日本人は「ロヒンギャ」を自分事にできるか

日本人は「ロヒンギャ」を自分事にできるか

  • BEST T!MES
  • 更新日:2017/11/25

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます第一回〈今さら聞けない「ロヒンギャ」差別の原因〉
第二回〈スーチー氏「ロヒンギャ」解決を阻む3つの壁〉

「ロヒンギャ」問題は昨日今日に始まった話ではない

トオル…僕が不勉強なだけかもしれませんが、ロヒンギャ問題って最近とくによく耳にするようになった気がします。

根本…ここ5年の中で木造船の漂流事件もありました。去年の10月には一部のロヒンギャが武装襲撃事件を起こしましたが、それに対する軍による100倍くらいの報復があったので数万人がバングラデシュに逃げています。そして、今回はもっと大規模な弾圧を受けて60万人以上が難民として逃げています。

しかし、ロヒンギャ問題はそんなここ数年に起きた話ではありません。根は深く、イギリス植民地期に要因を求めることも可能です。1970年代と90年代にも20万人以上の大規模な難民問題が起きています。歴史の中で常に虐げられている存在だったわけです。

トオル…そうなんですね。

シズカ…1970年代からロヒンギャ難民がいたとは知らなかったわ。その時はまだ生まれてないけど、90年代の時はリアルタイムでニュースを聞いていたのかしら。

根本…根本的にメディアがこの問題を継続して追っていないという問題があります。以前の難民問題で報道されなかったわけではないんですよ。90年代の大規模な難民の時には国際社会が大騒ぎしました。日本国内でも報道されています。しかしその後が続かなかった。

トオル…たしかに。政治の問題も話題が短期間でコロコロ変わるよね。

根本…例えば、大手の新聞社は人事異動で45歳になるとデスクになって現場から離れ、一方、現場には常に新人が入り、ロヒンギャのことは先輩から後輩に伝えられていない。そして、国際社会で問題になっているからと慌ててニュースにすると、さも今難民問題が始まったように書く。私のもとにも多くの記者さんが取材に来られましたが、一部の例外を除いてロヒンギャの「いろはのい」から説明する必要がありました。

トオル…うっ、それってまさしく今日の僕達…。

シズカ…私たちももっと前から知っておかなくてはいけない情報だったのに、反省だわ。

【問題を追い続けよ!:田中光さんの4コマ編もぜひご覧ください】

日本のメディアは正しく報じているか

根本…ちなみにメディアの話題でもう一つ。海外メディアに比べて日本のメディアがアウンサンスーチーさんにあまり否定的でないのは理由があります。実は、日本のメディアはヤンゴンにいるミャンマー政府のスポークスマンの話を情報源にすることが多い傾向にあります。すると、政府批判には繋がりづらいわけです。反対に欧米のメディアは難民が出ている現地バングラデシュに契約記者を送って情報を得るので、勢いアウンサンスーチーを非難する記事が多くなります。

シズカ…日本の記者さんもがんばってほしいですね。

根本…事実、欧米のメディアはバングラデシュやミャンマーのラカイン州に入るべく、あの手この手を使って入ろうとしていると聞きます。とにかくメディアの方には継続的に、情熱を持って報道を続けて欲しいと思いますね。日本のメディアは大きな問題があると洪水的に報道しますが、すぐに冷めて次の話題に移ってしまいますから。まるで問題が解決したかのように引いていきますよね。たとえば「シリア難民」はまさしくそうでしょう。

トオル…あったあった! 確かに最近はニュースでも全然聞かないな。

シズカ…もう解決したような雰囲気だわ。

根本…まだ問題は解決していません。ちなみに「シリア難民」が盛んに報道されていた時期、上智大学の推薦入試の受験生たちに面接で「気になっているニュースは?」と聞くと、ほとんど10人中10人が「シリア問題」と言っていたのを思い出します。その前はエボラ熱。今年はロヒンギャと北朝鮮問題でした。やはりメディアの影響力は大きいですよ。

トオル…もちろんそういうメディアの影響もあるんだろうけど…正直こういう難民問題ってなかなか自分から関心を持ちづらい部分もあると思うんです。

難民問題は決して他人事ではない

No image

都内で声を上げるロヒンギャの人々写真:AP/アフロ

根本…実は多くの難民が日本にもいて、ロヒンギャ難民も住んでいるんですよ。決して「ロヒンギャ」は私たちにとって他人事ではありません。ロヒンギャの中でも商売や貿易をしていた人は金銭的な余裕があったので様々な工夫を凝らし、国外に出ています。ロヒンギャはミャンマーの近隣諸国以外に移り住むケースも多いのです。例えば、政府の関係者に賄賂を渡して別の民族名称で国籍を買い、ヤンゴンから一度バンコクに行き、第三国に行く道を模索する。

トオル…彼らはどんな国にいくんですか?

根本…バングラデシュの首都ダッカに行く人もいればサウジアラビアやリビア、この辺りはイスラムの人たちが多いですね。イギリスやカナダ、アメリカやオーストラリアに行った難民も少なくありません。実際難民キャンプからの第三国定住でオーストラリアに行ったロヒンギャは1000人くらいいます。日本には自力で来た人が200人くらいいて、一部は難民認定を受け、主に群馬県の館林市に住んでいますよ。

トオル…群馬県にいるんだ、全く知らなかった!

シズカ…数は多くないけど、ここ日本にも確かにロヒンギャの人がいるのね。

根本…ロヒンギャにかぎらず日本に移り住む難民の方は多くいます。ですから、こういったニュースをきっかけにして、難民問題にも関心を持ってほしいですね。そのきっかけがロヒンギャでもいいと思います。民族の名乗りの権利、宗教や肌の色の違い等で国から追い出すという排他的なナショナリズムの問題性、そういったところに話が繋がり、考えるきっかけになると良いと思いますね。

トオル…自分事として、明日からニュースもしっかり追っていこう。

シズカ…私も。根本先生、今日はありがとうございました!

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

国外総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
エルサレム問題、主張すれ違い=EU各国外相、イスラエル首相と会合
インフラ停止させる「電磁パルス攻撃」の対処法 専門家の見解は?
パリ市当局、Airbnbに1000室の掲載中止を要請
中国公共交通で進む「AI化」 地下鉄、無人運転バス......けん引役はアリババ、テンセント
シリア国内に展開しているロシア軍 大部分を撤退へ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加