豊かな自然に囲まれて暮らす犬...毎朝の楽しみは「海辺の散歩」

豊かな自然に囲まれて暮らす犬...毎朝の楽しみは「海辺の散歩」

  • 幻冬舎ゴールドライフオンライン
  • 更新日:2023/01/25
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さて、少々固い話になってしまったので、話題を変えよう。

吾輩にとって、食事の次に楽しみなのが毎日の「散歩」である。

特に毎朝の散歩は、ご主人が自分の運動不足解消を兼ねているらしく、二十~三十分ほど散歩してくれるので嬉しい。

犬は、漱石氏の小説に描いてある猫のように自分の気が向いた時にフラッと家を出て歩き回り、近所の猫の友人と話をしたり、暖かな場所で日向ぼっこをしたりすることができないので、散歩が最高の楽しみである。

朝、ご主人がリード紐(犬の散歩用の紐)をつけて、玄関の外に出ると、吾輩はまず道路に出て家のブロック塀にオシッコをする。

なにせ、前の日の夜十時に寝る前のオシッコをして以来九時間は経っているのだから、実に気分爽快で気持ちがいい。

ここの家のご主人は、吾輩が家の中に置いてある犬用ケージのオシッコ・マットにオシッコをするのは、家の中が臭くなるから嫌らしい。

この家に来て初めの一ケ月は、そのことが分からなかったが、吾輩が犬用ケージの中のオシッコ・マットの上でオシッコをすると、えらく悲しそうな目で吾輩を見るし、家の外でオシッコをすると、えらく嬉しそうな顔で「マックス、よくやった!」と頭を撫でてくれるのでご主人の心を推測できた。

いくら犬だって、人間の悲しい、嬉しいぐらいの感情は推測できる。

先だって家族の会話を聞いていたら、人間同士でも相手の感情を読めない、推測できない人がいるそうで、そのせいで対人関係が築けない人がいるそうである。

それらの方々は、是非我々犬たちと同様に相手の表情に全神経を集中して敏感になってほしい。それが円満な人間関係を築く秘訣である。

さて、話を散歩に戻そう。

吾輩が、散歩をしていると、時々自転車、バイク、自動車が向こうからやってきたり、吾輩を追い越したりする。

すると、吾輩は本能的に「ワン、ワン、ワン」と吠えて後を追いかけようと走りだす。

こうなると、ご主人は困り顔で「マックス!大丈夫!心配するな!」と吾輩を諫める。

吾輩の先祖の狩猟犬の血が騒ぐのであろうか。

本能というのは恐ろしいものだ。

それはともかく、外を散歩することは実に気持ちがいい。至上の喜びである。

ご主人の家の周りには、まだ田や畑が残っていて、季節の移ろいとともに、キャベツ、人参、なす、カボチャなどが豊かに実っているのを見るのは嬉しい。秋になれば、稲穂が黄金色に色づき頭を垂れる。

太陽が照り、慈雨が降り、地面の滋養を吸い取って野菜が大きくなり、秋には稲穂が実るという自然の摂理と恵みを否が応でも感じる。

ご主人の家から十五分ぐらい歩くと、海辺の堤防に出る。

吾輩は、初めは五十センチメートルほどの高さのコンクリート堤防の向こう側には何があるのか分からなかったが、ある日前足を堤防にかけて体を伸ばし、堤防の向こう側を眺めたところ、朝日が青い海にキラキラと照り返し、輝いている光景が目に映り美しかった。

そして、何隻かの釣り船が漁をしていた。

「なるほど、人間はこうやって海の幸を手に入れるのか」と合点がいった。

そして、海辺から自宅にテクテクと帰る時は、前方の遥か遠くに山々が見える。

すなわち、この近辺は新興住宅地ではあるが、まだまだ田畑が残っているうえに、海も近く、遠くの山々にも囲まれている風光明媚な地域であることが分かった。

犬にとっては、家の周りが豊かな自然環境に恵まれていることは幸せである。

四季の移ろいと草花の変化を肌で感じることができる。ストレス発散になる。

高見 龍也

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