「米国、中国の2大市場で標的?」-韓国産業界で懸念強まる

「米国、中国の2大市場で標的?」-韓国産業界で懸念強まる

  • JBpress
  • 更新日:2017/10/13
No image

米ホワイトハウスで共同記者会見に臨んだドナルド・トランプ米大統領と韓国の文在寅大統領(2017年6月30日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON 〔AFPBB News

米国と中国は、もちろん、韓国の産業界にとって圧倒的に重要度が高い2大市場だ。この両国で最近、韓国企業の不安感が高まっている。

企業活動に悪影響を与えかねない措置が相次いでいるからだ。安保問題も絡んでいるとの見方もあり、対応は容易ではない。

2017年10月11日、ソウル中心部にある大韓商工会議所の会議室。ふだんは、めったに同席することがないサムスン電子とLG電子の役員が、重苦しい雰囲気の会議に揃って出席した。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

洗濯機にセーフガード?

「洗濯機セーフガード(緊急輸入制限措置)対策会議」

韓国政府が開いた緊急会議だった。

10月5日(米時間)、米国の国際貿易委員会(ITC)は、サムスンとLGの輸入洗濯機が米国の業界に深刻な被害を与えていると判定した。10月19日にこの問題についての公聴会の開催が決まり、急遽、対策会議を開いたのだ。

「今さらなんで洗濯機なのか?」。韓国内でもこんな反応は多い。

実は、サムスンとLGは、数年前から、「白物家電」のグローバル市場、特に、米市場での新規開拓に力を入れており、このうちの戦略商品の1つが「洗濯機」なのだ。

大型の高品質ドラム式洗濯機を相次いで米国で発売し、消費者の間で高い評価を得ていた。

韓国メディアによると、両社とも最近3年間でシェアをぐんぐん伸ばし、それぞれシェアが20%近くに達している。両社の洗濯機の米国での販売額も合わせて、1兆ウォン(1円=10ウォン)を超えていると見られる。

サムスン、LGの攻勢に危機感

これに危機感を抱いたのが、米ワールプールだ。「毎日経済新聞」によると、ワールプールは2017年5月、「サムスンとLGが米国で洗濯機を人為的に低い価格で販売した」などとして、ITCにセーフガードの発動を請願していた。

ITCは、公聴会を経て12月にもドナルド・トランプ大統領に対して具体的な救済を建議する可能性が高い。その後、60日以内に最終措置が決まる。

韓国メディアは、「セーフガード発動の可能性が高い」と報じている。最終措置には、関税を課すことや輸入制限などが含めれる恐れもある。

サムスンとLGは、米国内に工場を建設する方向で検討もしている。

米政府の韓国に対する強い姿勢はこれだけではない。

太陽光パネル、鉄鋼、樹脂、次々と・・・

9月22日、ITCは韓国と中国、メキシコからの太陽光パネル、電池の輸入品が米業界に深刻な被害を与えていると判定したばかりだ。

いずれのケースも、セーフガード発動となれば、2002年に韓国産などの鉄鋼製品に対する措置以来16年ぶりとなる。

これだけではない。ITCは9月26日、韓国など5カ国からのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂に対してダンピング調査に着手した。

2012年から課している韓国製電力変圧器に対するダンピング関税を5年間の期限である2017年末以降も延長するかどうかの検討にも入った。

トランプ大統領はこれより前の4月には、長年、適用したことがない「通商拡大法232条」を根拠に、ポスコ製などの鉄鋼製品の輸入が米国の安全保障に悪影響を及ぼしているかどうかの調査を命じた。

「まさか、韓国製品を狙い撃ちしているわけではないのか」

韓国紙デスクは一連の米政府の措置に警戒感を強める。

FTAも改定協議に

韓国政府にとってさらに厄介なのが、「米韓FTA(自由貿易協定)改定問題」だ。

トランプ大統領は、選挙期間中から、NAFTA(北米自由貿易協定)と並んで、米韓FTAを「米国の雇用を奪っている」と批判してきた。

10月4日、米韓両政府は、ワシントンでの協議で、米韓FTAの改定作業に着手することで合意した。

韓国政府は、一貫して「米韓FTAは両国経済にプラスだ」との立場で、改定や再交渉を避けようとしてきた。しかし、米政府の強硬姿勢で、協議を進めることになった。

韓国の産業界だけでなく、米国の産業界にも、米政府の保護主義ともいえる姿勢に批判的な声は少なくない。

問題は、どうしてこうも立て続けに韓国が矢面に立つのかだ。

韓国紙デスクは、「トランプ政府の通商問題での標的は、まずは中国、さらにNAFTA改定、その次が日本とのポストTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉という順番だと思っていた。いずれも難航が予想され、韓国が前面に出るのは、その後の2018年以降ではないかという楽観的な見方があった。実際には、まったく異なる展開になっている」と話す。

通商問題に詳しい大学教授は「韓国だけが標的になっているのではない。トランプ政権は通商問題については、とにかく、アメリカファーストだ」と言う。

だが、先の韓国紙デスクは次のように嘆く。

「通商に関しては韓国に厳しいのは間違いない。では、どうしてなのか。中国に厳しい姿勢を見せるためにまず、韓国に強く対応している。日米間は首脳同士が緊密である」

「北朝鮮への対応などで米国との共同歩調を取るように迫る圧力の一環で通商問題で強く出ている・・・。どれも、そうかもしれないが、あくまで憶測で、いまひとつ説得力に乏しい」

韓国政府や産業界にとって悩ましいのが、米国と並ぶ巨大市場である中国との間でも、様々な問題がくすぶっていることだ。

通貨スワップ協定延長満了

10月10日、中韓政府間で結んでいた「通貨スワップ協定」が満了した。560億ドル規模の協定で、韓国側は延長を望んでいたが、中国側が満了日までに延長に応じなかった。

韓国政府が2016年7月に地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の韓国内配備を決めたことに中国政府が強く反発し、両国関係は冷え込んでいる。

両国関係は、政治外交分野にとどまらず、経済分野にも影響を与えている。

中国に進出しているロッテや新世界グループなど大手流通企業は、政府による営業停止処分や販売不振などから中国事業の縮小を決めた。現代自動車も売り上げ急減に陥ってしまった。

観光業界にも大きな影響が出ている。

韓国政府や産業界の間では、「通貨スワップ協定」の延長を機に、中韓関係を改善させたいとの思いがあった。

いずれは延長するにせよ、期限内延長が実現しなかったことで、「冷たい関係がしばらく続く」という悲観論も出ている。

韓国経済はいまのところ、比較的好調だ。輸出も企業業績も好調だし、株高も続いている。ただ、通商問題でのもやもや感は産業界に急拡散している。

「絶好調の半導体市況の先行きとともに、通商問題がこれからの大きな懸念材料だ」

証券アナリストも、米国と中国の出方に注目している。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

中国・韓国・アジアカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
韓国でタブー視される「旭日旗」、似たデザインにも“過剰反応”相次ぐ、悪役イメージすっかり定着
日本のあの漢字は表現が美しい、中国人観光客が注意すべき日本の漢字―中国コラム
核保有で高まる北朝鮮崩壊の可能性
「中国人ですか?」「いえ、日本人です」「えっ」=ギリシャのワイナリーでの出来事―中国メディア
小麦粉をつけて油で揚げるだけだと思ってた・・・日本の天ぷらは奥が深すぎる=中国

注目のキーワード

キーワードで気になるニュースを絞りこもう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加