8作目:摂食障害、セクシュアリティ、鬱。ティーンエイジャーの友情と葛藤をパンクに描いた映画『チーム・ハリケーン』|GOOD CINEMA PICKS

8作目:摂食障害、セクシュアリティ、鬱。ティーンエイジャーの友情と葛藤をパンクに描いた映画『チーム・ハリケーン』|GOOD CINEMA PICKS

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  • 更新日:2018/02/14

理由もなくイライラしたり、猛烈に悲しくなったり、そうかと思ったら急にバカみたいにハッピーになったり。ティーンエイジャーの世界は忙しい。子どもの頃みたいに自分の知っている世界がすべてだと安心しきって生きてはいけないけれど、大人に面倒を見てもらってるぶん自分の好きなようにすることもできない。子どもと大人の狭間で時間を持て余し、自分の存在の意味を何度も考え、その空虚さに恐ろしくなることだってある。大人になると忘れがちだけれど、ティーンエイジャーの世界にはいたって真剣に、特有の苦労がある。社会派の映画を紹介する『GOOD CINEMA PICKS』で今回は、渋谷ユーロスペースで開催中の北欧カルチャーを発信するノーザンライツフェスティバル2018から、ティーンの葛藤を生々しく、同時にドリーミーな世界観で描く『チーム・ハリケーン』をピック。

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どこかノスタルジックで、限りなく「現代的」なパンク・ガールズ・ムービー。

『チーム・ハリケーン』はデンマークのユースセンターに毎日のように集まる8人の女の子の物語。ユースセンターとは北欧で普及していた放課後に子どもたちが集まる施設のこと。現在は通う子どもたちの数が減少したため、多くが廃止されているそう。映画のなかのユースセンターもその運命を辿ることとなり、8人は自分たちの居場所を奪われ、落胆したりもする。映画全体がどこか寂しく、ノスタルジックな雰囲気に包まれているのは、現実世界で消え去っていくこのユースセンターを舞台にしているからというのもあるかもしれない。あらゆる悩みと葛藤しながらも力強く生きる主人公の8人を演じた女優は、SNSで集められたほぼ演技経験0のティーンエイジャーたち。映画のなかでは本名で出演している。『チーム・ハリケーン』は「映画であって、映画以上のものでもある」と主人公の1人、ザラを“演じる”ザラは話す。(参照元:i-D)「描かれている問題は演じられているものじゃないの。映画に描かれている葛藤は、ティーンの感情について考えたことのないような前世紀の大人が書いたわけじゃないしね。映画で流す涙は、心からの涙だよ」そう話すのは映画のなかで、自身の鬱との闘いに耐えきれず涙を流すミア。(参照元:i-D)映画を見終わったあとに、彼女たちのInstagramをフォローすれば、まるで『チーム・ハリケーン』は映画館を去ったときに終わったわけではなく、現実世界で続行しているかのように感じられるかもしれない。

予告編

※動画が見られない方はこちら

この映画が「現代的」と言えるのは、SNSキャスティングだけではなく、様々なシーンに埋め込まれているインターネット・アートの存在も大きい。インターネットを連想させるビジュアルアートがシーンとシーンの間に、物語の流れなど気にしていないかのように映し出される。ちなみに、そのなかにはピカチュウや、ヘンタイ漫画など日本の影響も見られるから日本人オーディエンスはなんだか少し嬉しいかも。

空想の世界のようなのに、痛いほど現実的なティーンエイジャーたちの肖像

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海外のチューインガムを連想させるビビッドカラーに溢れたこの映画はどこか空想の世界かのようにも感じる。しかし、主人公たちの悩みはいたって現実的。摂食障害、鬱、貧困、家出、自身のセクシュアリティとの葛藤など、これまでも、今も、これからも、多くの若者が向き合う問題。若手映像作家のUMMMI.は『チーム・ハリケーン』は「アタシたち」の映画だと話していたが、それは登場人物が誰1人として完璧ではなく、それぞれがもがきながらかっこ悪く生きているからかもしれない。暴言を吐いたり、意地悪を言ったり、調子にのってみたり…彼女たちは、人間らしい。だからこそ彼女たちの友情や、努力を愛おしく見守りたくもなる。本作の監督アニカ・ベウは作品について「ティーンエイジャーだった頃の自分へのラブレターなの。そして、自分と、1度はティーンエイジャーだった大人、そして今ティーンエイジャーとして生きている子たちへ、思春期に抱える独特のエネルギーとか弱さを愛して、大切にしてあげてっていうリマインダーなの」と話す。(引用元:Women and Hollywood)誰もが1度は経験したことのある、ティーンエイジャーという特別な人生の期間。その頃の経験を乗り越えた人もいるかもしれないし、引きずっている人もいるかもしれない。どちらにせよ『チーム・ハリケーン』の8人の誰かに強く共感し、もがきながらもどこまでも自分らしく生きる彼女たちに勇気付けられる大人は少なくないだろう。

『チーム・ハリケーン』

2018.02.16 Fri

21:10〜

チケット

ユーロスペース

トーキョーノーザンライツフェスティバル 2018

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ユーロスペース

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