遅々として進まないDX。果たしてこれからどこへ向かうのだろうか

遅々として進まないDX。果たしてこれからどこへ向かうのだろうか

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  • 更新日:2023/01/25

DXなくして企業ではないと言わんばかりの盛り上がりようだ。国(経産省)は、2022年7月に、今度は「DXレポート2.2」なるものを公表した。そこでは、デジタル産業の変革に向けた具体的なアクションと方向性として、【デジタル産業宣言】というものが発表されている。しかも、これは「会社ごとにカスタマイズして自らの宣言にする」ことが意図されているようで、当然これは、IT産業向けではなく、IT化、デジタル化が遅れている(と言われる)産業界に向けてのものだと理解しているが、「デジタルの力をその改善のためだけに利用していることに危惧の念を抱いている」と企業に対してかなり上から目線でつくられている印象だ。

DXなくして企業ではないと言わんばかりの盛り上がりようだ。国(経産省)は、2022年7月に、今度は「DXレポート2.2」なるものを公表した。

そこでは、デジタル産業の変革に向けた具体的なアクションと方向性として、【デジタル産業宣言】というものが発表されている。しかも、これは「会社ごとにカスタマイズして自らの宣言にする」ことが意図されているようで、当然これは、IT産業向けではなく、IT化、デジタル化が遅れている(と言われる)産業界に向けてのものだと理解しているが、「デジタルの力をその改善のためだけに利用していることに危惧の念を抱いている」と企業に対してかなり上から目線でつくられている印象だ。

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出典:経済産業省「DXレポート2.2」

DXがもたらす未来とは

このような国の方針(?)を受け、コンサルティング会社をはじめ、いろいろな企業がDXの売り込みに躍起になっているようで、「あなたの会社は遅れていますよ!」と提案するためなのか、さまざまな会社から「DXの進展度合い」についての調査結果が発表されている。そして当然、その最後には、DXの必要性の提言(?)も忘れてはいない。

どの調査も似たような内容なのだが、どれを見ても、果たして「DXとデジタル化による業務改善は具体的に何が異なるのか」「DXは何を経営にもたらしてくれているのか」「DXによってどのような未来が待っているのか」といった根幹の疑問に対する答えはなかなか見いだせない。

まず、一般社団法人日本能率協会が行った、「各社におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況や課題」から各社のDXへの意識を見てみる。

各社におけるDXへの取り組み状況について尋ねたところ、全体では「既に取り組みを始めている」企業が55.9%と、半数以上の企業がDXへの取り組みを始めているという。なかでも、大企業では8割超が取り組んでいるとし、中堅企業も58.3%となっている。ただし、中小企業では取り組みを始めている企業は36.1%にとどまっている。

次に、成果状況についての質問では、「取り組みの成果が出ている」と答える企業は70.7%と高く、3分の1以上の企業が「成果がある」としている。
「既に取り組みを始めている」と回答した企業に対して、DXの取り組みで重視していることを尋ねたところ、「業務プロセスの効率化・高度化」「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」に加えて、「抜本的な事業構造の変革」もかなり多く、この3つあたりが、DXの目的なのだろうという予測がつく。

ところが、驚いてしまうのは、「DXを成果に結びつけるためのビジョン・経営戦略・ロードマップが明確に描けていない」と答える企業が67.8%もあり、「DXに向けた方針が役員や経営幹部に共有されていない」が44.2%、「具体的な事業への展開が進まない」が65.5%となっていることだ。つまり「7割の企業が取り組みの成果が出ている」と答えているのだが、ビジョン・戦略はないままに成果は出ているということか。ここで言われる成果とはどういうことなのだろうか。また、多くの企業でビジョン・戦略はないが「DXに向けて取り組んでいる」ということか。

やはり、企業幹部のDXに対してどう考え、何を求めているのかが、よくわからない。

DXはどこへ進むのか

もうひとつ、クラウドエース株式会社による【大手企業(従業員数 1000 名以上)の DX 担当者に聞いた、現場で感じる本音】を見てみると、「2022 年を振り返って、あなたのお勤め先の会社では、どの段階まで DX が進んでいますか。」という質問に対して、「DX推進のため、社内でビジョンを共有、経営陣が方向性を示した段階」が 24.8%だという。逆の答えではあるが、約7割が「ビジョン・戦略を描けない」状態を裏付けている。

また、「紙をベースにしたアナログな業務プロセスをITを活用してデジタル化する『デジタライゼーション』の段階」が 28.4% 、「作業時間や業務プロセス全体に要する時間を削減し、業務効率化や生産性向上を実現する『デジタライゼーション』の段階が23.9%となっており、残念ながら、本来のDXの目的であると思われる「事業やビジネスモデルを変革する『デジタルトランスフォーメーション』の段階は10.1%に過ぎない結果となっている。

業務効率化がDXの一部であるかは、「デジタルの力をその改善のためだけに利用していることに危惧の念を抱いている」という言葉からすれば、それは違うのだろう。とするならば、約1割の企業しか、DXの目的に向けて進んでいないということか。

しかし、同調査の実際にDX推進のために具体的に行ったことの答えは、「ペーパーレスの推奨」が45.9%でもっとも多く、以下、「DX 人材の確保」が38.5%、「システム開発」が36.7%、「DX に関する社内ビジョンの設計・共有」33.9%、「IT 投資の予算増加」が32.1%、「バックオフィス SaaS の導入」が25.7%となっている。

要するに、日本能率協会の調査での「取り組みの成果が出ている」と約7割の企業というのは、ペーパーレスが進んだということなのか。

残念ながら、「デジタル産業宣言」と「ペーパーレスの推奨」では、ギャップを感じざるを得ないというのが正直なところだ。むしろ、実態がこうだから、「デジタル産業宣言」を出したということか。

しかし、果たしてこの「デジタル産業宣言」に、「そうか!」と思い、組織のビジョンや具体的なビジネス戦略を思い描ける経営者はどのくらいいるのだろうか。

課題として「DX人材の確保」をあげる企業も多いが、戦略も見えないところに人材も何もないと思うのだが、この先DXはどこに進んでいくのだろうか。

INSIGHT NOW! 編集部

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