sumika、ファンへ届けた“独りではない”というメッセージ 歌い続ける決意伝えた『花鳥風月 -第二幕-』ツアー最終日

sumika、ファンへ届けた“独りではない”というメッセージ 歌い続ける決意伝えた『花鳥風月 -第二幕-』ツアー最終日

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  • 更新日:2022/06/23
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sumika(写真=後藤壮太郎)

「想像した何倍、何十倍、何百倍も現実はハッピーでした。あなたのおかげです。ありがとうございます!」

無事ツアーファイナルを迎えられた安堵、そして目の前の観客との対面が叶った喜びを噛みしめるように片岡健太(Vo/Gt)はそう語った。彼と想いを共にする荒井智之(Dr/Cho)、黒田隼之介(Gt/Cho)、小川貴之(Key/Cho)もその隣で晴れやかな表情をしていた。

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ホール&アリーナをまわった「sumika Live Tour 2021『花鳥風月』」、ライブハウスをまわった「sumika Live Tour 2022『花鳥風月』-第二幕-」と、1年以上に及んだ『花鳥風月』ツアー。4人にとってのバンド人生最長ツアーは本来4月に締め括られる予定だったものの、片岡の新型コロナウイルス感染により、ツアーファイナル2デイズは延期に。メンバー自身、難しさを感じながらツアーをまわっていたと想像するが、同時に、片岡が隔離期間を「めちゃくちゃ寂しかった」「“本当だったら今頃……”と毎晩毎晩ライブのことを想像した」と振り返っていたように、ライブを求める気持ちがそもそも強かったからこそ、ロングツアーの開催を決めたのだろう。五感が潤わなければやがて心は枯れてしまうし、そこに人の温もりがあって初めて世界はみずみずしく輝き出す。私たちが健やかな心を取り戻すための場所となった『花鳥風月』ツアーは、彼ら自身の生身の経験、切実な気持ちから生まれたものだった。

1曲目の「ソーダ」で気持ちよさそうにロングトーンしていた片岡が、ひそひそ声でマイクに向かって「絶好調かもしれない」と打ち明けるなど、最初からいいライブになりそうな予感がしたこの日。メンバーや観客の心の叫びは、薫風のような歌声のハーモニー、風吹く丘を駆け抜ける生命力に満ちたバンドサウンド、あるいは喜びの手拍子として表出し、「最高! でも、もっともっと行こう!」「そんなもんじゃないよね?」と曲数を重ねるとともに熱量を上げていった。セットリストの後半に差し掛かっても勢いが落ちることはなく、むしろバンドサウンドはタイトかつみずみずしくなるばかりだ。荒井のダイナミックなプレイが全体を牽引したのは「カルチャーショッカー」で、「おら、来い!」と叫ぶ片岡自身がガシガシとギターを弾きまくっていたのは「ペルソナ・プロムナード」。全方位から強烈な光を浴びながらソロを披露していた黒田に至っては、ソロが終わったあともギターをギュインギュイン言わせている。曲が終わりに向かうにつれて、バンド全体がさらに盛り上がりを見せるなか、エネルギッシュなサウンドが突然サッと止み、暗転する瞬間も最高に痺れた。明かりが点くのを待っている間、ライブ序盤での「変わらずに、今までのいつよりも最高にカッコいいライブをして燃え尽きたいと思います」(片岡)という発言がふと蘇ってくる。

今回のライブハウスツアーでは、ホール&アリーナツアーから大きく変わっていたポイントが2つあった。一つは、前列に(上手から順に)荒井、黒田、片岡、小川、そして後列にゲストメンバーの須藤優(Ba/XIIX)、George(Key/Mop of Head)、三浦太郎(Cho/Gt/フレンズ)が並ぶ配置に変わったこと。これまではバンドの後ろから支えていた荒井が、あの星が瞬くようなシンバルや躍動的なビートをどのように鳴らしているか、その身振りまで含めて見やすくなったのは客席にいる私たちにとって嬉しいポイントだった。また、Georgeのツアー帯同も今回のライブハウスツアーからで、「Babel」のようなバンドサウンドにとらわれないアプローチも可能になったほか、彼の鳴らすユニークな音色によって各曲に新鮮さがもたらされているようにも感じた。

また、“四季折々の美しい景色を取り戻していこう”という全体のコンセプトはホール&アリーナツアーから引き継がれていたものの、セットリストはがらりと変わった。特に印象的だったのは、昨年12月にリリースされたシングル『SOUND VILLAGE』収録曲「Marry Dance」「アンコール」「Babel」を続けた中盤セクション。メロウなミドルナンバーに剥き出しの想いを歌うバラード、ダークなエレクトロと、音楽的な振れ幅を感じさせるセクションだったのはもちろん、異なる種類の愛憎を歌った3曲の存在により、ライブ中表現される喜怒哀楽の振れ幅も広がったように思う。言い換えると、人の内側にある感情の波、ひいては個人個人の存在自体を肯定する音楽としての強度が増したということだ。そういう意味では、(同シングル収録曲ではないが)曲名を伏せて“聴きたい方に拍手してもらう”という方法で観客とコミュニケーションをとって選曲した“過去の恋愛を思い返す曲”こと「Late Show」の爆走ぶりも心に残っている。

あと一つの『SOUND VILLAGE』収録曲「一閃」は、本編のクライマックスで演奏された。互いの最大値を引き出し合う2人の関係性を映すような片岡&小川のツインボーカルからも、小川の鍵盤のタッチの強さからも、熱い想いが伝わってくる。前身バンド活動休止後も音楽の道を諦めなかったsumikaのこれまでを想起させる歌と、暗闇を抜けて、彩りのある日々を迎えに行ったsumikaの“今”が重なるなか、〈あなたの名前を呼ぶから/キャッチしてよ〉というフレーズを歌いながら片岡が客席をぐるっと指差す。インタビューなどで「曲はあくまで自分のために作っている」とよく言っている片岡が、「(曲を聴いて)あなたが笑ってくれたり、テンション上がってくれたり、時には泣いてくれたりすることが生きがい」だと語り、「2020年の暗闇に光を射してくれたのは間違いなくあなたの存在でした。そのことは忘れないでください」と伝えたうえで、今この場所だけで「あなたのために歌う曲」と明言する意味は大きい。あなたが居たから、僕は孤独ではなかったーーそんな実感から来る感謝と喜びを“僕が居るからあなたは孤独ではない”というメッセージに変え、一人ひとりに手渡していく。

そしてアンコール。一人で出てきた片岡が「どうしても歌いたい曲がある」と紹介した「ここから見える景色」もまた人との繋がりや未来について歌った曲だった。片岡の弾き語りからスタートし、メンバーが順に合流するアレンジも象徴的だ。さらに、1人から7人になったステージ上の彼らの目の前にはたくさんの観客がいる。「ここにいる全員で乗り越えたんだ。もう二度と離れないように、音楽を続けていきます。だからいつでも帰ってきてください。“おかえりなさい”を言える準備をして待っています」(片岡)。そんな言葉で締め括られた『花鳥風月』ツアーの温かな余韻、“独りではない”というかけがえのない実感は、私たちの心の支えとなってくれるはずだ。そして、心の拠り所、帰る場所と確固たる想いを持っている人は強い。何があっても変わらずここに在ろう、あなたの味方でいようというsumikaの決意、頼もしさを感じたツアーでもあった。(蜂須賀ちなみ)

蜂須賀ちなみ

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