脳死した青年の“心臓”をめぐるみずみずしい命の物語。映画『あさがくるまえに』

脳死した青年の“心臓”をめぐるみずみずしい命の物語。映画『あさがくるまえに』

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  • 更新日:2017/09/18
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2014年に発売されたメイリス・ド・ケランガルの「ザ・ハート」というベストセラー小説を、フランスの気鋭の女性監督、カテル・キレヴェレが映画化した、あるひとつの心臓を取り巻く人々のドラマをご紹介。軸になるのは、ガールフレンドがまだ眠りの中にいるベッドを抜け出し、夜明け前の海に友人たちとサーフィンに出かけた青年シモン。帰路につく途中で交通事故に遭い、脳死と判定されてしまいます。突然愛する息子の悲劇に直面し、現実を受け入れることができないシモンの両親に突きつけられたのは、臓器を提供するかどうかの判断。その時間の猶予は刻一刻と迫っていました。一方で描かれるのが、ふたりの息子の母親であり、音楽家でもある50代のクレールのドラマ。病気を抱えている彼女は、心臓移植するしか生き延びる選択肢はないと告げられているものの、他人の命と引き換えに若くない自分が命を得ることの意味を自問自答する日々。そんな中、担当医からドナーが見つかったとの連絡が入ります。心臓移植という重いテーマを扱った、たった1日の間に起こる命のドラマですが、観終わったあとに受ける印象は決して湿っぽいものではなく、子供を愛する母親の深い愛や、難しい仕事を誠実にこなす移植コーディネーターのプロフェッショナルさ、生命力溢れる青年のみずみずしい青春が胸を打つ、多面的な魅力に溢れた物語に仕上がっています。特に金髪の美青年シモンの初々しい恋と青春はドラマティック! 突然命の終わりを迎えたシモンの躍動するエネルギッシュな青春を描くことで、どんな命にも愛し愛された人がいたこと、生きた歴史があったことを強烈に突きつけます。夜明け前の青い海やまっすぐに伸びる一本道、坂道を自転車で駆け上がるシモンの姿など、観終わった後も深く脳裏に焼きつくような、様々なメタファーをはらんだ美しい映像にもぜひ注目を! ロマン・ポランスキー監督の妻としても知られ、『毛皮のヴィーナス』などに出演するエマニュエル・セニエがシモンの母親を、『マイ・マザー』や『Mommy/マミー』など、グザヴィエ・ドラン監督作の常連であるアンヌ・ドルヴァルがクレールを演じるなど、ヨーロッパを代表する実力派キャストの演技も見応えありです。●9/16〜ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー(文/松山梢)© Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms

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