【8月DAZN月間表彰】元日本代表と、若きドイツ人GKが対談 加入2か月で日本語習得も目覚ましい24歳の素顔

【8月DAZN月間表彰】元日本代表と、若きドイツ人GKが対談 加入2か月で日本語習得も目覚ましい24歳の素顔

  • THE ANSWER
  • 更新日:2021/09/15
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横浜FCのGKスベンド・ブローダーセン【写真:Getty Images】

8月のベストセーブは東京五輪代表のドイツ人GKのセーブを選出

スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表GKとして活躍した楢﨑正剛氏は8月の「月間ベストセーブ」に横浜FCのGKスベンド・ブローダーセンのプレーを選出。U-24ドイツ代表として、今夏の東京五輪にも参戦した24歳の若きGKが第26節のガンバ大阪戦で見せたプレーからドイツのGK事情にも話が飛んだ。(取材・構成=藤井雅彦)

◇ ◇ ◇

楢﨑正剛(以下、楢﨑)「ブローダーセン選手、はじめまして。今日は練習や試合に向けた準備で忙しい中、わざわざ時間を割いてくれてありがとうございます」

スベンド・ブローダーセン(以下、ブローダーセン)「楢﨑さん、はじめまして。今回は僕のセーブを選出していただき、本当にありがとうございます。とても光栄です」

楢﨑「ブローダーセン選手はチームメイトにどんな呼ばれ方をしていますか? ニックネームがあれば教えてください」

ブローダーセン「みんなには『ブロ』と呼ばれています。楢﨑さんもぜひ、そう呼んでください」

楢﨑「ではブロ選手、よろしくお願いします」

――楢﨑さんが8月の月間ベストセーブに選出したのは、8月25日の第26節・ガンバ大阪戦でのワンシーンです。2-1と横浜FCが1点リードで迎えた後半アディショナルタイム、左サイドからのクロスをDF三浦弦太選手がヘディングで合わせましたが、ブローダーセン選手のファインセーブで失点を免れました。

楢﨑「この試合は、結果的に1点追加して3-1で勝ったので2点差のゲームでした。ただ、この場面で失点していたら2-2になり、展開は大きく変わっていた可能性があります。勝ち点3どころか勝ち点1を獲得できていたかどうかも分かりません。残留争いをしているチームに勝ち点3をもたらしたという意味でも、とても大きな意味を持つセーブでした」

ブローダーセン「順位表を見ると確かに厳しい状況かもしれませんが、ただそればかりを意識していたら良いプレーはできないと思っています。自分が加入してからの約1か月でチームはすごく成長していると感じていますし、ポジティブなエネルギーを発しています。そういった良い部分がこのセーブや勝利につながったのではないでしょうか」

楢﨑「ポジティブな気持ちでプレーするのは選手にとってはとても大切ですよね。技術面の話をすると、この場面は精度の高いクロスを打点の高いヘディングで合わせられているので、GKとしては目線を移動させながらの難しい対応だったと思います」

ブローダーセン「試合映像の音声にも入っているのですが、クロスを上げようとしている選手に対して『上げさせるな!』という声が飛んでいて、そういったところから守備が始まっています。そしてゴール前でもDF陣が体を寄せることでフリーではシュートを打たせていません。もしフリーであればもっと際どいコースにシュートが飛んできていた可能性があるので、まずはDF陣に感謝したいです」

楢﨑「クロス対応の場合、ボールへのアプローチを促すことが大事ですし、同時にゴール前の状況も把握しなければいけません。その両方を同時に行うのはどうしても難しくて、さらに正しいポジションを取り、シュートポイントを見極めて、ダイビングのアクションを取る。わずか数秒の間にやるべきことがこれだけたくさんあるのに、ブロ選手はすべての動作を的確にこなしていました。GKとしてベースとなる部分を正確にできていることがレベルの高さを証明していますし、まずDFへ感謝を述べた謙虚な姿勢も僕は大好きです」

ブローダーセン「このシーンに限らずDFたちと連係して守られなければフリーでシュートを打たれてしまいますし、そうなったら枠を外してくれることを祈るしかなくなってしまいます。だから自分だけのセーブではありません。私以外の選手でも手が届いたシュートかもしれませんが、楢﨑さんが言われたようにポジショニングは常に意識してプレーしています」

楢﨑「DF陣との連係を高める上で、言葉はとても大事な要素だと思います。こうやって対談していてもブロ選手は日本語がとても上手ですよね。日本の文化に興味があるという話を聞きましたけど、日本語を勉強しているのですか?」

ブローダーセン「週2回は日本語のレッスンを行っています。ひらがなやカタカナはもう読むことができますし、最近は漢字も少しずつ勉強しています。日本人選手も英語を話せると思うのですが、恥ずかしさがあるかもしれません。それなら自分が日本語を学ぶべきだと感じて勉強しています。『右、左、前、後ろ、中を締めろ』といったシンプルな指示は日本語で行っています」

楢﨑「勉強熱心なところも素晴らしいですね。実はこのシーン以外にもいくつかブロ選手のセーブを候補に選んでいて、0-0の引き分けに終わったベガルタ仙台戦でのパフォーマンスも印象的でした」

ブローダーセン「ありがとうございます。仙台戦の日は雨が降っていて、ピッチコンディションとしても芝が少し長めでした。どことなく欧州に近い雰囲気があって、それでスムーズにプレーできたと思います」

楢﨑「残留争いをしているので勝ち点3が欲しいところだと思いますが、試合によっては勝ち点1を取ることが重要になる場合もあります。GKはシュートを決める立場ではないので、苦しい展開でも辛抱して勝ち点に結びつけるパフォーマンスはしっかり評価されてほしいと思います」

ドイツ人GKが見た現役時代の楢崎氏氏はオリバー・カーンに似てる?

――ブローダーセン選手は今夏、横浜FCに加入しました。ドイツと日本で練習環境に違いはありますか?

ブローダーセン「横浜FCでは夏の暑さを避けるために、午前中の早い時間のトレーニングを行っていました。ドイツでは遅い時間のトレーニングが多かったので、早起きに慣れていなくてちょっぴり眠かったです(苦笑)。スタッフの数はドイツのクラブよりも多くて、練習で使う用具や環境を整える点についてはプロフェショナルだなと感じています」

楢﨑「今、僕は指導者という立場なのですが、トレーニング内容について何か感じることや違いはありますか?」

ブローダーセン「ドイツと日本では異なる内容ももちろんありますが、新たな技術を吸収できるチャンスだと思っています。サッカーの質としては、僕がプレーしていたドイツ2部はフィジカルコンタクトが激しくて、パスをつないで崩すというよりもフィジカルが重要視されていました」

楢﨑「ブロ選手はまだ24歳と若いので、チームメイトの日本人GKたちから吸収することも多いのでは?」

ブローダーセン「チームメイトのGKはみんな基礎技術が高く、柔軟性や俊敏性といった部分で自分にないものを持っています。僕は体が硬いので、次の動作に移る際の足の運び方などはもっと学びたいと思います。反対に、彼らも自分から学ぶことがあると思いますし、お互いに切磋琢磨することで成長していきたいです」

――では最後に、この企画恒例の質問で締めさせていただきましょう。

楢﨑「日本では少し変わっている人間がGKを務めることが多いのですが、ドイツではいかがですか?」

ブローダーセン「ドイツでGKには『シュレッダー』というあだ名がついています。『相手を壊す』という意味で使われていて、少しだけクレイジーにならないと相手に向かって行ったり、ボールに突っ込んで行ったりすることはできませんよね(苦笑)」

楢﨑「それを聞いて安心しました。もはや世界共通なのかもしれません(笑)」

ブローダーセン「僕からも楢﨑さんに伝えたいことがあります。来日前から楢﨑さんのプレーをYouTubeで視聴していて、試合中に激しく叫んでいるシーンがありました。それがまるでオリバー・カーン選手にそっくりで。カーン選手は僕が一番尊敬しているプレーヤーなので、楢﨑さんのこともとても尊敬しています!」

楢﨑「カーン選手ほど叫んでいなかったと思うんだけどなぁ(苦笑)。そういえばカーン選手のいるドイツ代表と試合をしたことがあって、たしか0-3で負けた記憶があります。当時から日本とドイツの差が少しでも縮んでいればいいけど、まだまだ難しいと感じる部分も多いですよ」

ブローダーセン「でも日本でプレーしていて全体的なレベルの高さを感じていますし、僕自身も成長できている実感があります。満足したら成長が止まってしまうので、もっともっと成長していきたいです」

楢﨑「ブロ選手の向上心や野心は素晴らしいと感じました。今日は貴重な時間をありがとうございます。僕は引退してしまったのでピッチ上では会えないけれど、どこかで会って話せるのを楽しみにしています」

ブローダーセン 「こちらこそありがとうございました。もっと日本語を上達させて、楢﨑さんとコミュニケーションを取れるようにしておきます。これからも頑張ります!」

■楢﨑正剛

1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。2010年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。19年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任。21年からはJFAコーチとしても活躍している。(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

藤井 雅彦

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