
九州大と連携してカブトムシを活用した鶏用飼料の実証実験に取り組む嘉麻市の赤間幸弘市長(左)と同大大学院の紙谷准教授=同市で2023年9月19日午後2時13分、栗栖由喜撮影
福岡県嘉麻市は19日、昆虫を研究する九州大大学院農学研究院付属「昆虫科学・新産業創生研究センター」(福岡市)と連携し、廃校になった旧市立千手小学校を利用して鶏用飼料のカブトムシを養殖する実証実験を始めた。同市と同大は2022年8月、昆虫を活用した新産業で雇用を創出し、地域活性化を図るための連携協定を締結していた。
実証実験は事業費約7000万円で、25年3月までの3年間。14年に廃校になった同小の教室を使って23年度に約500匹から始め、24年度に5000匹、25年度に5万匹を飼育する予定。チップ化した竹やシイタケを栽培した後の廃菌床を混ぜた餌で育て、幼虫やさなぎを凍結乾燥して粉末状にしたものを飼料にする。
カブトムシはたんぱく質が豊富で栄養価が高く、飼育も光熱費がかからず低コストだという。23年度の実験では同市の地元住民3人が飼育管理業務を担い、将来的には餌の竹チップに同市の放置竹林の活用も模索している。
現在、鶏用飼料は海外からの輸入割合が高く、より安く安定的に供給できる地産地消型飼料の生産を目指す。同大大学院農学研究院の紙谷聡志准教授は「実用ベースで使える昆虫飼料を生産できるよう結果を出したい」と話した。【栗栖由喜】
毎日新聞