U-24日本代表、キーマンは「成り上がり組」。本来出番はないはずが存在感を増している

U-24日本代表、キーマンは「成り上がり組」。本来出番はないはずが存在感を増している

  • Sportiva
  • 更新日:2021/07/22

日本が五輪史上初の金メダル獲得を目指す、男子サッカーの戦いがいよいよスタートする。

7月22日に行なわれるグループリーグ初戦、日本の対戦相手は南アフリカだ。

◆東京五輪で目に焼き付けたい! 絶対注目の美女アスリートたち

現U-24代表世代にとって南アフリカは、2017年U-20ワールドカップでもグループリーグ初戦で対戦しており、日本が2-1と逆転勝利しているゲンのいい相手である。

久保建英からパスを受けた堂安律が決勝ゴール。4年前と同じ、そんな痛快なシーンが繰り返されるかもしれない。

南アフリカの選手に新型コロナウイルス感染の陽性者が出たことについても、日本の選手たちには、まったくと言っていいほど気にする様子はない。MF遠藤航が「無事に開催されることを祈っているが、僕らができるのは、試合があると思って最大限準備すること」と言い、「そんなにみんな気にしてる感じではないので心配していない」と話すとおりだ。

試合開催の可否について自分たちでどうすることもできない以上、気にしても仕方がない。そんな心境なのだろう。MF久保建英も「しっかり自分にフォーカスしていこうかなと思う」と話すように、選手たちが動揺することなく準備に集中できているのは頼もしい限りだ。

その一方で、日本にとっては思わぬ助けとなっているのが、大会直前のルール変更である。

当初の規定では、各チームが登録メンバー18人+バックアップメンバー4人を決め、バックアップメンバーは登録メンバーにケガがあった場合のみ、入れ替えられることになっていた(一度登録メンバーから外れた選手は戻れない)。

ところが、日本が登録メンバーとバックアップメンバーを発表したあと、バックアップメンバーとの区別がなくなり、登録メンバーが22人に変更となったのである。1試合のベンチ入りメンバーは18人と変わらないが、試合ごとにベンチ入りメンバーを入れ替えることは可能。つまり、大会を通して22人をフル活用できるようになったのである。

このルール変更によって一気に存在感を高めているのが、FW林大地だ。

No image

ホンジュラス戦、スペイン戦でも先発し、存在感を示した林大地

当初バックアップメンバーだった林は、誰か他の選手にアクシデントがない限り、本番のピッチに立つことができない立場だった。

しかし、登録メンバー枠の拡大が発表されるや、FW上田綺世がケガによる別メニュー調整を続けていたこともあり、林は本大会直前のホンジュラス戦、スペイン戦でいずれも先発出場。そこで単なる代役以上の働きを見せた。

自らのボールキープからシュートまで持ち込む力強さに加え、日本の武器である久保、堂安ら、2列目のアタッカー陣とも良好なコンビネーションを築く。もはや代役どころか、一躍、主戦FW候補に名乗りを上げたと言っていい。

「今回(登録メンバーが)22人になったことでより、(出場の)チャンスが広がった。でも、ベンチに入るのは18人。試合に出られるのは11人。この短い期間でさらに(自分の)立ち位置をグッと上げていかないといけない」

大会直前のキャンプ中にはそんなことを話していた林だが、まさに有言実行の活躍である。結果的に、スペイン戦の後半には上田も実戦復帰を果たし、五輪本番には間に合った。だが、ここまで上田不在の不安をそれほど感じさせなかったのは、ルール変更によって登録メンバー枠が拡大されたこと。そして、林がそれを生かしたからこそだ。

本来バックアップメンバーだった林の活躍は、いわばうれしい誤算。このまま林をFWの軸として大会序盤を戦い、その後は上田、あるいはFW前田大然にスイッチする。決勝まで中2日で6試合(決勝のみ中3日)をこなす過密日程を乗り切るには、選手のローテーションが不可欠なだけに、そんな選手起用もありうるだろう。

もちろん、林が大会を通して主軸として活躍し続けてくれるなら、それはそれで歓迎すべきことだ。

また、登録メンバー枠拡大の恩恵はこれだけにとどまらない。

川崎フロンターレでAFCチャンピオンズリーグに出場していたMF三笘薫は、およそ1週間遅れで直前キャンプ中のチームに合流。ところが、右太ももに張りを訴え、合流後はかなり軽めの別メニュー調整が続いていた。

おそらく登録メンバーが18人のままであれば、かなりの緊急事態だったに違いない。少なくとも、1、2戦目は三笘抜きの17人で戦うか。あるいは、三笘をあきらめ、バックアップメンバーと入れ替えるか。そんな可能性もあっただろう。

だが、そもそも2列目は選手層が厚いうえ、このチームでは左サイドバックを務めるDF登録の旗手怜央も、本来は攻撃的MFが本職。旗手を2列目に回し、左サイドバックには、林と同じくバックアップメンバーだったDF町田浩樹を加えることで、大きな不安を抱える事態には至らずに済んだ。

本来町田はセンターバック。それでも左利きという特徴を生かし、直前キャンプでは左サイドバックに入ることも多かった。

「本職とは違うが、こだわりなく、試合に出られるなら自分の最善を尽くそうという気持ちで常にいる」

前向きな姿勢は、間違いなくチームの力となっている。

ただでさえ、地の利というアドバンテージを手にしている日本にとっては、直前のルール変更がさらに背中を押す追い風となっていることは疑いようがない。

林をはじめ、当初バックアップメンバーだった選手たちにとっては、本来なら出場機会を得るのが難しかった東京五輪。だが、バックアップメンバーとして名前が発表された時とは比べものにならないほど、彼らの重要性は増している。

必ずしも実力上位とは言えない日本が東京五輪でメダルを獲得するためには、勢いも非常に大事な要素となる。

大会序盤で、いかに波に乗るか。そのカギは、バックアップメンバーからの"成り上がり組"が握っている。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加