VRや社内RPG、オタク対応まで熱いLT満載だったkintone hack NIGHT

VRや社内RPG、オタク対応まで熱いLT満載だったkintone hack NIGHT

  • ASCII.jp
  • 更新日:2019/11/08

kintoneの可能性をLT形式でアピールするCybozu Daysの「kintone hack night」が今年もいよいよやってきた。ベテランが一通り殿堂入りし、登壇者もリフレッシュした今年もパワフルでバラエティ豊かなLTが次々と披露された。

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今年も満員となったkintone hack NIGHTの会場

司会も、登壇者も一新した今年のkintone hack NIGHT

「モンスターからの招待状」というテーマにあわせRPG的な世界観に覆われたCybozu Daysの会場。モンスターに侵食され、暴走し始めたサイボウ樹を倒す勇者を6人の中から選ぶ「kintone hack NIGHT」がいよいよスタートした。

kintone hack NIGHTに登壇する6人の勇者(ファイナリスト)は、25人が参加した予選会を勝ち抜いたまごうことなき猛者になる。本番ではkintoneの可能性を高める6分のLTを披露し、参加者からの投票を得て、真の勇者を決めることになる。定刻になると荘厳なBGMが流れる中、目深にフードをかぶったサイボウ樹の手下である後迫孝さんが壇上に現れる。

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「おまえらを●●にしてやろうかー!」とすごむ後迫さん。ただ、肝心の●●が「LANケーブル」としか聞こえず、ちょっとよくわからない

続いて司会の呼び出しに応じて、個性的な勇者たちが次々と登壇した。その後、昨年の覇者である山下竜さんが登壇し、チャンピオンソードを返還し、「キントーーーーン」という乾杯の音頭をとる。そして、デモンストレーションとなるLTを披露した。

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米Kintone Corporation 山下竜さん

昨年、ジョイゾー所属で優勝した山下さんだが、2度目のkintone転職を経て、現在は米Kintone Corporationでサンフランシスコ勤務している。そんな米国で見かけたのは、「今後すべての会社はソフトウェア会社になる」という記事。多くの企業でkintoneを活用するためにも、kintone側で「準備」が必要になると山下さんは語る。

「kintoneは簡単」と言われるが、実際は自由すぎてフィールドをいっぱい作ったり、動きが遅くなったり、データ修正に難渋したりする。山下さんもレコード番号で多段ルックアップをかけて苦労した経験があった。「こういう落とし穴に落ちないためには、理論と経験に基づいた一定の知識に基づいた設計を意識してほしい」と山下さんは訴える。

こうしたアプリの最適化を支援するのが、業種や職種に向けて最適な鉄板アプリをリコメンドする機能だ。さらに鉄板となる項目や連携までリコメンドし、アプリ設計レビューまでしてくれるいわば標準化支援サービスだ。具体的にはコマンドでAPIで実行し、リコメンド運用が対話型か強制か、日付フォーマットや運賃単位、時差、アプリ、項目などの推奨項目を反映してくれる。レビューに関しては、データ構造とパフォーマンスをチェックできるという。

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AIによるリコメンドとアプリ設計レビューまでを実現

VR世界からのkintoneを使ってみた佐山 ウィリアム 明裕さん

トップバッターの佐山 ウィリアム 明裕さんは、「最近のサイボウズはやさしい人多いイメージがありますが、こんなヤバい人いたんだという感じ(笑)」と紹介されるエッジの効いた若手。昨年の鈴木亜希子さんと同じく公明正大に予選会を勝ち抜いてきたウィルさんは、米Kintone CorporationのデベロッパーアドボケイトとしてAPIの認知を拡げている。

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米Kintone Corporation 佐山 ウィリアム 明裕さん

今回のテーマは、ヘッドマウントディスプレイの低価格化やコンテンツの充実でますます盛り上がるVR(Virtual Reality)とkintoneというエッジの効いた内容。ウィルさんは「いろいろなところからkintoneにつなぐことで、情報共有がスムースになります。VRの世界からkintoneにアクセスできるのであれば、人はVRの中で業務ができるのではないか」とまたまたエッジの効いたコメント。Unityで開発したVRの世界からkintoneにアクセスするデモを披露する。

VR世界でウィルさんが四角いペンギンに扮して、牧歌的な村を歩いて行くと、透明のトレイに金貨が貯まっている。実はこれはkintoneの売り上げグラフ。並んだウィンドウのkintoneで数字を更新すると空から金貨が落ちてきて、トレイに貯まっていく。会場からは「すごい」「まじかよ」という声が漏れる。

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kintoneグラフをVRの中で再現

続いてウィルさんはOcurus GoをかぶってVR世界に入っていく。「VRの素晴らしいところはなりたい自分になれるところ」ということで、ペンギンとなったウィルさんは、動物たちと立て看板の前に立つ。実はkintoneの未承認案件は動物として具体化されており、動物にタッチすれば承認される旨が立て看板には書かれているのだ。「タッチすれば」と書いてあるのに、ペンギン扮するウィルさんはなんと動物たちをどんどん空に蹴り飛ばしていく。蹴り飛ばしていくごとに承認件数は減っていくが、確かにヤバい人だ。「これってみなさんがやりたかったことですよね。みんな一発承認ですね!フゥ!」と語るウィルさんは、会場からも大きな拍手を浴びる。

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動物を蹴り飛ばし、承認件数を減らしていくというアグレッシブな一発承認

参加者が掲げたタオルを集計した結果、もちろん暫定一位。集計中の時間は、お笑い芸人さんのネタに耐えられるかというチャレンジで会場が沸き、罰ゲームでさらに沸くという怒濤の展開に会場はザワザワし続ける。

社員のHPがわかるkintoneのRPGを作った住田知基さん

2番手は名古屋のウィルビジョンでシステムエンジニアとして働く住田知基さん。若干22歳でありながら、過去数回もkintone hackをこなしており、社内コンビニの購入数をグラフ化したり、タイムカードの入力画面をスプレッドシート化してきた。最近ではkintoneとAlexaを用いた社内コンビニにもチャレンジしてきたという。

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ウィルビジョンの住田知基さん

これまで住田さんはおもに社内に溜まった業務データを利用してきたが、今回はkintoneのコミュニケーション機能に注目。そして「モンスターからの挑戦状」というテーマからモンスター、RPG、HP(ヒットポイント)と連想し、kintoneと感情分析を組み合わせ「社員のHPをリアルタイムに見える化する社内RPG」を作ってみたという。

HPの増減ルールはシンプル。まず、キツい言葉をかけられるとダメージを受けるほか、30分働いても同じくダメージを受ける。一方、仲間から褒められたり(やくそう)、退勤して30分休むことで、HPは回復する(宿屋)。実際、住田さんがkintoneにログインして、打刻ボタンを押し、ポータルに戻るとサイボウ樹が登場。また、メンション付きのネガティブなコメントが寄せられると、HPが減少する。逆にたくさん褒められるとHPは回復することになる。

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メンション付きのネガティブコメントを受けるとHPが減少する

仕組みとしてはkintoneのコメントが登録されると、AWS Lambdaを経由し、GCP Natural Languageで感情を分析。分析した感情に応じて、kintoneに結果を書き戻すという処理になっている。見た目はRPGだが、社員のHPと生産性の関係を分析することもできるし、そもそもタイムカードを打たないとHPを回復できないので、打刻ミスがなくなる。もちろん、褒め合うことでやる気も生まれるというメリットがあるので、かなり実用的。「みなさんもHPを見える化して、仕事に楽しさとやりがいを作ってみてはいかがでしょうか?」とコメントし、LTを終えた。

オリンピック話長すぎた赤い芸人、高橋克己さんの「キズキルーペ」

3番手は今年もやってきた赤い芸人の高橋克己さん。KDDIウェブコミュニケーションズのTwilioエバンジェリストとして唯一無比の存在感を誇る高橋さんは、6分のLT時間のうち、ほぼ4分を東京でオリンピックを生で見られることがどれだけ貴重な体験かを力強く語り尽くす。いろいろな計算とかもしてくれる。

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赤い芸人の高橋克己さん

個人的にはLTの時間の方が貴重な気がするのだが、高橋さんのオリンピック語りは止まらない。「うちの母ちゃんはあなたは生後2ヶ月のとき、東京オリンピックのマラソンは見ながら、『アベベ、アベベ』と応援していたと証言している。オレみたいな母ちゃん適当」と語り、ひとしきり寄り道を繰り返した後、ようやく「日本は高齢化社会だ」という結論になる。「僕にとって一番怖いのは記憶障害。この人の名前だれだっけ?が思い出せない」というところから、「キズキルーペ」の話に移る。ここまでで残り1分30秒だ。

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シャッターを押すと名前を照合してくれるキズキルーペ。フツーに便利そう

キズキルーペはスキャンボタンを押すだけで、目の前にいる人の名前を表示してくれるメガネ型デバイス。どう見ても違和感のあるフォルム、どう考えてもすぐ壊れそうなプロダクションレベルからはほど遠い試作品だが、モバイルでの利用を前提にkintoneで実装されており、写真を1枚登録しておけば名前を調べてくれるという。

残り30秒の段階でデモに移るが、kintoneは無情にも「誰だかわかりません」とダイアログを表示する。高橋さんが「あーーーーーーーーーー!オレのことを認識しない」と叫び、明日は会場でデモを成功させると宣言した。

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お笑い芸人のネタに含んだ水をふかないかチャレンジ中

kintoneのバリアフリー化を本気で試した浅賀功次さん

赤い芸人の嵐が去った後は、高橋さんと正反対とも言える静かな口調のアールスリーインスティテュートの浅賀功次さん(確か去年も同じ展開だった)。浅賀さんはkintoneのバリアフリー化に本気で挑戦した話を披露した。

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アールスリーインスティテュートの浅賀功次さん

昨年の登壇はスマートスピーカーとkintoneを連携させるネタだったが、実はこれがきっかけで仙拓との連携につながった。仙拓は左の親指しか動かない重度障害者である佐藤仙務社長はじめ、障害者や女性が中心としたクリエイター企業になる。「そんな仙拓において、どうやってキーボード入力してタイムカードに打刻すればいいでしょうか? 突然の体調不良をどのように把握すればよいでしょうか?」(浅賀氏)。この課題を改称すべく、音声によるkintoneタイムカードの打刻にチャレンジした。

さっそくAmazon EchoShowを使ったデモ。浅賀氏が「タイムカードを開いて」とリクエストすると、EchoShowから今の時刻と打刻の有無、そして体調まで尋ねられる。もちろん、退社時も同じ。これらの質問に音声で答えると、kintoneのタイムカードアプリに打刻はもちろん、会話の内容もきちんと登録される。

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Amazon EchoShowを用いて、音声だけでkintoneに打刻できる

今回のチャレンジにより、音声での打刻が可能になり、体調を把握することも可能になった。今後は画面付きデバイスに対応し、聴覚障害の人にも使ってもらいたいという。「今回、開発もすごく大変なことをやったわけではないが、ちょっとしたアイデアとITの力を組み合わせることで、kintoneの可能性を広げることができると思います」と浅賀さんはコメント。枯山水のような静けさながら、kintoneのUIを拡げていく強い意思を感じたセッションだった。

kintoneの便利機能をツールボックス化した松田正太郎さん

5番手はプロジェクト・アスノートの松田正太郎さん。素人を謳う松田さんは、「エンジニアでもない、プログラマーでもない、サンプルをコピーして動かんと言っている素人がどうやって勉強したか」と語り始める。

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プロジェクト・アスノート 松田正太郎さん

松田さんの勉強道具はずばり「Cybozu Developers Network」。これを使ってやったのは、アウトプット駆動型の勉強で、やったことはどんどんブログに書く。初心者がはじめの一歩を踏み出すために書いた「ど素人が始めたkintoneカスタマイズ」という内容のブログは、Cybozu DevCampの教材でも使われたという。

今回kintone hack nightに参加するに当たっては、なかなかスキルでは追いつけないので、どこで使うか、何に使うかのアイデアで勝負することにした。具体的に作ったのは、今までアプリごとにやっていた操作をツールとしてまとめた「kTools」だ。たとえば、「フィールドまるごとコピー」ではアプリ番号を指定することで、文字通りフィールドをコピーできる機能。また、フィールド簡単設定やユーザーの設定一括変更、フィールドコード変更などもまとめて設定できるようになっている。まさに日々kintoneを使っているユーザー目線の「道具」提案だった。

アイドルオタクに愛してもらえるkintoneを作った築山春木さん

実はここまでは1番手の佐山 ウィリアム 明裕さんがずっとトップをキープ。勝負は最後のアールスリーインスティテュート 築山春木さんの双肩にかかることになった。鈴木愛理ちゃんの自作Tシャツをまとい、気合い十分で入場した築山さんは、「アイドルオタクがkintoneで仕事を楽しくしてみた」というテーマで(防人でありながら)最後の戦いに挑む。

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アールスリーインスティテュート 築山春木さん

築山さんのLTはアイドルオタクの市場規模からスタートする。国内のいわゆるオタク市場は2400億円で、そのうちアイドルオタク280万人。年間平均で10万円以上は使っているという(2018年 矢野総合研究所調べ)。つまり、このアイドルオタクたちがkintoneを使ったら、市場は大きく広がるというのが築山さんの持論だ。

しかし、kintoneの認知度は低い。アイドルオタク仲間に聞いたところ、知っている人は2割で、使っている人は1人もいなかった。この現状を知った築山さんは「アイドルオタクに推されるkintoneを考える必要がある」と力説。まずは7月にリリースされたポータルカスタマイズで、kintoneを愛理ちゃん色に染めてみた。やり方も簡単で「kintone Portal Designer」でデザインと素材を選択すれば、自動的にJavaScriptを生成してくれるのだ。

しかし、これだとkintone全体のカスタマイズになってしまうという問題がある。「オタクにもいろいろな種類がいて、いろいろな派閥があるんです。せっかくkintone入れたのにチームワーク崩壊です。全然だめです」と築山さんは指摘する。そこで、チームワークあふれるポータルのためにさまざまなポータルを用意し、グループ(ロール)を作成。さらにアールスリーのGusuku Customineを使うことで、ログインユーザーごとに表示するポータルを変えるようにした。しかも、推しの変更に対応すべく、ポータルの変更申請アプリを作り、DataSpiderを介して、cybozu.comのユーザー管理と連携させた。これにより上司の承認を得て、所属グループを変更し、推しの変更にともなうポータル変更が可能になった。

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チームワークあふれるユーザーごとのポータル設定

ここまでが予選会での内容だが、築山さんはさらに作り込んできた。前提として約2700万人というオタクの人数を考えると、実は15~64歳の1/3がオタクになる計算だ。しかし、会社ではオタクとばれたくないため、実はポータルは使われないという課題があった。そのため、築山さんはシークレットモードを作成し、上司に内緒でポータルを変更することを可能にした。鈴木愛理ちゃんの生年月日がパスワードにすれば、もはや管理者でもアクセス不可。しかも背後からのぞかれてもオタバレしないよう、一瞬で通常ポータルに変更できる機能まで作った。まさに完璧だ。「オタクも喜んでkintoneを使っていただけるので、ぜひみなさんも使ってもらいたい」と語って、6分間に詰め込んだセッションを終えた。

魂のLTが終了した6人が再び登壇して、結果発表になった。優勝はまさかの築山さんの大逆転!「アイドルオタク」というテーマ一点突破で完成度を高めてきた結果と言えるだろう。「実は私は営業職。エンジニアではない鈴木さんが出たのを見て、私も出ることにした。エンジニア以外の人ももっと出てほしい」とエールを送り、今年もハイレベルなLT大会は終了した。

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アイドルオタクネタで作り込んできた築山さんがなんと逆転!おめでとうございます!

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