
"青々とした葉がじゅうたんのように広がる小麦畑=2022年4月12日、ウクライナ西部チェルボノフラード、遠藤雄司撮影"
農林水産省が26日に発表した2022年度の「食料・農業・農村白書」は、ロシアによる侵攻でウクライナの穀物生産量が大幅に落ち込み、小麦などの国際価格も高止まりしていることから、「食料安全保障上のリスクが増大している」と指摘した。
白書は「食料安全保障の強化に向けて」とする特集で、米農務省のデータからウクライナの穀物を分析。22年7月から23年6月までの1年間の生産量が、前年同期比36%減の5500万トンになるとの見通しを示した。小麦は世界全体の輸出量の6・8%を占め、国際価格は侵攻直後の22年3月に過去最高値を記録。その後に下落したが、米国やカナダの不作などが影響し、高い水準で推移している。
白書では「食料を安定的に供給していく上でターニングポイントを迎えている」としている。野村哲郎農水相は26日の閣議後会見で「日本は海外に依存しすぎだった。(できるだけ)日本で生産するよう構造転換を進めたい」と話した。(加藤裕則)