約6千人の死者が想定される「都心南部直下地震」 庁内の専門家が連携し強靱な東京をつくる

約6千人の死者が想定される「都心南部直下地震」 庁内の専門家が連携し強靱な東京をつくる

  • AERA dot.
  • 更新日:2023/11/21
No image

都市強靱化プロジェクト 担当課長 清水在三智(しみず・ありみち)/1974年生まれ、東京都出身。大学卒業後10年間、民間企業で勤務後、2007年に入都。下水道局、主税局、港湾局、福祉保健局を経て政策企画局に配属(撮影/写真映像部・東川哲也)

全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2023年11月27日号には東京都政策企画局 計画調整部 都市強靱化プロジェクト 担当課長 清水在三智さんが登場した。

*  *  *

30年以内に7割の確率で起きるとされる首都直下地震。東京都内で最大規模の被害が想定されるのが、都心南部直下地震だ。震度6強以上の範囲は区部の約6割に広がり、死者は約6千人、建物被害は約19万4千棟に及ぶという。

東京に迫る危機は地震だけではない。近年頻発する風水害や感染症の流行──。こういった複数のリスクから都民の命と暮らしを守ろうと、東京都が取り組んでいるのが「TOKYO強靱(きょうじん)化プロジェクト」だ。各部局が個別に取り組んできた地震や風水害などの対策事業を気候変動など将来のリスクも見据えてレベルアップし、一つにまとめた。

プロジェクトには関係部局が目標に向け、同じ方向性で取り組むことで事業の実効性を高める狙いがある。多岐にわたる部局をまとめる担当課長として、調整役に徹する。

「各部局の職員たちはその道のスペシャリスト。彼らを下支えし、連携のための場をつくる役割を担いたい」

たとえば電線などを地下に埋める無電柱化は、地震対策にとどまらず風水害や火山の噴火時にも被害を減らせる。河川の堤防や海の防波堤は水だけでなく地震にも耐えるレベルにする必要がある。どちらも部局を超えた協力が欠かせない。

待ったなしの災害に備えて全体を見通し、遅れがあれば課題を探る。ただ、どの部局も限られた予算や人員でやりくりしていて、スケジュールはそれぞれだ。

「プロジェクトは早く進めたいが、無理な押し付けではだれもやる気が出ない。各部局の意見をしっかり聞き、こちらも本音で話す。部局はちがっても目指すゴールは同じという意識を持って、一緒に取り組んでもらうことに力を入れています」

元々は民間で技術者として働いていた。10年間勤務した後、「もっとダイレクトに多くの人の役に立つ仕事をしたい」と東京都の職員に転職。下水道局、港湾局、福祉保健局など幅広い部署で経験を重ね、プロジェクトの旗振り役を命じられた。

「関東大震災から今年で100年。東京都はこれまで以上に本腰を入れて覚悟を持って防災対策を進めます。災害に負けない強靱な東京をつくり、災害でつらい思いをする人が一人も出ないようにする。それが私たちの使命です」

(ライター・浴野朝香)

AERA2023年11月27日号

浴野朝香

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加