「僕に気がある」と思っていた女性部下を、自信満々で誘ったら...。待ち受けていた悲劇

「僕に気がある」と思っていた女性部下を、自信満々で誘ったら...。待ち受けていた悲劇

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  • 更新日:2021/02/27

あなたはもう、気づいている?

あの笑顔の裏に潜む、般若の顔。

『なんで、あんな女が彼と…』
『こんなにも彼に尽くしたのに…』

復讐なんて何の生産性もないってこと、頭ではわかっている。だけど…。

激しい怒りに突き動かされたとき、人はどこへ向かうのか。

これは、復讐することを決意した人間たちの物語。

◆前回のあらすじ

典子からの嫌がらせを受け、由香は復讐したのだが、図らずとも典子からの嫌がらせがきっかけとなり、槙斗と交際がスタート。5年後に結婚。

今回は、その槙斗が復讐を決意したときの、お話。

▶前回:「私の彼のこと、昔好きだったんだって?」女友達にそう語りかける27歳・女が企んでいること

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槙斗:「浮気。人はそれを、そう呼ぶらしい」

魅力的な女性が目の前に現れ、どうしようもなく惹かれてしまったら…。

もっと知りたい、触れたい、深い関係になりたい。そう思ってしまうのは、人間として、ごくごく自然な欲求だと思う。

例え自分にステディな相手がいたとしても、だ。

けれど、人はそれを“浮気”と呼ぶ。あまり褒められた行為でないということも、もちろんわかっている。いちいち反論するつもりもない。

だけど正直なところ、自然発生的に湧き上がったこの感情を、そして人生でそう頻繁に生じないこの神聖な気持ちを、そんな陳腐な言葉で片付けられたくはない。

たとえ刹那的であろうと、その瞬間は間違いなく目の前にいる女性を一番に思っているのだから。僕は一瞬一瞬を、本気で、とても誠実に生きているのだ。

…けれど、やはりそれを理解してくれない女性があまりにも多すぎる。

僕に妻がいるからという理由だけで、僕からの愛情を受け取ることを拒否するなんて…。

例えば、彼女。

由香の夫・槙斗を魅了する、ひとりの女…

「今日は随分と歩かせてしまったね、ヒール大丈夫?」

取引先からの帰り道。目黒駅に向かいながら権之助坂をあるきはじめた僕は、さりげなく彼女と立ち位置を代わり、道路側をあるく。

「いえ、全然大丈夫です!営業同行させてもらえて、勉強になります」

そう言いながら柔らかそうな質感の髪をかきあげたのは、最近うちの部署に配属されてきた田島 凜香(たじま・りんか)、25歳。

くっきりとした目鼻立ちと、すらっとした背丈。エキゾチックな雰囲気を持つ彼女からは、健康的な色気が匂いたつ。

3か月前、凜香が僕の部署へ配属されてきたとき、僕は一瞬で彼女から目が離せなくなった。そう、それはまさしく一目惚れだったと思う。

僕は今年で35歳、アラフォーと呼ばれる領域に足を踏みいれた。それでもなお、こんな瑞々しい感情をまだ味わえるのかと、どこか他人事のように感じたことをよく覚えている。

「田島さん、営業向いてそうだよね。目上の人から可愛がられる素質がありそう」

長い上り坂に、歩く速度は徐々にペースダウンする。時刻は18時過ぎ。辺りはすっかり陽が落ち、社内にいる時とは少し違う空気が僕たちを包む。

「えー、本当ですか?おしゃべりするのはすごく好きですけど、そう言ってもらえると嬉しいです!」

パっと笑顔になった彼女と視線が絡んだ瞬間、僕は確信した。彼女は女として、僕のことを求めている、と。

会話に色気がなくとも、そういう瞬間って、お互いに分かってしまうものだと思う。目と目が合うだけで、お互いの思いが通じてしまう、あの感覚。

彼女は白い息をはぁと吹きかけ、手をこすりながら温める。大人びた印象の彼女の可愛らしい仕草に思わず、その手に触れたいと、本能的にそう思った。

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僕はこの3か月、少しずつ彼女との距離を縮めてきた。

凜香はことあるごとに、仕事の相談を僕にしてくれる。ときおりランチを2人で食べに行ったり、たまにLINEのやりとりをしたり、1度だけ仕事帰りに飲みに行ったこともあった。

そして先日、ついに彼女がこんなことを口にしたのだ。

「槙斗さん、きっといい旦那さんなんでしょうね…」

ランチのパスタをくるくるとフォークで巻きながら、彼女は切なそうに漏らしたのだ。

少し俯きながら、寂しげにつぶやいた彼女のことが、その瞬間たまらなく愛おしくなってしまった。

彼女は由香のことも、僕が由香と結婚していることも知っている。同じ社内にいる由香の存在に、自分の感情のやり場のなさを心の中で嘆いていたのだろう。

そして今、坂道を歩く2人の間には、静かに甘い空気が流れている。

ここはもう、僕がリードするしかない、そう思った。

「お腹すいたね、軽く食事でもして帰ろうか?」
「…いいですね!」

僕は凜香に、想いを告げることにした。

既婚者・槙斗からのお誘い。凜香の反応やいかに…

軽く食事を済ませ、一杯だけ白ワインを飲み、僕は勝負に出た。男らしく、ストレートに。

「田島さん、いや、凜香ちゃん。もう、気づいているよね?」
「…えっ」
「僕は、君のことをすごくかわいいと思っている」
「…」
「単刀直入に言う、僕とお付き合いをしてほしい」

このとき、驚いた表情を作りながらも彼女の目がうるんでいたことに間違いはない。

それなのに、なぜ…。

彼女から返ってきた言葉は衝撃的なものだった。

「とても嬉しいです…。槙斗さんのこと、尊敬しています。でも、ごめんなさい、不倫はできません…」
「絶対にバレないよ。やり方はいくらでもある。由香との関係も、今後考え直すつもりだ」
「ごめんなさい…。でも、本当に不倫だけはちょっと…」
「どうしても?どうしても、ダメかな…?」

結局、彼女は「不倫はしたくない」の一点張りで、交渉は決裂してしまったのだ。

「わかった。不倫がこわくなくなったら、また声かけてよ」

僕は最後にそれだけ彼女に伝えたが、それから彼女とは距離ができてしまったことは言うまでもない。

…そして、その翌日のことだった。

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仕事が溜まっていた僕は、いつもより1時間早く出社した。コーヒーカップを手に、給湯室に向かって歩きはじめたとき、凜香の声が聞こえてきたのだ。

「てかさ、マジでありえないんだけど」

同期と話しているのだろう。普段より砕けた、若干ギャルっぽい喋り口調で彼女は続ける。

「槙斗さんに、不倫しよって言われた」
「え、まじ?どうすんの?」
「するわけないじゃん、あんなおっさん!」

心臓が、急激に冷えていく。僕はとっさに壁に身を寄せて、さらに会話に耳を凝らす。

「まあ、カッコイイおじさんではあるけど、…ないね。てか、なんて断ったの?」
「“不倫は”したくないって言った。あなたが無理です、っていうと角たつじゃん。同じ部署だしさ」
「うまいこと断ったね~。よくそんな咄嗟に思い付いたね」
「そしたらさ、不倫がバレない方法とか必死に説明されたの。不倫が嫌なんじゃなくて、私はあなたが無理なんですって、まじで言いそうになっちゃった」

あははと凜香の笑い声が給湯室から盛れ、廊下に響きわたる。コーヒーカップを持つ手には徐々に力が入り、なぜだか視界がぐにゃりと歪む。

それがショックと怒りのせいだと気づいたのは、数分ほど経ってからだった。

凜香と同僚の井戸端会議には花が咲きつづけている。すぐ近くに僕がいるなんて、きっと夢にも思わないのだろう。

僕は静かに、その場をあとにした。

僕は元々モテない男ではないし、仕事も結構できる方だ。あんな酷いことを言われる覚えはない。

確かに、彼女との年齢差はある。けれど、由香という美しい女性に夫として選ばれているという実績だってある。

これまでに感じたことのない屈辱に心を支配された僕は、その勢いで、とある人物に電話をかけていた。

「…もしもし。お久しぶりです。ちょっと頼みがありまして…」

僕はただ、自分の気持ちを純粋に伝えだたけなのに…。

『あ、もしもし槙斗くん、久しぶりじゃないか』

電話の相手の声を聴きながら、僕は、冷たい刃物のような復讐心を研ぎ澄ませていく。

僕のプライドをずたずたにした凜香を、…僕は絶対に許さない。

凜香:「身の程を知っていただきたい」

槙斗のぱっと見の印象は悪くなかった。

配属された部署は激務で、みんな自分の仕事に手一杯。そんな中、丁寧に仕事を教えてくれたことも、凄くありがたかった。

だけど、言ってもアラフォー。25歳という華の時代を謳歌している私と、恋愛市場において同じヒエラルキーに属しているとは思わないでいただきたい。

「いい旦那さんなんでしょうね」という言葉に、妙に機嫌をよくしていた。その言葉自体に嘘はないが、それはあくまで他人事としての感想。それを自分に置き換えて想像なんてしていないし、あくまで世間話。お世辞。社交辞令。

10年以上も社会人をやってきて、そんなこともわからないのだろうか。

私は彼との間に、一線を引いていたつもりだ。自分のちょっと遠いところに引いた一線を、彼は当たり前のように越えてきた。

仕事の先輩としては尊敬していたけれど、下衆な欲求をこちらに向けられたとたん、体中に鳥肌がたった。

ただただ、気持ち悪かった。

だけど、3か月後…。

まさか彼があんなことをしでかすとは思いもしなかった。少し彼を見くびっていたところがあったのは、…認めざるをえない。

▶前回:「私の彼のこと、昔好きだったんだって?」女友達にそう語りかける27歳・女が企んでいること

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槙斗が凜香に対して実行した、戦慄の復讐方法

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