元サッカー日本代表・岩政大樹氏が指摘「例えば、攻撃がうまくいかないとき改善する方法」

元サッカー日本代表・岩政大樹氏が指摘「例えば、攻撃がうまくいかないとき改善する方法」

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  • 更新日:2017/09/17

初の書籍「PITC LEVEL」(ピッチレベル)を刊行し、ジャーナリストら「今年一番面白いサッカー本」など賛辞を贈られている岩政大樹(東京ユナイテッドFC)。そのサブタイトルと同名の「例えば、攻撃がうまくいかないとき改善する方法」の連載バージョンを再掲する。

両立とは一方がだめになったときの保険ではない

僕はサッカー選手には珍しく、数学の教員免許を持っています。この歳になって数学を勉強し直す気力はなく、数学の教員になることはないと思いますが、数学的な考え方はサッカーに生かされています。
数学を学ぶことで論理的な思考力が養われると言われています。数学とはそもそも論理を数式で表したものですから、数学に取り組むことで論理的に考える素養が身につくことは自明でしょう。
少しでも話し込んでいると、鹿島時代のチームメイト(特にゴールデンエイジの面々!)によく「話が長い!」(「理屈っぽい!」と同意)と突っ込まれましたが、そうした私であることは自分でもよく理解しております。
今日お話ししたいのは「両立」についてです。両立とは、一方がダメになったときのための保険の意味合いで受け取られることが多いですが、僕の感覚ではこれらは別個のものではなく、同じ「自分」という括りの中で繋がっています。つまり、僕にとってサッカーをすることは勉強に、勉強をすることはサッカーに、それぞれが生かされて一緒に大きくなっていくものなのです。
今日のテーマは、「両立のススメ」です。

僕は元々、サッカー選手を目指してはいませんでした。というよりも、「サッカー選手になれるかもしれない」という可能性を1ミリも感じることなく育ちました。将来をずっとサッカーで生きていこうなんて考えもしなかったので、教師をしていた両親の背中を見て、自然に教師になろうと思うようになり、勉強も決してガリ勉ではありませんでしたが、しっかりと取り組みました。
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サッカーを存分にするためにいかに勉強するか

サッカーにいい加減だったわけではありません。僕は根っからの負けず嫌いだったので、どんなに自分に才能がないことを知っても「試合に勝ちたい」「もっとうまくなりたい」と必死でした。
勉強は「好き」というわけではありませんでした。「やらなければいけないもの」という誰とも変わらない感覚だったと思います。「やらなければいけないこと」だから、大好きなサッカーを思う存分やるために、どうすれば効率よく勉強を済ませられるか、いつも工夫していました。
休み時間や自習時間、学校の行き帰りの時間などを利用して最低限のことだけこなしました。丸暗記が嫌いだったので、覚えなくていいものと覚えなくてはいけないものを区別して、できるだけ要領よく勉強できるように考えていました。
今になって思うのですが、両立とは「好きなことを思い切りやること」と「やらなければいけないことをしっかりとやること」なのだと思います。そのどちらも一生懸命取り組む習慣をつけられたことは、両立を目指して過ごした思春期の一番の財産だなと思っています。

また、先にふれたように、数学とサッカーはそれぞれに良い作用をもたらしてくれました。
論理的な考え方をすることはサッカーを考え、語る上での、僕の一つの武器となりました。サッカーに取り組む姿勢は、数学の難問に向き合ったときの我慢強さに繋がりました。
今でもそうです。僕は今年からサッカー選手だけでなく、コーチや解説、執筆活動などを行なっています。僕はサッカーをとおして確立してきた自分の生き方で新しい仕事に向かい、新しい仕事をとおして得られた新たな発見をサッカーに活かしています。

相反するように見えるものが処方箋になる

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この相互の作用の面で、僕はサッカーから学んだことがあります。それは、「相反するように見えるものが処方箋になる」ということです。
例えば、試合において攻撃がうまくいっていないときに、それを改善する薬は、攻撃を直すことではなく、守備を直すことです。チームの攻撃がうまくいかない時期には、「攻撃をどうしたらいいか」と悩みがちですが、実はあまり深く考えずに守備からやり直し、いい形でボールを取れるようにしたら、すぐさま攻撃がうまく回り出したりします。
メンタルとフィジカルも同様です。試合が始まって「なんとなく気持ちが乗らないな」という日も人間ですから当然あります。そんなときになんとか気持ちを奮い立たそうと、メンタルの問題をメンタルで解決しようとしても無理があります。
僕はそんな時はフィジカルからアプローチするようにしています。つまり、メンタルは一旦横に置いておいて、いい状態の体の動かし方に意識を集中し、やるべきプレーやいるべき立ち位置に集中するのです。すると自然に気持ちは後から高まってきます。
逆も同様で、「体が重いな」という日には、メンタルの方で自分を盛り上げていき、後からフィジカルが追いついてくる、という感覚で、自分への処方箋を考えるようにしています。

こうしたことはサッカーには実はたくさんあります。だから、僕はいつも自分が考えている問題点を違う視点から考え直す、という作業を意識してやっています。
つまり、攻撃と守備も、メンタルとフィジカルも、はたまた勉強とサッカーも、本来は「両立させる」という概念が間違いなのかもしれません。2つは違うところに並び立っているように見えるものですが、実はそれらは繋がっていて、混ざり合っているものなのです。
「攻撃がダメだったら守備で」、「メンタルがダメだったらフィジカルで」、「サッカーがダメだったら勉強で」ではなく、「攻撃のために守備を」、「メンタルのためにフィジカルを」、「サッカーのために勉強を」という感覚が適切だと思います。

山口県の瀬戸内海に浮かぶ島で育った日々のことをよく思い出します。あの頃の自分にサッカー選手になる夢は描けず、将来の明確な未来像のために何かを頑張っていたわけではありませんでした。
僕にあったのは「今を生きる」ことだったと思っています。好きなことも嫌いなことも、一生懸命に取り組んだことだけが今に繋がっています。
だから今、僕はもう一度、将来の自分は決めずに、一生懸命に今を生きることを自分に課すことだけ決めています。
「好きなことを思い切りやること」と「やらなければいけないことをしっかりとやること」を両立させながら。

<岩政大樹・東京ユナイテッドFC所属。9月16日に「PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法」を上梓>

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