『ねほりんぱほりん』売れないホストの“負のオーラ”...不遇の理由は顔じゃない!

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2022/01/16

1月7日に放送された『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)のテーマは「売れないホスト」。同番組は4年前に「ホストに貢ぐ女」をテーマに取り扱っているが、今度はホスト側の話だ。

ゲストとして登場したのは、ホスト歴10年のヒロさんとホスト歴3年のトモさん。「売れないホスト」としてインタビューされるつらさに同情したくなるが、実際に彼らは売れていなかった。売り上げが店で下から2番目のヒロさんは、月の収入が約30万円。トモさんは30人中20位台で、月収は10~12万円だそうだ。というか、それでも30万円もらえるのだから意外である。何しろ、トップホストになると月収500~600万円、行くときは2,000万円を手にするそうだ。売れるか売れないかで収入の桁が2つも違う。

売り上げが入らない、社畜みたいな思考のホスト

ホストクラブには「永久指名制」というルールがある。女性客のことは「姫」と呼び、指名されたホストのことは「担当」と呼ぶ。そして、1度指名したホストはもう変更できないという決まりだ。姫から指名されないホストは「ヘルプ」と呼ばれ、担当のサポート業務を行う仕組みになっている。

どんなサポートを行うのか? 例えば、担当から「今日の姫は20万円持っているから全部使わせたい!」とLINEが入ると、その意向を汲む。担当が他の卓へ行っている間に「サプライズでシャンパンを入れてあげよう!」と、姫に話を持ちかけるのだ。一方、担当には「サプライズでシャンパンを入れたのでリアクションは大きく」と根回ししておく。つまり、LINEを駆使した担当とヘルプの連携プレーで、姫の財布を空にするのだ。客の金を吸い取るメソッドが生々しい。

「ヘルプ」はその名の通り、担当に献身的だ。もしもヘルプが担当の姫を横取りすると、100~200万円の罰金が発生してしまう。他のホストの客に手を出すのはご法度だし、売り上げは担当が総取りする。システム的に、ヘルプになったら抜け出すのはかなり難しそうだ。担当になれないとなかなか這い上がれない搾取システムにも思える。

売れないホストに人権はない。売れているホストからマウンティングされるし、いやな客から無茶振りされることもある。ヒロさんは「鼻の穴に小銭を全部入れたらシャンパン入れてあげるよ」と、姫に無茶振りされたことがあるという。彼はチャレンジした。5円玉、10円玉、100円玉……と鼻に順番に入れていったヒロさん。しかし500円玉だけはどうしても入らず、結果的に鼻が切れて失敗。血が出た瞬間、「入んないじゃん、マジ汚いんだけど。シャンパンも入れない!」と姫は激怒したそうだ。ホストクラブには女性客のストレス発散という一面がある。ここまで頑張っても、ヘルプには売り上げが一銭も入らないのだ。

「売り上げを上げているホストさんがいるおかげで、売れない僕たちはごはんを食べれてる状況ではあるので……」(ヒロさん)

社畜みたいな考え方だ。

ゲストの2人には、それぞれホストになった理由がある。

ヒロさんは地方で自動車の営業職に就いていたが、お客さんに贈る付属品を自腹を切ってサービスし続けたため、150万円の借金を抱えてしまった。いわゆる自爆営業だ。そこで借金を返すために始めたのがホストだった。

トモさんは、バツイチ子持ちだそう。それまでは地元・東北で会社員をしていたが会社都合でリストラに遭い、その後始めたアルバイトでは体のタトゥーがバレてクビに。彼は昼職がまったくうまくいかなかった。結果、経済的理由で25歳で離婚。しかし、養育費は払わなければならない。高校を中退しているトモさんが飛び込んだのは、学歴不問のホスト業界だった。若者の就職話は、いつも切実である。

ちなみに、トモさんが払う毎月の養育費は慰謝料込みで10万円。繰り返すが、彼の月収は10~12万円だ。月の寮費とヘアメイク代はあらかじめ引かれており、上記の金額は彼の手取り分。つまり、手取りをそのまま相手に渡しているのだ。養育費2万円でも滞る人は世の中にいっぱいいる。しかも、10万円といえば東出昌大が月に払う額の約3倍だ。トモさんはよくやっている。

トモさんは苦労人だ。小中高といじめに遭い、自殺未遂を考えたこともあった。親に「高校をやめたい」と打ち明けると父は激怒し、「出てけ!」と一喝された。彼は冬の氷点下の東北で、2カ月ホームレスとして生活した。

「あの頃に比べたら、今は布団もあるし暖かいし」(トモさん)

ホストにしてもキャバクラや風俗にしても、学費や起業資金を貯めるという真面目な理由で始める人は少なくない。確かに、勤め人より大金を手にする可能性はある。まあ、それもうまくいけばの話だが。ホスト歴3年のタクマさん(20代)は、大学生時代に学費が50万円足りなくなり、通常のアルバイトでは間に合わなかったためホスト業界に飛び込んだという。ホスト歴2年で年収3,500万円のショウさん(20代)は、介護施設の開業資金を稼ぐためにホストになったそうだ。

そういえば、『闇金ウシジマくん』には「ホストは、辞めてからの人生の方が長いンですよ」という印象的なセリフがある。

ホストにはホストならではの営業方法がある。1つ目はナンパだ。トモさんはホストクラブの営業終了後、深夜2~7時まで歌舞伎町を歩き回って女性たちに声をかけるという。1日のスケジュールに「ナンパ」がちゃんと組み込まれているのがすごい。

「ただ、僕はすごい人見知りなんで、ナンパがすごい苦手なんです。ホストを始めるまでナンパとかしたことなかったので……」(トモさん)

どうも、彼はホストに向いていない気がする。見てて気の毒に思えてくるのだ。

ホストのもう1つの営業方法は、マッチングアプリだ。

「これは“売れないホストあるある”なんですけど、やることがないときに携帯持って画面を見ずにひたすら右にスワイプしながら“イイね”し続けて。それでマッチすれば連絡が取れるので。死んだ魚の目で右スワイプしてますね」(トモさん)

知らないうちに、マッチングアプリで客引きする時代に突入していたらしい。確かに、アプリを見ると明らかに変な自撮りの男性がそこかしこにいる。というか“売れないホストあるある”が教育テレビで聞けるなんて、すごい時代が来たもんだ。

“売れないホスト”を自認する2人は、“売れているホスト”に対し忸怩たる思いを抱いている。

「ぶっちゃけ、ルックス・外見以外負けてないんじゃないかと。トーク力もお酒を飲む量もフットワークも。結局、ナンパもマッチングアプリもホスト業界も、やっぱ顔なのかなっていう……。顔だけで売れてる人を見ると、やっぱり『絶対、こいつには将来負けたくねえな』っていうのは正直思います。『いつか、絶対俺が使ってやろう』みたいな」(トモさん)

そうだろうか? ローランドにしろ城咲仁にしろ、顔だけでトップを維持しているホストはいない。どちらかというと、話術や相手を楽しませるテクでのし上がっている。自分が売れない原因を「顔」だと彼が認識し、それで手取りが12万円なら、これはもう救いがない。顔なんて変えられないのだからこれ以上仕事の景気が良くなることはないし、他の職に就いたほうがいい。

番組はトップホストに“客の心をつかむテクニック”を取材した。先ほども登場したショウさんは、ナンパの際に「この辺でカブトムシ食べれる店知ってますか?」と声をかけるという。そうすると、素通りしかけていた女性も振り返るそうだ。彼のナンパ成功率は1~2割である。凄腕ナンパ師のナンパ成功率は9%と言われているので、成功率2割はめちゃくちゃ高い。

4年連続No.1ホストに輝いたホスト歴7年のシュンさん(40代)は、“たまに見せる弱音”を武器にしている。

「自分が先にさらけ出す。ずっと弱音吐いてる人ってのはカッコ悪いけど、たまに見せる弱音って相手に響くと思うんですよ」(シュンさん)

例えば「病んだ」というLINEを一旦送っておいて、すぐに削除。そうしたら「どうしたの?」「大丈夫?」と相手は気にかけてくれ、その心配している気持ちで「顔見に行こうかな」とお店へ足を運んでくれるというのだ。

ホストの企業努力なんて初めて聞いた。すごい努力だ。ヒロさんとトモさんは、顔以外でもトップホストに負けていた。売れている人はコミュ力が強いし、恥ずかしいことだって平気でできる。やっぱり、顔だけじゃ売り上げにはつながらないのだ。

ヒロさんが持つ「姫」は計3人で、30代と50代と60代の女性。30代の女性は、彼の彼女だそうだ。お客さんを彼女にして貢いでもらう「本カノ営業」、略して「本営」と呼ばれる方法である。

「ホストの中でよくある営業方法なんで、彼女に愛情はないです」(ヒロさん)

はっきりと言い切ってしまった。全国にいるホストの彼女はこれを見て戦慄したか? それとも、女性もわかって付き合っているのだろうか?

「気持ちがないのは薄々、その子も気付いているんです。だけど付き合ってる歴が長くて、7年くらいになるので。ここ数年は『私たちってなんだろうね?』みたいな言葉がボソッと出たりとか」(ヒロさん)

本営に愛がないのは女性側も知っている。だけど、今まで費やした金額は大きいし、後戻りはもうできないという心境。女性の年齢を考えるとリリースしてあげるべきだが、こういう世界では仕方のないことなのか?

「その子からしても7年間で歳もとったので、なかなか今から別の恋をしようっていうわけにもいかないような感じですね」(ヒロさん)

一方、トモさんは「本営」に対して懐疑的だ。

「ホスト始めたての頃は試したこともあるんですけど、歌舞伎町では実際に刺されている人もいますし、大事件になるリスクと隣り合わせっていうこともあるので、終わりは綺麗にするべきだと思ってます」(トモさん)

ちなみに、ヒロさんは彼女設定のその女性を一度も抱いたことがないという。他のお客さんも抱いていない。それはヒロさんも同様だ。

「キャバクラとかで考えてもらうと、わかりやすいかもしれないですね。キャストの女の子にアフターで『ホテル行こうよ』と誘う方って結構いらっしゃると思うんですけど、うまく断って『もっとお金使ったらね』ってかわしたり。『1発行ったからもうあの人はいいや、次行こう』っていう子も、もちろんいるので」(トモさん)

抱けそうで抱けない距離感が大事。確かに、最もグッとくる関係性である。「なんとか抱けるかもしれない」という感情が財布の紐を緩める。抱いたら、もうそこでゴールだ。

トモさんはお客さんに飛ばれたことがある。コロナ前、彼には月に150万円使ってくれる姫がいた。しかし、コロナ初期に「今は手持ちがないから売り掛け(ツケ払い)でいい?」と言われ、了承するとそのまま彼女は行方をくらませた。被害金額は300万円。トモさんは逆にカモにされてしまった。そのお金は彼が2年かけて地道にお店に払い続け、返済は今も続いている。やっぱりこの人、ホストに向いていないと思う。

しかし、2人は今後もホストを続けるつもりだ。

「学生時代にパシリとか散々させられて、昼職もクビにされて、『自分は社会不適合者なのかな』って劣等感があったんですけど、社会に溶け込めない僕でも働かせてもらえる本当に居心地のいい場所だと思ってます。で、過去の自分とは別の自分になって、新しい青春じゃないですけど“第2の青春”みたいな」(トモさん)

「まだ、“歌舞伎町ドリーム”をつかんでないなと。初回のお客様をつかんだら人生変わるかもって。それこそ、キャリーバッグ引いて『何入ってるの?』って聞いたら札だけ入ってる子とか見てきましたし。そろそろ、その運がないことに気付かなきゃいけないんですけど」(ヒロさん)

正直、2人が売れなさそうなのは話しぶりだけで伝わってきた。売れないホストは、どこか辛気臭いのだ。売れているホストは、明るいオーラを身にまとっている。ホストクラブに行く女性は、どこかで「ハレ感」を求めているはず。顔が悪くて負のオーラ出す男を目当てにお金を出して飲みに行くなんて、それはもう罰ゲームである。

面白かったものの、全編暗い雰囲気が漂っていた今回の『ねほりんぱほりん』。こんなに救いがなかった回はめずらしい。あと、今後「俺、『ねほりんぱほりん』に出たよ」と嘘をつくホストが増えそうな気がしないでもない。

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