昇していました。

その際、腕時計の中古相場はどうなっていたかというと、ステンレスと同じように、K18モデルも値下がりしていたのです。

また、2011年ごろにおいて、金相場はリーマンショック前、つまり2007年ごろの水準を超えていたのですが、それでもK18腕時計は安価でした。例えば、ノーチラスのK18モデル、3800/1Jは130万円台で購入可能だったわけです。

さらに、2015年ごろの段階でも、K18の中古腕時計相場が金相場と連動していませんでした。こうした話は、著書の『腕時計投資のすすめ』でも触れています。

過去の事例において、K18腕時計は金相場の上昇と連動するような動きを見せない場合が多かったわけです。

◆今、18腕時計が値上がりしている理由は?

ではなぜ、最近になって「金の腕時計」が値上がりするという自体になったのでしょう。

その答えとして考えられるのは、中古腕時計界隈に大きな影響を与える市場が、日本から中国に変わりつつあるのではないかという可能性です。

実はこれまでの約20年間、中古市場に影響を与えるのは日本という傾向がありました。日本のトレンドが海外にも影響を与えるということがあったのです。

そして、日本において人気がある腕時計こそが「ステンレスの腕時計」だったわけで、反対に、金の腕時計、特にイエローゴールドの腕時計は、日本では人気がなかったのです。

しかし、中国ではK18素材の人気が高く、日本とは趣味嗜好が異なります。

中国人の高級品への関心は、2000年代中盤ごろから目立っていたと言えますが、それから十数年が経過した今、高級品への造詣が深くなり、目が肥えてきた結果、中古腕時計への理解が進んだのだと思います。

そして、中古腕時計の中国人需要が高まった結果、彼らに人気のあるK18モデルの需要が以前よりも増し、値上がりにつながったのではないかと推測できるのです。

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中国人の金製品好きが腕時計の相場にも影響を与えているようです

◆K18人気⇒K18腕時計上昇トレンドの形成へ

さらに、「需要がある」といった状態になると、これまで人気がなかったイエローゴールドなど、K18腕時計への注目度が以前よりも高まることになります。そして、結果的に日本でも「K18モデルを欲しい」という人が増えた可能性があるでしょう。

そうなると、需要に拍車がかかり、さらなる値上がりへとつながるわけで、現在のような状態になっても不思議ではありません。

90年代後半ごろから、長らく高級腕時計の人気トレンドは「ステンレス」という傾向がありました。実際、ロレックスのデイトナでは、本来上級なコンビモデルよりも、ステンレスモデルのほうが高く取引されるという状況が、この20年以上も続いているのです。

しかし、最近の傾向を見ると、金の含有量が少ない、革ベルトのK18腕時計でさえ目立った上昇をしているわけで、金相場の上昇という影響以上に、K18腕時計そのものの人気度が増していると感じられることがあります。

そういった意味では、今後、高級腕時計のトレンドは、ステンレスからK18へと変化しても不思議ではないと言えるでしょう。

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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