映画興行に非常事態発生中 コロナ後の動員がありません!

映画興行に非常事態発生中 コロナ後の動員がありません!

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  • 更新日:2021/11/25
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『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』(c)2021 日本すみっコぐらし協会映画部

先週末の動員ランキングは、前週から引き続いて『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』が2週連続で1位に。土日2日間の動員は10万人、興収1億2300万円。この成績は、新型コロナウイルスの感染拡大第一波の真っ最中に、新作の公開がほぼすべてストップしてジブリの過去作が動員ランキングの上位を占めていた昨年の6月以来の数字の低さだ。ちなみに昨年の同時期11月は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が毎週末、この10倍以上の数字を記録していた。はっきり言う。昨年の春以来最も感染状況が落ち着いているこの2021年11月。日本中の映画館に全然人が来ていない。一体何が起こっているのか?

参考:相次ぐ日本公開延期問題 「洋画不況」の原因はどこにある?

先週末に公開されて、動員ランキング初登場3位になった『土竜の唄 FINAL』にも異変が起こっている。三池崇史監督、宮藤官九郎脚本、生田斗真主演という不動のトリオで今回が3作目となる同シリーズ。2014年2月に公開された1作目の『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』のオープニング週末2日間の成績は興収2億8220万7700円。2016年12月に公開された2作目の『土竜の唄 香港狂騒曲』オープニング週末2日間の成績は2億2300万円。それが今回、土日2日間の興収ではこれまでの作品の半分以下の1億円にも遠く及ばず、オープニング3日間の成績では動員7万6351人、興収1億652万8150円にとどまっている。

ここで、今年秋以降に公開された「ヒット作」の成績を検証してみよう。東宝配給で9月17日に公開された『マスカレード・ナイト』は、11月21日までの66日間で動員269万4565人、興収37億100万5000円。最終興収で40億円に届くかどうかは微妙(それでも届かせてしまうのが上映期間が長くスクリーン数が多い東宝配給作品マジックなのだが)な趨勢だが、前作『マスカレード・ホテル』の最終興収は46.4億円だったので、続編としては十分以上の結果と言えるだろう。

先週末の動員ランキングでも9位にランクインしている、東宝東和配給で10月1日に公開された『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、同じく11月21日までの52日間で動員178万6771人、興収25億8342万5690円。前作『007 スペクター』の最終興収は29.6億円だったので、これも平常時と遜色のない成績に落ち着く見込みだ。

ということは、やはり異変が起こったのは11月に入ってからだと言うことができるかもしれない。パンデミック期に人々の娯楽を支えてきた映画興行は、パンデミックが(ひとまず)過ぎ去った後、会食や遠出の行楽を優先されて後回しにされているということだろうか? それとも、外国映画も日本映画も吸引力のある新作の供給不足ということだろうか?(当コラムで再三触れてきたように、外国映画に関しては日本だけでの公開延期による「自爆行為」が今後も続く) あるいは、パンデミックを追い風に契約者数増加に加速がついたNetflixやディズニープラスといったストリーミングサービスによって供給される映画やテレビシリーズによって、観客の映画受容そのものに大きな構造変化が起きているのだろうか? なんだか、そのどれもが正解のような気がするが、結論を出すにはもう少し様子を見てみる必要があるだろう。(宇野維正)

宇野維正

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