スポーツ映像配信サービスの巨人「DAZN」はスポーツ中継の常識を破壊するか?

スポーツ映像配信サービスの巨人「DAZN」はスポーツ中継の常識を破壊するか?

  • @DIME
  • 更新日:2016/12/01
No image

■連載/

「IntereBEE 2016」でスポーツ配信サービス「DAZN」の基調講演が行われた

No image

英パフォーム・グループ「DAZN」CCOジョン・グレジャー氏

まず、基調講演で語られたのは音楽、エンターテイメント(映画)メディアの変遷だ。

音楽業界は’94年に音楽CDセールスのピークを迎え、以来、過去20年間売上は下がり続けており、現在は「OTT」(Over-The-Top、通信事業者などではない独立系事業者のこと)の「spotify」が台頭。コンテンツ料の数%を「spotify」がレーベルに払い、そこからレーベルが各アーティストに払うことで、その利益メリットをシェアする形になり始めているという。

エンターテイメント(映画)業界については、2004年にはDVDを最も大きな収入源としていたが、音楽と同じく物理メディアの売上は減少し、現在は「Netflix」「Amazonプライム」などの伸び率が増加。米国では60%の家庭がこれらの配信サービスに加入し、この支払いが家計の負担になっていると指摘する。

No image

音楽業界では「OTT」が拡大

スポーツ映像業界は、世界最大のスポーツマーケットである米国のMLB(メジャーリーグ・ベースボール)などが、直接ユーザーに試合の映像を届けるサービスを展開している。「Netflix」「Amazonプライム」がエンターテイメント部門で人気を加速しつつも、贔屓(ひいき)のスポーツチームのチャンネルに加入するというのが、トレンドになっているという。

■スポーツ配信版「spotify」「Netflix」の登場は?

音楽とエンターテイメントのブランドでは、「spotify」「Netflix」という10年前には存在しなかった”チャレンジブランド””破壊的ブランド”が登場し、欲しい映像やサウンドを、欲しい時に、欲しくなるような値段で提供する環境が整いつつある。

これに対して、スポーツ中継ではまだ次世代のメジャーブランドが登場していない。特に米国では放送メディアを持つ事業者が長期に渡って権利を持ち、レガシーな事業を傷つけないように展開してきたことが「OTT」の成長を妨げてきていたという。

スポーツ中継への家計の支払い額が値上がりしている一方で、放送局サイドはその価値に見合った収入増加につながっていないという。

No image

音楽とエンターテイメントでは「Spotify」らOTT事業者が台頭

パフォーム・グループは、もともとコンテンツ権利のビジネス、そしてメディアプラットフォームのビジネスを行ってきたが、新たに配信という形で世界進出するにあたり、「sportify」が音楽業界で行ったような、低コストで、消費者に長期的な利益になるサービスを、世界の複数のマーケットで同時期に立ち上げたという。

No image

パフォーム・グループの「コンテンツ」「メディアプラットフォーム」に次ぐ事業として「DAZN」をスタートさせた

■ドイツ、オーストリア、スイス、日本で「DAZN」のサービスをスタート

パフォーム・グループは3年をかけて立ち上げた、映像配信「DAZN」のプラットフォームへ積極的な設備投資を行い、さらに、33の市場に対して徹底的なマーケットリサーチを行った。3000万人ものファンがいる独・ブンデスリーガを例にすると、「EUROSPORTS」「ESPN3」「SKY」らの事業者の業績を分析し、彼らが届けきれなかった、新しいサービスを目指すという。

また、過去11年間に渡り放映権ビジネスに関わってきた経験から、どの国のどの競技の放映権がいつアクセス可能かを調べることができ、結果としてドイツ、オーストリア、スイス、日本で8月から同時期にサービスを開始することができた。

「DAZN」が目指しているのは、全世界で毎年3500ものライブイベント、60のサッカーリーグなどへ投資をして、コミュニティに参加。日本語、ドイツ語といった地元の言語に特化し、あらゆるデバイスで視聴できるサービスを手がけることだ。

そして、スポーツファンが欲しているのは「Netflix」のようなオンデマンドのサービスではなく、ライブ(生中継)だという。だからこそ、「DAZN」から各競技をライブ配信できるよう、手がけていくという。日本でも、W杯アジア最終予選をテレビの前で家族みんなで観戦した、そんな環境作りをしていく。

また、既存の放送局とも良好な関係を築いており、ドイツでの例を挙げると、6つのスポーツTVのうち5局がDAZNを通してコンテンツを配信し、放送局にも収益があがる仕組みを構築しているという。

No image

「DAZN」を通してスポーツ競技をマルチデバイスで配信

「DAZN」が目指しているのは、音楽業界の「spotify」、映像業界の「Netflix」「Amazonプライム」が起こしたような変革をスポーツ配信で起こし、破壊的ブランドの地位を確立することだ。スポーツ中継、スポーツ配信を変える巨大サービスの今後に期待しよう。

取材・文/折原 一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。オーディオ・ビジュアルをメインフィールドとし、デジタル機器全般の製品記事を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

■連載/折原一也のAudio&Visual最前線

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
【カジノ解禁法案】経済効果は年2.1兆円 参考は観光大国・フランス...200施設へ拡大も規模小さく
47歳、勤続15年でも年収360万円。真面目に働いても年収が上がらない“稼げない病”とは?
ボルボカーズ世界販売0.6%減---XC90 新型は好調 11月
町田市(の一部)、本当に神奈川県になる...ネタでもデマでもなく、本当の話です
ニッポンの自動車史に名を刻んだオモシロ軽自動車大集合!
  • このエントリーをはてなブックマークに追加