中上健次の短編「修験」の自筆原稿を発見 珍しく原稿用紙を使用

中上健次の短編「修験」の自筆原稿を発見 珍しく原稿用紙を使用

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/08/06
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新たに見つかった中上健次の短編「修験」の自筆原稿=和歌山県新宮市で2022年8月6日午前10時54分、松田学撮影

8月12日に没後30年を迎える和歌山県新宮市出身の作家、中上健次(1946~92年)の短編「修験」の自筆原稿が見つかった。中上の遺族や、中上が設立した市民講座「熊野大学」の運営メンバーらでつくる顕彰委員会が6日、発表した。マス目のない集計紙を好んだ中上には珍しく、原稿用紙を使っている。

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妻子と別居した男が故郷の熊野に戻り、山中をさまよう中で幻覚を見る幻想的な作品。74年に400字詰め原稿用紙20枚に書かれた。「中上健次を読む」などの著作がある文芸評論家、川西政明さん(故人)が欠損なく保管していた。6月、遺族から寄贈の申し出があったという。

顕彰委によると、集計紙に極細の万年筆で書くのが中上の執筆スタイルだったが、この作品は原稿用紙を使用。6枚目の終わりで万年筆のインクが切れ、その後はボールペンで書かれている。編集者が赤ペンで校正した跡もある。

中上は76年に「岬」で芥川賞を受賞。現代文学の旗手として活躍した。顕彰委は中上作品の自筆原稿を約100点所蔵しているが、今回寄贈を受けた「修験」は2番目に古い作品になるという。

6日、新宮市であった記者会見には、中上の妻で作家の紀和鏡さん(76)と、長女の作家、中上紀さん(51)らが出席。紀和さんは「初期の原稿はほとんど残っていない。保存状態も良く、大変貴重」と評価。紀さんは「これぐらいの分量なら1日で書き上げている」と父の執筆活動を振り返っていた。

新宮市の丹鶴ホールにあり、愛用の机や著書などを集めた「中上健次コーナー」で、近く今回の自筆原稿のコピーを展示する予定。【松田学】

毎日新聞

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