高級ホテルやキャンピングカーが仕事場に。米国式「コミュニティ」が主流の暮らし方

高級ホテルやキャンピングカーが仕事場に。米国式「コミュニティ」が主流の暮らし方

  • bizSPA!フレッシュ
  • 更新日:2021/11/25

新型コロナ禍で世界中の人々の働き方が変わり、日本でも、場所にとらわれず、在宅勤務またはオフィス以外の場所で仕事ができる「リモートワーク」を採用する企業が目立っている。

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※画像はイメージです

テレワークしづらい日本の家事情と米国の「趣味と価値観」を共有する働き方の潮流について前編で触れたが、「デジタル時代で人との直接の結びつきが薄くなった人々の反動」というのは、コロナ禍で顕著に表れている。特に若者たちの「コロナ禍で自室にこもって勉強したり、仕事したりするのが寂しい」という声がソーシャルメディア(SNS)やメディアで多く上がっている。

「コミュニティ」がライフスタイルの主流に?

そんななか、米国では「コ・リビング」に限らず、前編でも触れた「コミュニティ」という言葉を使うビジネスが増えているのだ。

例えば「コミュニティ」を重視した「地元密着型カフェ」や「地元密着型ショップ」など、コーヒーや商品を客に販売するだけではなく、客と店、または地元の客同士が繋がれる空間を意識する店が増えている。つまり、情報交換をしたり、共通の趣味を一緒に楽しんだり、地域の経済を活性化することをめざしている。

具体的には、店内に地元アーティストの作品を展示したり、それらを販売したり、地元ミュージシャンによるライブを開催するという具合だ。

高級キャンピングカーを客室に利用したモーテル

「コミュニティ」をテーマにしたモーテル「Caravan Outpost(キャラバン・アウトポスト)」も登場している。L.A.近郊の山奥の街オーハイ(Ojai)にある同モーテルは、街の創造的なコミュニティを生かし、ローカルとの結びつきを大切にしている。

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キャラバン・アウトポスト、10台のエアストリームが客室になった個性的なモーテル

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アウトドアで食事やドリンクが楽しめる。隣の客と知り合うチャンスも

同モーテルのオリジナル商品をはじめ、地元に住むアーティストたちが作った商品などを販売するショップも併設。10台のエアストリーム(高級キャンピングカーのブランド)を客室に利用したユニークさも若者たちに受けている。共同オーナーのショーン・スチュワード(Shawn Steward)さんは「屋外に各客室が設置してあるので、コロナ禍でも安全。ビジネスは順調」という。

ホテルをアパートメントに?

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キャラバン・アウトポスト、自宅のアパートメントで過ごしている感覚も味わえるカジュアルさがいい

アパートメントの賃貸契約ができない人や家賃が払えない低所得者などが長期にわたって住む場所に、安ホテルやモーテルを選ぶという社会問題もある。

米国の場合、家やコンドミニアムやアパートメントを賃貸する場合、家主に「クレジットスコア」(クレジットカードの支払い状況を基に個人の信用度を数値化したもの)を審査される。スコアの数値によって家主は入居者を決め、賃貸契約を結ぶことが主流のため、クレジットスコアが低い人はアパートメントを借りることができない。

つまり、家賃滞納してアパートメントや家を追い出された人やクレジットスコアが低い人や低所得者や失業者は、住居の代わりに安ホテルやモーテルを住居にせざるを得ないのだ。

高級ホテルでリモートワークする人たちも

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フォーシーズンズ・ホテル・アンド・リゾーツのビバリーヒルズにある2軒のホテルのうちの1軒

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ダウンタウン・ロサンゼルスのビル群が見える客室

一方、日常の雑事から離れて非日常感が味わえる、豪華なホテル滞在を好み、ホテルを住居代わりにする人がコロナ禍で増えている。コロナ禍で旅行者が減ったため、ビジネス戦略として客室をアパートメントやコンドミニアムの代わりにするホテルも目立つ。前編でも、日本の帝国ホテルの事例を紹介した。

ホテルの「フォーシーズンズ・ホテルズ・アンド・リゾーツ(Four Seasons Hotels and Resorts)」の広報担当責任者、アンドリュー・ガロ―ロ(Andrew Galloro)さんは、こう説明する。

「コロナ禍で勤め先から遠く離れた場所に住んで仕事することが可能な人たちが増えたため、ホテル暮らしをする客(ホテル「フォーシーズンズ・ホテル・ロサンゼルス・アット・ビバリーヒルズ」など)が増加している。特にリゾート地を選ぶ客が目立つ」

前出のモーテル「キャラバン・アウトポスト」の共同オーナー、スチュワードさんは、ホテル経営コンサルタント会社「エージェンシー・オーハイ(Agency Ojai)」も経営し、ホテル経営者へアドバイスも行なっている。「大手の高級ホテルは、個人にアパートメントやコンドミニアムとして賃貸するよりも、各大手企業と提携して、リモートワークする社員たちを住人として迎えると儲かるだろう」とスチュワードさんは提案する。

ホテルが経営するコンドミニアムも登場!

L.A.では、ホテルの「フォーシーズンズ・ホテル・アンド・リゾーツ」が経営するホテル仕様コンドミニアム(日本のマンション)の「レフレクションズ・オブ・エルエー:フォーシーズンズ・レジデンセス(Reflections of LA : Four Seasons Residences)」が北米初として、2021年4月に誕生している。

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フォーシーズンズ・ホテル・ロサンゼルス・アット・ビバリーヒルズの向かいに今春誕生したばかりの同ホテル経営の12階建てコンドミニアム

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フォーシーズンズ経営のコンドミニアム。映画鑑賞ができるシアターラウンジもある

スポーツジムやスイミングプールをはじめ、バレーパーキングやコンシェルジュや専属シェフなど、ホテルと同様のサービスが受けられるコンドミニアムとなっている。

ホテルの「マリオット・ホテル(Marriott Hotel)」やホテルの「ザ・リッツ・カールトン((The Ritz-Carlton)」などでも同様のビジネスを行なっている。ホテル同様のサービスが付いたコンドミニアムは、富裕層のこれからの新しい暮らし方のトレンドとなりそうだ。

リゾート地で優雅にリモートワーク

最近、筆者は、高級ホテル「モンタージュホテル(Montage Hotel)」から「ホテルをアパートメントとして利用しませんか?」という広告メールを受け取った。

その広告を見てみると、「ロスカボス(Los Cabos)に住んでみませんか?」という。ハリウッドセレブのご用達リゾート地としても知られるメキシコ自治体のロスカボス。ここでリモートワークしながら暮らしてみないかというお誘いだ。

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筆者がメールで受け取った「モンタージュホテル」の広告

都会のホテル暮らしやホテル経営コンドミニアム暮らしとは違い、リゾート地で休暇気分を味わいながら、仕事と日常生活をこなす暮らし方。経済的に余裕があれば、これも新しいライフスタイルのひとつとしての選択肢となるだろう。

若者だけに限らず、映画『ノマドランド(Nomadland)』を真似て、バンやキャンピングカーで全米横断をしながら暮らす人々もコロナ禍で目立っている。前出の「ヒッピー・コミューン」も、L.A.近郊のスラブシティ(Slab City)や、「三角エコビレッジSAIHATE村」のように日本の熊本県県宇城市に共同生活の場(街)として現存している。

このように、コロナ禍でも楽しめるさまざまな暮らし方がある。日本の若者たちにとって「コ・リビング」や「ホテル暮らし」や「休暇先でのリモートワーク」が、新しい暮らし方として主流になるのかどうかは未知数だが、コロナ禍の今、自分の暮らし方を見直したり、新たな生活環境を考えたりすることは意義があるのではないか。

<TEXT/藤本庸子 Yoko Fujimoto>

【藤本庸子】

米国カリフォルニア州ロサンゼルス32年在住のフリーランスライター。雑誌「アンアン(anan)」「メンズクラブ(MEN'S CLUB)」などのライターを経て、米国へ移住。米国起業家向け雑誌トップの「Entrepreneur Magazine」にてスタッフライター、NHKラジオ第一放送「ラジオ深夜便」ワールドネットワークにてリポーターの経験も。現在、新聞、雑誌、ウエブサイト、ラジオ、テレビなど、さまざまな分野および媒体をこなす

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