明治安田J1第13節第2日(14日、神戸4―0鳥栖、ノエスタ)神戸は鳥栖に大勝し、12試合目で今季初勝利を挙げて最下位を脱した。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(38)が先制ゴールを含め3得点に絡んだ。
長いトンネルの出口にたどり着いた。神戸を初勝利に導いたのはMFイニエスタだ。前半2分、DF酒井のパスを中央で受け、ワントラップで前を向いて右足シュート。ゴール左に突き刺した。
「酒井がうまく自分を見つけてくれて、いいコントロールができた。大事な局面でいい仕事ができました」
14分には中央から左に流すパスでMF汰木(ゆるき)の追加点をアシスト。後半19分にも左サイドでドリブルを仕掛け、DF酒井にパス。酒井のクロスからFW武藤がボレーをたたき込んだ。今月11日に38歳の誕生日を迎え、選手からクリームまみれにされる祝福を受けたばかり。衰え知らずの技術を見せつけた。
昨季の3位から躍進が期待されたが、前節まで11試合勝ちなし(4分け7敗)。3月に三浦淳寛監督が解任された後も悪い流れを断ち切れず、この日は試合前にサポーターとの意見交換会が開かれ、三木谷会長らもオンラインで参加した。
8日のG大阪戦後には選手がミーティングの場を持ち、チームで統一感を出そうと声を掛け合った。ロティーナ監督は11人全員に細かく役割を準備し、武藤を生かしたロングボールや前線からの守備戦術を仕込んだ。一戦必勝で臨んだ試合で4得点の快勝。その中でも指揮官は「唯一無二の存在。ピッチにいることでチームに落ち着きが生まれる」とイニエスタに全幅の信頼を寄せた。
「苦しい序盤戦だったが、勝ちを積み重ねていける一歩になれば」。イニエスタが前を向いた。初白星をつかみ、次節の相手は王者・川崎。強敵にも臆せず、一丸となって勝ち点3を狙う。(邨田直人)