妻へのモラハラをしていた男性が、その加害者心理を振り返る

妻へのモラハラをしていた男性が、その加害者心理を振り返る

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2021/07/21

―[モラハラ夫の反省文]―

【モラハラ夫の反省文】第一回

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モラハラ加害を自覚する男性が、その反省を元に加害者心理を振り返る

◆「喜んでくれないと許さない」それは優しさではなく、暴力である

「彼と会うときには、プレゼントされたアクセサリーをつけていかないと不機嫌になるんです。サプライズでくれるプレゼントも、自分の好みと明らかに違っても喜んだフリをしないといけなくて、周りから見るといい旦那と思われることも多くて。正直息苦しいです……」(ある女性相談者)

はじめまして。えいなかと申します。

僕は、GADHAというDV・モラハラ加害者のオンライン当事者団体を主宰しています。加害者の団体というと不穏な感じを受けますよね。そこでまず、団体と僕自身について説明させて下さい。

GADHAは、配偶者やパートナーに対しDV・モラハラなどの加害を行ってしまった方々が、自身の行いを反省し、愛と配慮のある関係を作ることのできる人間に変わるためのプログラムを提供したり、当事者会を行うコミュニティです。

僕自身もDV・モラハラ加害者です。そのせいでたくさんの人を傷つけ、仕事や家庭が破綻寸前になってようやく自身の加害行為、それを生み出す加害的な思考・価値観について省みるようになりました。

この連載では、僕自身の経験や当事者会での気づきを共有していきます。職場や家庭でモラハラに苦しんでいる方々、行ってしまっている方々の参考になれば幸いです。

◆鬱っぽい妻に、鬱を治す本を読むよう迫った僕

さて、当事者会で多くのDV・モラハラ加害者や被害者と話していると、驚くほど似たようなエピソードを聞くことになります。その中でも多いのが「感謝を強要する・されること」です。

僕自身も、DV・モラハラ加害者として同じようなことをやってきました。彼女が鬱っぽくて元気がなければ、鬱やパニック障害などの本を買ってきて「よかったら読んでみてよ」と勧めるのです。

それだけであればなんの問題もないでしょう。問題は、数日経っても彼女がその本に手をつけていないときです。

最初は「あれ、あんまり時間なかった? きっと役に立つから読んでみなよ」と言い、それでも読まなければ次第に「なんで読まないの? 君が元気ないと僕も元気なくなっちゃうんだから、ちゃんとその鬱っぽい状態を治せるように努力するべきじゃない?」。

最後には、「読まないんだったら要らないだろっ! せっかく買ってきてあげたのに、こんなもん捨ててやる!! 直す気がないなら離婚だ!!!」と絶叫しながらゴミ箱に捨てたことがあります。

ごく控えめに言っても、異常者です。

妻は鬱症状で仕事も休職している状態。意欲やモチベーションがわかず、じっとしているだけでも辛い時期なわけですから、勝手にヒートアップして、望む行動を取らなければキレるなんて……。こんな人間と一緒に生きていきたい人なんていません。

この連載ではたくさんの加害者の行動と、その類似例として自分の加害行動も書いていきますが、本当に妻には申し訳なく、償いきれない後悔をいつも感じています。

◆加害者は、自分のニーズのために行動している

一体、DV・モラハラ加害者はなぜこのような行動を取っているのでしょうか。プレゼントや親切に対して、なにか感謝やポジティブな感情などの「報いる行動」を期待し、それに応えないとキレるのはなぜなのでしょうか。

それは、加害者が自分のニーズを満たすために行動しているからなのです。

例えば「アクセサリーを贈ったのに付けてこないなんて失礼だ、返せ!」などと言う人は、相手が自分に感謝することを目的として行動しているのです。究極的には、相手が喜んでいるかどうかなんてどうでも良いのです。相手のニーズではなく、自分のニーズしかみていないのです。

もしも本当に相手のことを思って何かを贈るのならば、率直な感想をもらった方がいいのです。「そっか、あんまり好みじゃなかったかあ。他にはこんなのが候補だったんだけど、どういうのが好きかな?」と言える人なら、きっと次は相手が心から喜べるものを贈れるはずです。

しかしそんなことを実際に言ったときには「素直に喜べないなんて恩知らずなやつ。わがままで欲張りで見栄っ張りなお前みたいなやつはしょせん〜」などと怒り出すでしょう。

ここで卑劣なのは、加害者は自分のニーズが満たせなくて怒っていることを言わずに、あくまで「一般的に考えて」とか「普通はまず感謝でしょ」などと、自分のニーズとは関係のないことかのように話すことです。

◆「あなたのため」という言葉はただの支配欲求

これによって、私が間違っているのかなとか、自分がそれを我慢して喜んでいればよかったのかな、と被害者の方を苦しめるのです。そんなわけありません。相手が被害者のニーズを真に満たしたいなら、つまり被害者を愛しているなら、率直な感想を喜んで受け入れるはずです。そうすることで、次は被害者が心から喜んでもらえるのかもしれないのですから。

「ぼくは、わーすごい嬉しい、って喜んでアクセサリーをつけてきて、ありがとうねって何回も言われたかったのに、なんでそうしないんだ。ぼくの自尊心を満たせよ!」というのがあまりにも幼稚な欲望であることを本人もどこかで自覚しているのかもしれません。

だからこそ、一般論、常識、普通といった言葉を使って、自分のニーズを隠した上で相手を責め立てるのです。

先程の僕の例も同じことです。鬱っぽい妻に本を贈ることで「精神的な病に理解のあるオレ、すげー」というセルフイメージを満たすというニーズに基づいて行動していたのです。

妻は喜んで本を読み、あっという間に元気になり「えいなか(筆者)のおかげだよ、ありがとう!」と言うべきだったのです。さらに言うと「早く元気になって、妻は僕のケアをするべき」なのです。

驚くほどに、これらのニーズの中に一つとして妻のニーズはありません。すべて、僕の幼稚なニーズです。にも関わらず、僕は妻がこれらの行動をとる「べき」と考えていたのですから恐ろしい。

<被害者のためのDV・モラハラを見抜くポイント>

「君のために」という理由で行われる言動には気をつけてください。あなたのためにした行動に、あなたが喜ばないのなら、変わる必要があるのは相手の行動です。あなたは、あなたが喜ぶものに喜び、嫌だなと思うものに嫌がるのです。それは自然なことです。あなたを愛する人は、そのあなたの自然を尊重します。

<加害者のためのDV・モラハラを自覚するポイント>

この記事を読んで少しでもギクリとしたあなた。「XXしてやったのに」と攻撃したことはありませんか? 「別れるならこれまでお前のために使った金を全部返せ」などと要求したことはありませんか? それらは、あなたが愛と呼んでいるものが単に支配欲求である可能性を示しています。

<文/えいなか 写真/ぱくたそ

―[モラハラ夫の反省文]―

【えいなか】

DV・モラハラなどを行う「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。

ツイッター:えいなか

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