<10>『テレビに出る人』になりたくて【その6】~その屈強なガタイの良さを前に、 完全に押し負けてしまった。~ | 新発田出身カサハラケントの 【コラムって何書けばいいんですか?】

<10>『テレビに出る人』になりたくて【その6】~その屈強なガタイの良さを前に、 完全に押し負けてしまった。~ | 新発田出身カサハラケントの 【コラムって何書けばいいんですか?】

  • 025 | ゼロニィゴ
  • 更新日:2022/06/23

これまで【完全非公開】だった、私、カサハラケントの俳優人生の裏側を赤裸々につづります。”いいとも!”出演した後日、突如Nさんからの呼び出し。「なんだろう・・・」恐る恐る待ち合わせのカフェに向かうといつもと様子の違うNさん。「まさか愛の告白をされるのではないか・・」そんな破茶滅茶な妄想をよそに、Nさんが差し出してきたのは、”オーディション雑誌”だった。「ケント、俳優を目指すために、この養成所の”俳優コース”で基礎を勉強するのよ」そうNさんに言われるが、演技未経験のカサハラ青年はそれに臆してしまい・・・Nさんの忠告を無視して”音楽コース”でオーディションを受けることになったが・・・そこからカサハラ青年の人生は大きく狂い始めるのであった。

前回までのあらすじ

”いいとも!”出演した後日、

突如、Nさんからの呼び出し。

「なんだろう・・・」

恐る恐る待ち合わせのカフェに向かうと
いつもと様子の違うNさん。

「まさか愛の告白をされるのではないか・・」

そんな破茶滅茶な妄想をよそに、
Nさんが差し出してきたのは、

”オーディション雑誌”。

そして、Nさんが指した先には
「某養成所 特待生オーディション」の文字が・・

「ケント、俳優を目指すために、
この養成所の”俳優コース”で基礎を勉強するのよ」

そうNさんに言われるが、
演技未経験のカサハラ青年はそれに臆してしまい・・・

Nさんの忠告を無視して”音楽コース”で
オーディションを受けることになったが・・・

そこからカサハラ青年の人生は、
大きく狂い始めるのであった。

※「某養成所 特待生オーディション」・・・
このオーディションは、養成所に入所するためのオーディションであり、合格者のみ入所が許される。
また、その中でも素質を認められた者は、”特待生”として、学費を大きく免除される特典を得ることができる。

僕は、「音楽コース」にチェックをいれた
エントリーシートを受付の方に手渡すと、

受付の方
「では、このシートをもって
奥の控室でオーディション開始まで少々お待ちください。」

と、控室へ案内された。

“いいとも!”の時は、
すぐ横でNさんがサポートしてくれたけど・・・
今日は僕ひとり。

『今回のオーディションは、完全に自分次第・・。
どんな結果になっても何も言い訳はできない。』

そう思うと、
控室に向かう足取りも、とても重く感じる。

この日の結果が今後の人生を左右するという
プレッシャーを全身で感じているようだった。

応援してくれるNさんの想い・・
そして、タカモンとあの日交わした約束を果たすため・・

僕は、拳をグッと握り、
控室の前までやってきた。すると

「こんにちは!オーディションへようこそ!」

入口の手前で、
ややテンション高めな、
笑顔の素敵な“ガタイのいい人”が迎えてくれた。


「こ、こんにちは!」

ガタイのいい人
「エントリーシートをお預かりしますねっ!」

僕は、その勢いに押されながらも
エントリーシートを渡した。

ガタイのいい人
「ふむ、カサハラケント君ね。よろしく!」


「よ、よろしくお願いします。」

ガタイのいい人
「えーと、カサハラ君は、“音楽コース”を希望ね。
そしたら審査で使うCD音源を用意して、空いている椅子に座ってお待ちくださいっ!」


「…は、はい、わかりました。」

控室の中には、すでに20人近くの参加者が
緊張した面持ちで椅子に座っている。

僕は空いている椅子に座る。 そして愕然とする。

「やべぇ、CD音源なんて用意してねぇ・・」

僕は、持参した“オーディション雑誌”の
募集要項を確認した。

「※音楽コースを希望する方は、
審査で歌うCD音源をご用意ください。」

「な、なんてこった・・・」

とてつもなく大事な部分を、
完全に見落としていた。

や・・やってしまった・・・

よく芸能界では
「礼儀正しく“ちゃんとした人”が生き残る」と聞く。

ましては、このオーディションは
芸能界を目指す夢追う者たちがつどう

「芸能養成所の入所」をかけたオーディション。

そのオーディションの審査の大前提には
「ちゃんとした人」という条件は間違いなく必須である。

そのオーディションの審査で必要な
『CD音源』を忘れてくるなんて・・・

『え?何しに来たの?』

『音楽コース受けるんだよね?』

『本気で目指す気ないんじゃない?』

と、僕が審査員の立場だったら
絶対に最低評価を下してしまう。

「な、なんてこった・・・」

少しでも合格する可能性を高めるために、
“俳優コース”から“音楽コース”に変えたのに・・・

これでは本末転倒だ。

このまま音楽コースで受けたら、
確実に不合格になってしまう。

「なんとかしなければ・・・」

僕は少しでもこのピンチを脱することができないかと
周りの様子を見渡した。

「・・・おや?」

何やら台本のようなものを持っている人がチラホラいる。

「あの台本って、
もしかして“俳優コース”の人が演技審査する台本・・?」

控室にいる何人かが、台本を覚えるためか
小声でぶつぶつセリフのようなものを口に出している。

「やっぱりそうだ!
俳優コースは演技審査の台本を渡されて、今セリフを覚えてるんだ。

ということは・・・」

僕は閃いた。

「今から”俳優コース”に変えれば、
このピンチを脱することができるかもしれない・・!

CD音源の用意を忘れるという致命的なミスを犯してしまった今、
合格の可能性が高いのは「俳優コース」となった。

ただ僕は、すでに
「音楽コース」でエントリーしてしまっている。

これはうまく言って
俳優コースに変更してもらうしかない。

ただ、注意すべきは、
「CD音源を忘れてしまった」と正直に話してはいけない。

「君の夢は、そんなにコロコロ変わってしまえるものなのか?
そんな人に養成所にくる資格はありません」

と、一発不合格にされてしまう
可能性もなきにしもあらずだから。

「ここは慎重にいこう・・・ よし、シナリオはこうだ」

ふわぁぁぁぁん
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「すみません、俳優コースの人って、あの台本を配られて、今覚えてるんですか?」

ガタイのいい人
「そうだよ。みんな今必死にセリフを覚えているんだよ」


「そうなんですね・・なんか俳優って素敵ですね。」

ガタイのいい人
「え?」


「なんて言うか、表に出るまでに裏で積み重ねる準備というか・・
ひとつのセリフを話すためにかける想いというのを、彼らの姿を見てとても感動して・・」

ガタイのいい人
「・・・もしかして、カサハラ君、俳優コースに興味をもったのかい?」


「いえ、そんな・・・もちろん音楽をやりたいんです!コロコロ自分の夢を変えたくないですし・・・でも、もしかしたら俺が本当に目指すべきなのは俳優の道なのかもしれない・・」

ガタイのいい人
「・・・・ええやないか。」


「え?」

ガタイのいい人
「君は、俳優コースを受けるべきや。」


「え・・・今からでも、変更できるんですか・・・?」

ガタイのいい人
「あぁ、こんな純粋な君の気持ちを聞いてしまったらなぁ。私の方でエントリー変更の手続きをしておくから安心しーや。」


「か、かたじけねぇです!」

ガタイのいい人
「はい、これが演技審査の台本になるから、しっかり読み込んで、オーディション本番に備えてなっ。」


「はっ、はい!!!」

ガタイのいい人
「頑張るんやで、カサハラ青年。」


「絶対に夢を掴みます!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ふわぁぁぁぁん

よっしゃ、このシナリオならいける。それどころか、この熱い気持ち伝えるだけで 無条件合格になるかもしれないぜ。

みなが台本のセリフを口ずさむ中、
僕は頭の中に描いたシナリオを口ずさみながら、

ガタイのいい人のもとへ向かった。


「すみません、俳優コースの人って、
あの台本を配られて、今覚えてるんですか?」

ガタイのいい人
「違うよっ!

募集要項にも案内していたけど、

あれは事前に送ってあった台本データを
各自が印刷して持ち込んでいるんだよ。

きっとみんな家で必死に覚えてきたんだろうけど、
直前までセリフの確認をしているんだね。

その姿勢、素敵だよねっ!」


「はい、素敵ですね。」

ガタイのいい人
「何か用ですか?」


「いいえ、何でもないです。ありがとうございます。」

終わった。

あの台本は、事前に配られていたものだった。

同じ土俵で勝負できるどころか、
もう勝負はついていたのだ・・・

同じオーディションルームに集まった、
同じ夢を追いかける仲間たちには、

「俳優になりたい」「歌手になりたい」
という明確な目標があった。

だからこそ、ちゃんと事前に準備して、練習して、
今日の大事なオーディションに臨んでいるのだ。

それに比べて僕は
「テレビに出る人になりたい」
という漠然とした夢しか持っていなかったから、

少しでも合格できる可能性が高い方を選ぼうと、
直前まで「俳優コース」にするか「音楽コースに」にするかだけを悩んでいて・・・

とても大切な部分が欠落していたのだ。
もう彼らとは、話にならないレベルの差だった。

「こんな気持ちのままオーディションを受けるのは失礼だな…」

僕は、オーディションを受けず帰ることにし、
こっそり控室を出た。すると・・

「待ちなさい!」

ガタイのいい人が声をかけてきた。

それもそうだ。

もうオーディションが始まるというところで
荷物をもって控室から去ろうとする参加者がいるのだから。


「あの、実は・・」

ガタイのいい人
「なんだい?トイレかい?!
もうオーディション始まっちゃうけど、我慢できない?!」


「いや、トイレじゃなくて・・」

ガタイ
「トイレじゃないの?!じゃあほら席に戻って!」


「いや・・」

ガタイ
「ハイハイっ!戻って戻って!!」


「あ、あぁぁぁ・・・」

僕は、強引に席に戻された。

その屈強なガタイの良さを前に、
完全に押し負けてしまった。

ガタイ
「では、みなさんお待たせしました!
これから”某養成所 特待生オーディション”を開始します!」


「あぁ・・始まってしまった・・」



ただ、このとき、僕はまだ知らなかった。

“ガタイのいい人の強引さに押し負けた”ことが

“人生を大きく左右させるキッカケ”になることを。

つづく・・・

P.S.

CD音源が必要だと聞いたときは、本当に「終わった~」愕然でした。笑
あれ以来、募集要項とか大事な書面を確認するときは、
ちゃんとすみずみまでチェックする癖がつきました。笑

次回、

CD音源がない中、
”音楽コース”のオーディションを受けることになったカサハラ青年。

「もうアカペラで歌うしかない・・」
そう決意し、何を歌うか決めようとガラケーで検索していたとき
まさに運命的な一曲と出会うのであった・・・

お楽しみに~!

カサハラケント

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