「アオアシ」を見ればサッカーがもっとおもしろくなる!

「アオアシ」を見ればサッカーがもっとおもしろくなる!

  • ステラnet
  • 更新日:2022/11/25
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ⓒ小林有吾・小学館/「アオアシ」製作委員会

男子サッカーのワールドカップ、2022年カタール大会がいよいよ始まりました。4年に一度のビッグイベントに際して、NHKでは試合の中継はもちろん、ドキュメンタリーなどの関連番組が数多く放送されるようです。詳しくはこちらをご参照あれ。

1982年生まれの私は(前回のコラムに引き続き年齢を強調するのもなんですが)、ちょうど小学校のころJリーグが発足し、それと前後して沸き起こった空前のサッカーブームを通過しています。いわゆる「ドーハの悲劇」を、中継を通じてリアルタイムで目撃もしました。詳しい方に言わせるとまた違った風景が広がっているのかもしれませんが、あのころはとにかく、「日本のサッカー選手は世界で戦えない」と言われていたことを思い出します。フィジカル(体格)への意識が根本的に違う、戦術に対する感覚が違う……などなど、さまざまな理由を挙げながら。今の若い方からすると「何のこっちゃ?」という感じでしょうね、きっと。日本の選手たちは、当然のように世界で戦っていますもの。

そうした選手たちの活躍は、未来を見据え、しっかりと育成のための仕組みを作ってきた人たちの力によるのだろうな……と、アニメ「アオアシ」を見ていると思います。

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ⓒ小林有吾・小学館/「アオアシ」製作委員会

「アオアシ」は、「ユースチーム」と呼ばれるJリーグのクラブが高校生年代を育成するために設置した組織で活躍する選手たちを描いたサッカーアニメです。主人公は愛媛県の中学校で弱小サッカー部のエースとして活躍していた青井葦人(アシト)。技術は荒削り、体格にもさほど恵まれておらず、試合でもチームとして実績を残せなかったアシトですが、そのプレーにはある類まれな特徴がありました。

かつては自身も名選手として活躍し、今ではJリーグ有数のクラブ「東京シティ・エスペリオンFC」のユースチームで監督として育成を手がける福田達也は、周囲からはなかなか理解されづらいアシトの才能を見抜き、彼を育てようとします。

かくして始まったアシトの新たなサッカー人生ですが、ユースチームの入団試験に始まり、個人技術の圧倒的な不足、小学校のころから育成されてきた昇格組との意識の差、そして思いもよらぬ決断の局面など、さまざまな問題にぶつかります。そうした状況を、福田の義理の妹である一条花や、チームメイトの大友栄作、橘総一朗、冨樫慶司らの協力を得て乗り越えていく様子は、まさにスポーツものの「王道」です。興味深いのが、アシトのぶつかる問題にせよ、その解決にせよ、ロジカルに、現実的に描かれていることです。

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ⓒ小林有吾・小学館/「アオアシ」製作委員会

といっても、熱い精神論が描かれないわけではありません。作中でもしばしば語られるのですが、現実がロジック(理論)を超えていく瞬間がスポーツのおもしろさであり、ひいては人間のおもしろさ。そうしたスポーツものの醍(だい)醐(ご)味(み)の部分もたっぷりと描かれますが、しっかりとしたリサーチに基づく地に足のついた描写に説得力があるからこそ、その飛躍がおもしろくなるのです。

これは映像の魅力という点でも同様です。原作コミックがそもそもしっかりとしたリサーチを基に描かれているのですが、アニメでもサッカー監修のスタッフが立てられ、、リアルなサッカー描写のための制作体制が整えられています。いささか余談めきますが、優れた個人の能力を活かしつつ、それに頼るのではなく、集団戦としての仕組み(プリビジュアライゼーションという、アニメではあまり見られない役職がクレジットにあったりもします)を作り上げている点は、今作の内容とも符号しているようにも思えます。

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ⓒ小林有吾・小学館/「アオアシ」製作委員会

そうやって、ひとつひとつのサッカーの動作が的確に描かれているのは当然として、さらに試合中に選手と選手のあいだにどのようにスペースが空き、そこにどのようにボールが投げ込まれ、どのように選手が走り込むのか……といった、フォーメーションの描き方にも説得力があります。また、サッカー初心者(私もそうです)にも、見ていて何がどうすごいプレーなのかがわかりやすい。

今作を見ることで、おそらく、実際のサッカーの試合の見え方はグッと変わってくる気がします。アニメ単体でもおもしろいのですが(個人的には、スポーツ要素もですが、アシトと花の青春模様にもキュンキュンします。笑)、現実と重ね合わせることで、双方の魅力がさらに増していく。BS1でのアンコール放送と、ワールドカップの中継は、まさにそうした楽しみ方をする絶好の機会ではないでしょうか。ぜひセットでご堪能あれ。

前田久

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