【公演ガイド】世界の名振付家作品に日本の俊英が挑む「International Choreography × Japanese Dancers ~舞踊の情熱~」はDDD@YOKOHAMA 2021の目玉!

【公演ガイド】世界の名振付家作品に日本の俊英が挑む「International Choreography × Japanese Dancers ~舞踊の情熱~」はDDD@YOKOHAMA 2021の目玉!

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  • 更新日:2021/09/15
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「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」が2021年8月28日(土)に開幕した。横浜市内全域で約200のオールジャンルのダンスプログラムを展開する。その中でも9月18日(土)神奈川県民ホールで行われる「International Choreography × Japanese Dancers ~舞踊の情熱~」(以下「舞踊の情熱」)は要注目だ。ここでは見どころをガイドしたい。

■近現代の世界の名作を日本のトップダンサーが踊る稀有な企画

2012年より3年に一度行われる日本最大級のダンスフェスティバルは4回目を迎えた。今回はコロナ禍のため海外からの招聘は難しくなった。必然的に日本のアーティストに焦点があたることになったが、こうした状況を前向きに捉えて生み出されるのが「舞踊の情熱」である。

「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」ディレクターの小林十市(元モーリス・ベジャール・バレエ団)、同ディレクター補佐で「舞踊の情熱」の構成・演出を務める山本康介(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ団)は、20世紀~21世紀の巨匠・名匠振付家のレパートリーを日本のトップダンサーが踊るというスペシャルな企画を立てたのだ。

近現代のバレエ、ダンスに革命をもたらしたのは20世紀初頭にバレエ・リュスを主宰したインプレサリオのセルゲイ・ディアギレフである。彼の下で不世出の舞踊家ヴァーツラフ・ニジンスキーらが活躍し、ジョージ・バランシンを始めとする傑出した振付家を生み出した。バレエ・リュス出身者が世界各地に活動を場を広げ、20世紀の舞踊を革新していったのだ。そして21世紀の現在、20世紀の遺産を受け継ぎながらバレエ、ダンスのスタイルは百花繚乱である。

そして今、日本のダンサーの層も厚くなっている。欧州、北米、ロシアを中心に著名バレエ団、ダンスカンパニーで活動する踊り手は枚挙にいとまがない。さらに国内にもレベルが高いバレエ団があり、名振付家の信頼が厚いカンパニーも存在する。

その2つの文脈を掛け合わせることにより、歴史的名作を日本に居ながらにして堪能できる貴重な機会が、このたびの「舞踊の情熱」なのである。

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「International Choreography × Japanese Dancers ~舞踊の情熱~」出演者

■ベジャール、プティ、フォーサイス、パイトらの至高の名作が続々と!

ベルリン国立バレエ団、ハンガリー国立バレエ団でプリンシパルを務めるなど欧州での実績十分な名プリマ中村祥子。中村が初めてモーリス・ベジャールのソロ作品に挑み、『椿姫のためのエチュード』を踊るのが話題だ。

ベジャールと並ぶ20世紀の巨匠ローラン・プティ振付『タイスの瞑想曲』は、マスネの甘美な名曲にのせて繰り広げられる名品で、東京バレエ団のプリンシパル上野水香と柄本弾が踊る。上野は晩年のプティに抜擢されミラノ・スカラ座で『ノートルダム・ド・パリ』全幕を踊った経験もある優れたプティ・バレリーナである。

東京バレエ団からは、ファーストソリストの池本祥真も出演し、ベジャール振付『M』を披露。これはベジャールが同バレエ団のために振付した『M』より Ⅳ-シ(死)が踊る金閣寺のソロと、同じくベジャールの『ザ・カブキ』の由良之助が踊るソロを合わせた構成だという。小林がベジャールに創ってもらい、彼しか踊っていない特別版を池本に伝授する。

20世紀の巨匠たちのマスター・ピースを一早く導入してきたスターダンサーズ・バレエ団は、ウィリアム・フォーサイス振付『ステップテクスト』を披露する。クラシック・バレエのパラダイムを脱構築したと称されるファーサイスの名作を、渡辺恭子、池田武志を中心とした4人の精鋭がエッジの利いたダンスで魅せるに違いない。

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スターダンサーズ・バレエ団『ステップテクスト』 (C)Kiyonori Hasegawa

英国バレエの先駆者フレデリック・アシュトンの『二羽の鳩』よりパ・ド・ドゥも上演される。英国バレエに通じた小林紀子バレエ・シアターのプリンシパル島添亮子とバーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル厚地康雄がつむぐ繊細なドラマを注視したい。

アシュトンの後継者的存在が、日本でも高い人気を誇るデヴィッド・ビントレー。今回は2018年に初演された『スパルタクス』よりパ・ド・ドゥを、ビントレーの薫陶を受けた佐久間奈緒(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)と厚地が日本初演するので楽しみだ。

21世紀の新しい作品も入っている。パリ・オペラ座バレエ団や英国ロイヤル・バレエ団にも振付するクリスタル・パイトの『A Picture of You Falling』よりである。出演はパイトのお膝元Kidd Pivotで踊る鳴海令那と日本人として初めて欧州の名門ネザーランド・ダンス・シアターで活躍した小㞍健太。エモーショナルで心の琴線に触れるダンスが立ち上がるだろう。

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小林紀子バレエ・シアター『二羽の鳩』 (C)Kenichi Tomohiro

■バレエの万華鏡、日本のダンサーが真の実力発揮へ!

バレエ、ダンスは西洋発のインターナショナルな舞台芸術。若手バレエダンサーの登竜門であるローザンヌ国際バレエコンクールやユース・アメリカ・グランプリの日本人受賞のニュースが大々的に報道されることからも分かるように、年を追うごとに日本の踊り手が躍進している。彼らがやがてプロとして飛翔し、世界の名作の真髄を直接振付家から学んだり、振付家の作品と精神を受け継ぐ団体などから認められたりしていることはより広く知られていい。その意味において「舞踊の情熱」は、日本ダンサーが真に世界のトップ水準にあることを体感できる好機だ。

そして、日本においてクラシック・バレエ人気が圧倒的に高い風潮にも一石を投じるのではないか。『白鳥の湖』を始めとする古典全幕には、時代を超えて受け継がれる奥深い魅力があるが、バレエのスタイルが多様化した現在、より幅広い作品に接することでダンスから採れる栄養素が広がり深まる。また近現代の名作のみで構成された「舞踊の情熱」は、よくあるガラ公演とは趣が違い、振付家の顔が見える名品を選抜した上でダンサーにも見せ場が配されている。

一粒で何度も美味しい、バレエの万華鏡のような公演。期待が高まるばかりだ。

【動画】Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021 ディレクター 小林十市 メッセージ

文=高橋森彦

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