
広島テレビ放送
サミットでは前日に関係者を歓迎するレセプションが開かれました。日本文化を堪能してもらおうと会場に備えられたのは移動式の茶室。手がけたのは、日本とイギリスの大学生です。
■大場風太さん
「こうして、こことここをあわせる感じで…」
4月、広島工業大学で茶室の製作は大詰めを迎えていました。選んだのは紙の素材。茶室がサミットに関われるかもしれない…一報は2月の末に飛び込んできました。
■大場風太さん
「コトが大きくなりすぎて、とんでもないことになっているなと緊張しています。」
建築デザイン学科では、学びを深めようと2018年からイギリスの大学生とワークショップを続けてきました。去年9月、「Tea House」をテーマに、移動して使える茶室のデザインが考案されました。
グループごとに設計を練り上げ、決まったのが、茶室の素材に紙を使うということ。アイデアを考えた一人、大場風太さん。千葉県出身の大学3年生です。大場さんたちが発案したのは、木の土台に紙を立たせ、茶室の空間をつくるというものでした。
■大場風太さん
「茶室の躙り口(入り口)は 大体60センチから70センチぐらいなので低いので、それを試作でつくってみて立つかやったやつで」
「まだ試作なので 弱いんですけど 一応立つ予定です」
茶室の完成模型です。独特な形状を生み出すまでプログラミングによる緻密な計算を繰り返しました。
■大場風太さん
「こういうグラフとかを使って高さを変えたり、壁の枚数も変わったり、あとからデザインを変えることができるというのがこれでやる意味」
プログラミングで機械の動作を設定し、二枚の和紙が張り合わされていきます。移動式茶室、そのユニークな発想が形になりました。作業の進み具合はSNSでイギリス人のメンバーにも共有されました。
■大場風太さん
「(インスタで)最初に紙が立ったときに、立ったよみたいな感じで」「向こうの女性のメンバーが、おぉ~いいね!って感じで送ってくれて」
「みんな楽しみにしてくれているので良いものが作れたら」
サミットまで1週間あまり。茶室が姿をあらわしました。和紙の壁の高さや折り方の変化で季節の移ろいを表現しています。この日、茶室の製作に欠かせない人物が訪れていました。広島の茶道・上田宗箇流の若宗匠。学生たちの相談に乗って来た若宗匠の最終確認です。
■上田さん
「これできたら臭いがたたない塗料にしてほしいです。お茶とかお菓子をものすごい邪魔するんで、臭いで」
欠けていたのは、「使う側の視点」。大きな学びを得ました。
■大場風太さん
「ただ塗ればいいやと思ってたんですけど、使う人がいるから考えなきゃいけないことを勉強できた」
「日本の文化とか、広島のことも発信していけたら」
そして迎えたお披露目の日。レセプション会場で茶室は、一服のなごみの空間を演出していました。日本とイギリスの学生が現代の技術を駆使して伝える広島の伝統文化です。