28歳女性が、婚活マッチングアプリで「年収3千万」の「パティシエ」と出会った話

28歳女性が、婚活マッチングアプリで「年収3千万」の「パティシエ」と出会った話

  • 文春オンライン
  • 更新日:2019/11/17

オタク女子ユニット「劇団雌猫」による、恋愛エッセイ集『誰になんと言われようと、これが私の恋愛です』。趣味に忙しい女性達がそれぞれ匿名で、恋や結婚にまつわる心の内を文章にしています。その中から「マッチングアプリに半年間登録した、20代後半オタク女性」によるエッセイを特別に公開します。

●著者プロフィール スカンクさん
(年齢)28歳
(初恋の相手)天王はるか(「美少女戦士セーラームーン」)

◆◆◆

20代も半ばの夏、付き合っていた彼氏に「銀英伝と俺、どっちが大事なの?」と聞かれた。

当時私は『銀河英雄伝説』という小説が原作の舞台にドハマりし、毎週全国の劇場を行脚していた。ちょっと彼氏を放置しすぎたかな、と思っていたタイミングで深刻な顔で聞かれたのが冒頭のセリフである。

「もちろんあなたの方が大事だよ!」と即答できたらよかった。しかし舞台のことで頭がいっぱいだった私から咄嗟に出てきた言葉は「とりあえず千秋楽まで待って」だった。結果すぐに浮気され、5年以上の交際はあっさりと終わりを迎えた。

浮気されたことは男を見る目がなかったと思えば割り切れる。問題は「明らかに趣味より男を愛せなかった」ことだ。浮気を知った時より銀英伝の千秋楽の方が泣いた。一応適齢期なのに、この調子じゃ今後の恋愛も結婚も絶望的だ。どうするんだ私。

「これなら自分にもできるかも」

そんな時、婚活マッチングアプリ体験記ブログを読んだ。その婚活アプリは従来の出会い系とは違い、運営に免許証まで提出する安心設計。また趣味や価値観を軸にしたコミュニティもあり、年齢や収入以外にも細かな条件で相手を探すことができるそうだ。「これなら自分にもできるかも」と思った。

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©iStock.com

オタクにありがちな価値観かと思うが、私は「恋愛を目的とする紹介イベント」への警戒心は強いが、「インターネットで出会った趣味の合う人とのオフ会」に対するハードルはおそろしく低かった。合コンで自分の趣味を隠し、相手の価値観を探りながら会話するより、最初からオタク趣味があることを確認した上で誘ってくれる人と会う方が気が楽だ。すぐに彼氏ができなくてもいいから、とりあえず男性と会ってみよう。そんな気持ちで登録した。

婚活アプリで出会う会社員男性の8割の「趣味」は……

最初のうちは新しい人と出会い、食事するだけで楽しかった。どんな仕事をしているのか、休日は何をして過ごすのか、自己紹介をするだけで初対面の2時間くらいはあっという間だ。普段の生活では出会うことのない異業種の人と話すのはいつも新鮮で、勉強にもなった。「旅行会社の添乗員」とは旅の話で盛り上がり、「化粧品会社の営業」にはサンプルをいっぱい貰った。

しかし、いつからか「素敵な人との出会い」より「いかに面白い人と出会うか」が目的となっていった。プロフィール欄で注目するのは年収や結婚観より職業や趣味の珍しさ。フットサルの話は聞き飽きたが(婚活アプリで出会う会社員男性の8割くらいは趣味がフットサルである)「自作PC」が趣味の男性にはあれこれ質問した。銀英伝で階級萌えが続いていたので普段はマッチョが苦手なのに「元自衛隊員」とも会った。

「パティシエ」で「年収3千万」だった若い男性

一番面白かったのは職業が「パティシエ」で「年収3千万」だった若い男性だ。どうやったら20代のパティシエが年収3千万も稼げるんだ? 釣りなのか? 実は業界では有名人なのかな。メッセージで届いた彼の本名でググってみると、ひとつのブログがヒットした。それは、彼が「飼い犬のハナちゃん」になりきり、「ご主人(=自分)」を観察する内容の、日々の記録だった。「ご主人、今日はフレンチを食べてきたんだって♡」「ご主人は女の人にモテモテなんだよ!(ご主人のキメ顔写真)」「ご主人の作るお菓子は、世界一☆︎」……パティシエという職業は嘘ではないようだったが、あまりの内容にブラウザをそっ閉じした。世間にはいろんな人がいる。

ちょっといいなと思った男性がいた。彼はプロフィールに「コードギアス」(私が一番好きなアニメ)が好きだと書いていて、高学歴で映画配給会社に勤めていて映画にものすごく詳しく、高身長イケメンだった。趣味も合うし変なブログもやってない!(たぶん)

私は並行して新しい恋を始めていた

しかし、私は並行して新しい恋を始めていた。『進撃の巨人』である。久々に旬ジャンルにのめり込んだ私は、毎週のように開催される即売会イベントに通い大量の同人誌を購入していた。ある週末、ビッグサイトにいる私に彼から「今夜飲みに行かない?」とデートのお誘いLINEがあった。まだお昼前で、家に荷物を置いてから向かっても余裕で間に合う。でも私は考えるより早く「ごめん、今夜は予定ある」と返信していた。今両手に抱えている宝の山を、できるだけ早く読みたかった。始発で並んだから、めちゃくちゃ眠いし。

「あ、私、銀英伝の時と何も変わってないんだ。」と気付いた。そしてやっと「今めちゃくちゃ楽しいし、別にこのまま一生結婚しなくてもいいや」と思えた。そこで婚活アプリは退会した。

アプリに登録していた期間は半年にも満たなかったが、それなりに楽しかったし、幸運なことに特に嫌な思いはしなかった。何人かとは今もフェイスブック上で友達だったりする。

一番大きな収穫は、多くの男性と話したことで「私なんかもう誰とも付き合えないんだ」という気持ちがすっかり薄れ「地球上に男が何人いると思ってるの?」という前向きな気分が戻ってきたことだ。どん底だった私の自己肯定感は満たされたし、女子会での鉄板ネタがいくつも生まれた。ありがとう、そしてさようなら婚活アプリ。

(書籍収録の文章を一部編集しています)

(「文春オンライン」編集部)

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