ハイレゾ4Kで配信された「藤田恵美『Headphone Concert 2021』」を体験

ハイレゾ4Kで配信された「藤田恵美『Headphone Concert 2021』」を体験

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  • 更新日:2021/07/21
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7月11日に、オンラインライブ配信サービスのThumvaで、4K画質/ハイレゾ音声による藤田恵美のライブ動画「Headphone Concert 2021」が配信された。コルグが開発した「Live Extreme」の技術を採用した(関連記事)。

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会場風景、ノイマンの真空管マイクなどスタジオ用機材が利用されている

このコンサートは歌手の藤田恵美さんが出演し、今年の2月18日、19日に開催されたハイレゾヘッドホンコンサート「藤田恵美『Acoustic Concert 2021』」を録画配信したものだ。ハイレゾヘッドホンコンサートはライブというより公開録音に近い試み。生音の録音にはスタジオ用のレコーディング機材が用いられ、通常のコンサートで用いられるPA機材(拡声用スピーカーなど)は使用しない。参加者はイヤホンやヘッドホンを持ち寄って収録に立ち会い、録音エンジニアが現場で聞いている音をそのまま楽しむというユニークな趣旨のコンサートだ。

PCブラウザーで楽しめるハイレゾ品質ライブ

このコンサートの模様はe-onkyo musicで販売中のダウンロード音源で聴け、YouTube上の動画でも伝えられている。Live Extremeを使いThumvaで配信された7月11日のオンラインライブは、その様子をハイレゾ音質とより高解像度の画質で生き生きと楽しむことができるというものだ。

配信ではハイレゾヘッドホンコンサートの当日に撮影した4Kマスター映像とハイレゾマスター音声をLive Extremeの形式にエンコードして、ストリーミング配信した。

具体的には「フルHD画質、音声48kHz」「フルHD画質、音声192kHz」「4K画質、音声48kHz」「4K画質、音声192kHz」の4種類が選べた。フルHD画質の場合20Mbps、4K画質では35Mbps以上の回線速度が推奨されている。

ライブ映像はThumvaの専用アプリではなく、ウェブブラウザーを使って視聴する。残念ながら今のところThumvaアプリではLive Extremeをフルサポートしていないため、Live Extremeでハイレゾ音声を楽しむためにはWindows10やMacのウェブブラウザーで楽しむのがお勧めだ。筆者はWindows 10でChromeを使用した。

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高音質で楽しむためには、USB DACやDAC内蔵ヘッドホンアンプを用意するのがやはりオーディオ的な楽しみ方だ。筆者はサンプリングレートを確認する目的もあり、「Luxury & Precision W2」を使用した。Windowsマシンで試聴するために、付属の「USB-C to Cケーブル」と「USBアダプター」を使用した。Windows 10ではドライバーのインストールは不要なのでそのままUSB端子に接続するだけである。USB Type-C端子のあるパソコンならUSBアダプターも不要だ。

ブラウザーは一般のイメージよりもかなり高度な音楽再生ソフトでもある。ただし、Audirvanaなど音楽再生専門のソフトが有しているような自動サンプルレート変換機能はないため、手動でパソコンのミキサー設定を開き、音源のサンプリングレートと同じにしなければならない (この手続きはLive Extremeの使用手順にも記載されている)。

Windows10の場合は、サウンドの設定からLuxury & Precision W2のプロパティを開く。その詳細にプルダウンメニューがあるので、そこから対応するサンプリングレートを選択する。W2は32bit DACなのでビット数は32bitになる。そして「レベル」の項目では100%を選択する。音質維持のために音量の変更はあくまでW2側の音量ボタンを使用する。Macの場合には同じ手続きを「Audio/Midi設定」で行えばよい。

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Thumvaでの配信

ライブ視聴をするためには、まずThumvaのアカウントを作成する。そのうえでコンサートのチケットを購入するとチケットコードが発行されるので、それをThumvaで登録する。チケットを購入・登録したのと別のパソコンやタブレットからも、マイページからマイチケットを参照することでライブ配信をみられる。

オンラインコンサートにも開場時間と開演時間があり、開場時間になると再生画面を開けるようになる。パソコンや再生機器の設定は、開演時間までの合間に確認しておくのがよいだろう。リアルのイベントでエンジニアがサウンドチェックしている時間に自分もサウンドチェックしておくわけだ。

新しい試みに立ち会っているような不思議な感覚

ライブでは藤田恵美さんの清々しいボーカルと心地よいアコースティック楽器のアンサンブルが楽しめた。全体的に穏やかなコンサートで、MCで当人が語ったように「レコーディングとライブが混在した困惑感」も、なにか新しい試みに立ち会っているようで面白いものだった。

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録音中の様子

Live Extreme技術を採用した音質は素晴らしく、アコースティック楽器の弦が擦れる音も生々しく聞き取れる。細やかなボーカルの息遣いも高音質ダウンロード音源で楽しむ音楽に匹敵する。48kHzでも素晴らしい音質だが、192kHzにすると一層リアル感が増す。映像はPCの都合もあり、フルHD画質で試聴したが、4Kで見られるならば一層生のコンサートのリアル感が楽しめるだろう。たいした時代になったものだ。

ここでちょっと面白い試みをしてみた。YouTubeにアップロードされている「パレード」の音質をLive Extremeと聴き比べてみたのだ。

音質は大きく違う。YouTubeは甘く楽器の音が鈍い。Live Extremeの方が明瞭で鮮明だ。ちなみにYouTubeの音声トラックは、Opus251(128kbps相当)など不可逆圧縮でエンコードされている。これは決して悪いわけではないが、やはりハイレゾやロスレス音源とは差が出てしまう。また、音声トラックのクロックを重視するLive Extremeのポリシーが影響してくるかもしれない。

ここでPCオーディオ的に注意しておきたいのは、(さきにサウンド設定で変えたままだから)YouTubeで再生している時にも、Windowsのミキサーでサンプリングレートが192kHzにリサンプリングされているということだ。つまり、DACには192kHzで出力されている。しかし、(当たり前だが)一度情報量を落とした音源を単にアップサンプリングしただけでは元のハイレゾ音源の音質にはならず、世間でよく言う、ハイレゾ音源とハイレゾ級の音質に近い差があると言える。「ハイレゾ級」に音質を改善するためには様々なアルゴリズムが用いられるし、ビット数をアップコンバートする場合もあるので一概に優劣をつけられないが、自分としてもいろいろと考えさせる興味深い試聴ではあった。

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Headphone Concert 2021はリアルタイムのライブ配信ではなかったが、コンサートがハイレゾ録音前提だったこと、藤田恵美さんのファンの中には音質を気にする人が多いということでコルグがLive Extreme配信の題材に選んだということだ。今後もロスレスやハイレゾでライブ配信をしていきたいアーティストやレーベルがあれば、積極的に受けていきたいということなので、こうした機会が増えることを期待したい。

■関連サイト

Thumva

佐々木喜洋 編集●ASCII

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