虎のソナタ プロ野球の開催は平和の象徴 広島で「ピースナイター」...見せましょう野球の力を

虎のソナタ プロ野球の開催は平和の象徴 広島で「ピースナイター」...見せましょう野球の力を

  • SANSPO.COM
  • 更新日:2022/08/06
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試合前、ベンチ前で円陣を組む阪神ナイン。アクシデントを乗り越えた!

(セ・リーグ、広島2-3阪神、16回戦、広島11勝3敗2分、5日、マツダ)シビれる試合だった。クライマックスは八回。ミスが絡んでの無死一、二塁の大ピンチ。1点差だ。

何とな~く頭をよぎったのは、球史に残るドラマ「江夏の21球」だった。1979年の日本シリーズ第7戦。1点リードの広島は九回裏無死満塁の大ピンチを迎える。マウンドには伝説のサウスポー江夏豊-。

ただ、みんな忘れがちなのだが、このドラマは無死満塁の大ピンチに江夏が出ていって抑えたわけではなく、無死満塁のピンチを招いたのは江夏自身だったのだ。味方のミスも絡んで。まあ、失礼な言い方をすれば〝自作自演〟。とはいえ、しのぎ切るところが素晴らしい。

昨夜の湯浅も、あの江夏のように、ミスもあっての無死一、二塁。手に汗握りながら見ていた。そこから、後続を断った。江夏と同じように。

ハイライトの1球が変化球ってところも、伝説の試合と一緒だ。

江夏の21球では、1死満塁から、スクイズを試みた打者に対して、江夏はカーブの握りでウエストして、空を切らせる。常識では考えられない技術だと、当時は言われた。

湯浅もカーブのように大きく曲がるスライダーだった。4番マクブルームに低めのフォークを見極められた。さあ、何を投げる? 自慢の真っすぐか? 伝家の宝刀フォークか? だが、選んだのはまさかのスライダー。空を切らせた。

このイニング、湯浅が投じたのは、江夏より2球多い「23球」。この圧巻の〝自作自演〟により、阪神は広島の熱い夜、大きく白星に近づいた。

シーズンが終わったときに「そういえば、湯浅の23球があったよな」と振り返れるような展開が、この先に待っていることを、心から願いたくなる試合だった。

本拠地・甲子園を高校野球に明け渡して、ビジター球場を転々とする虎の夏。「死のロード」と呼ばれた昔は、とにかく負けまくって、悲しき逸話が山ほど生まれたが、ことしは「奇跡のドラマ」に向かって驀進(ばくしん)する夏であってほしい。

「全く疲れていません。巨人戦はお休みだったので、休養十分で大阪から広島入りです」

「オフの過ごし方? どこにも行っていません。大阪の自室で過ごしておりました」

泰然自若のサブキャップ新里公章が陣頭指揮するわがサンスポの広島での取材部隊。

「広島市内の宿舎も、満杯になるのは分かっていましたから、事前に予約していましたからね」

そうなのだ。原爆が投下された街・広島は、毎年8月6日に平和祈念式典が行われる。全国から参列者が集まるため、前夜の5日は〝一年で一番ホテルの空き室がない日〟でもあるのだ。察知していた新里は用意周到なサブキャップへと成長しているようだ。

実は、きょう8月6日は、2011年に53年ぶりに試合が開催されるまで、広島では〝静かな夜〟が続いていた。ことしも「ピースナイター2022」として球音が響く。プロ野球の開催は、平和の象徴だ。

そして今、東北地方や北陸地方が豪雨による甚大な被害を受けている。被災された方を、少しでも励ますことができれば…。今こそ見せましょう、野球の力を。

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