様々な場面で活躍が期待される話題の対話型人工知能「チャットGPT」
石川県内ではある分野での活用を目指した研究グループが成果をあげました。
【写真を見る】生成AI「チャットGPT」が日本の医師国家試験を受けたら… 研究グループが試行錯誤して262問に挑戦 その結果は
金沢大学医学類6年 田中雄大さん
「GPT-3.5ベースのチャットGPTで、日本の医師国家試験に受かるのかということに興味を持って研究を始めました」
医学部生らの研究グループが取り組んだのは、話題のチャットGPTを使った医師国家試験の問題への挑戦。医師国家試験は基本的に医学部生のみが受験対象の難関資格で、問題用紙にも難解な問題が並びます。
そのため、ただ問題を入力するのではなく、回答にもコツがいりました。
金沢大学医学類6年 田中雄大さん
「問題の内容を要約してもらって、そのあとに何個選択肢から選べばいいのか表示させている。その答えに至った理由を述べてもらっている」
チャットGPTに問題を英語翻訳させ、回答しやすいように内容をまとめさせるなど細かな設定を指示します。
このようにして今年2月に行われた医師国家試験の問題のうち、画像を使っていない262問を解いてみた結果は…
金沢大学医学類6年 田中雄大さん
「最新の日本の医師国家試験、第117回の医師国家試験に受かるほどの能力を持っていることを明らかにした」
必修問題と基礎・臨床問題のどちらも合格最低ラインを3%近く上回り、先月、合格点に達しました。
金沢大学医学類6年 田中雄大さん
「現時点の僕よりはチャットGPTのが賢いなという正直な感想。チャットGPTを超えられるように頑張って勉強したい」
研究は今年1月ごろから急ピッチで進めたと言います。
金沢大学医学類6年 河合弘行さん
「最初はすごく正答率が低くて全然合わない所がまず苦労した」
金沢大学医学類6年 中田卓人さん
「(正答率が上がった時は)すごくよっしゃという感じよりは、やっと乗ってくれたかという安ど感の方が強かった感じ。まんべんなく答えてくれたのはチャットGPTのすごいところかなと感じた」
学生たちが進めるこの研究ですが、その先にはある課題の解決を目指すビジョンがありました。
医師の労働負担の軽減へ 一方で活用に懸念も
金沢大学医学類6年 田中雄大さん
「僕が臨床実習で色々な病院を回らせてもらったときに、医師の方々がみんなつらい顔をしてカルテを叩いている姿を見て。チャットGPTが去年12月にリリースされて、これは使えないのかということで、この研究を始めようと思った」
2019年の厚生労働省の資料によりますと、病院勤務医のおよそ1割の医師が過労死認定基準の2倍以上の時間外労働があったとされています。研究グループでは音声認識AIなどもあわせて医師の負担軽減に結び付けたい考えです。
ただ、医療への活用には気をつけなければならない点もあります。
金沢大学医学類6年 東野史弥さん
「実質臨床の場では答えがない、見つけにく、そもその選択肢がない。他にもいくつかの疾患が重なっていたりとか、そういった部分が困難としてあると思っていて、そこを解決させていくのが課題」
開発したOpenAI社も、患者の診断などにチャットGPTを使用するべきではないと注意を呼びかけています。今後の活用へのビジョンはどうなのでしょうか。
金沢大学 野村章洋准教授
「医師、あるいは医療関係者の方々をサポートするような人工知能として使っていくのはすごく良い。本格的な医療への応用はもうしばらく研究した上で、しっかり出せるものを作り上げていくのがよろしいのではないか」