最低地上高のアップで悪路走破性が高まったレイバック
スバルのSUVラインナップに新たに加わった「レヴォーグ レイバック」。その見た目とネーミングから想像できるように、スポーティワゴンの「レヴォーグ」をベースとするクロスオーバーSUVです。
そんなレイバックとレヴォーグのどちらを選ぶべきか、悩む人も少なくないかもしれません。

レヴォーグよりも悪路走破性が高く、キャビンや走りの快適性も格上のスバル新型「レヴォーグ レイバック」
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間違いないのは、スポーティな走りを求めるのであればレヴォーグがいいということ。理由はふたつあります。
ひとつ目は、レヴォーグにはレイバックでは選べない2.4リッターターボエンジンが用意されていること。レイバックとレヴォーグの双方に設定される1.8リッターターボエンジンでも動力性能は十分ですが、よりパワフルな速さを求めるのであれば、レヴォーグだけの特権である2.4リッターターボエンジンがやはり魅力的です。
ふたつ目の理由は、レヴォーグの方がハンドリングのセッティングがスポーティであること。レイバックはソフトな味つけなのに対し、レヴォーグはキビキビとした反応を示してくれます。
レイバックもしっかり曲がりますし、安定感が高いのでふわふわとした感覚はありませんが、レヴォーグのようにキレのある走りを求めると物足りなさを覚えます。
一方、アウトドアレジャーを頻繁に楽しむようなユーザーは、やはりレイバックの方が相性はいいでしょう。レヴォーグに対して最低地上高が50mm高いので、荒れた路面でも走破性に優れ、安心感をもたらしてくれます。
レイバックの4WDシステムはレヴォーグのそれと同じで、スバルのSUVとしては例外的に、電子制御プログラムを切り替えて悪路走破性を高める“X-MODE”は備わっていませんが、それでも最低地上高のアップにより悪路走破性が高まっているのです。
雪道を走る際や、除雪された雪が積み上げられた路肩を乗り越える際などに、高められた最低地上高が大きなアドバンテージとなります。そのため、雪国に住む人やウインタースポーツを楽しむ人もレイバックがおすすめです。
●快適性でもアドバンテージがあるレイバック
その上で、レイバックは快適性においてもレヴォーグより格上です。
そのアドバンテージは、ドアを開けて車内に乗り込んでみるだけでも感じられます。レイバックは地面に対する着座位置がレヴォーグよりも高くなっているため、楽な姿勢で乗り降りできるのです。
例えば車内に乗り込む際、レヴォーグはシートに対して体が沈み込んでいく感覚ですが、レイバックはそこまで沈み込まないので体への負担が少なくて済みます。
ちなみにレイバックは、乗り降りをしやすくするためにフロントシートの座面形状をレヴォーグから変えています。左右のサポートを低くしたほか、ソフトにすることで乗降性を高めています。
そして走り出してからも、レイバックはレヴォーグより乗り心地がいいのが印象的です。サスペンションのストローク量が増え、よりしなやかに足を動かすことで、路面から伝わる衝撃をしっかり和らげてくれるのです。乗り心地を重視するなら、迷わずレイバックでしょう。
ただし、レイバックは全高が1570mmとなるため、ハイルーフ対応型ではない一般的な機械式立体駐車場には入庫できません。そのため、自分の行動範囲に機械式立体駐車場がある人は要注意です。
都会的なレイバックに対してアウトバックは野性的
ここからは、そんなレイバックを同じスバル製クロスオーバーSUVの上位モデル「レガシィ アウトバック」と比べてみましょう。

レヴォーグよりも悪路走破性が高く、キャビンや走りの快適性も格上のスバル新型「レヴォーグ レイバック」は「レガシィ アウトバック」よりも使い勝手が良好
まずボディサイズは、レイバックが全長4770mm、全幅1820mm、アウトバックが全長4870mm、全幅1875mmと、アウトバックの方がひと回り大きくなっています。アウトバックくらいにサイズになると、日本の都市部で乗るには気を使うが多くなります。この点においては、レイバックの方が優勢といえそうです。
一方、ラゲッジスペースやリアシートはアウトバックの方が広く、それらを重視するのならアウトバックの方が魅力的に映ります。
ちなみにエンジンは2モデルとも同じで、装備レベルもほぼ同じ内容です。
レイバックとアウトバックが根本的に異なるのは、両車のキャラクターかもしれません。ワイルドなアウトバックに対して、レイバックが目指したのは都会的なSUVなのです。
それは、13mm異なる最低地上高(アウトバックの213mmに対してレイバックは200mm)に始まり、駆動系の違い(アウトバックにはX-MODEがあるけれどレイバックにはない)、見た目のワイルドさ(アウトバックはレイバックよりも無塗装樹脂パーツの面積が大きい)などからも理解できます。
またハンドリングフィールも、レイバックはアウトバックほどおっとりとしていません。
都会的なレイバックに対してアウトバックは野性的。そうした性格の違いが2モデルの向き不向きを分ける部分といえるでしょう。
●SUBARU LEVORG LAYBACK
スバル レヴォーグ レイバック(プロトタイプ)
・全長:4770mm
・全幅:1820mm
・全高:1570mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1600kg
・エンジン形式:水平対向4気筒DOHCターボ
・排気量:1795cc
・変速機:CVT(リニアトロニック)
・最高出力:177ps/5200〜5600rpm
・最大トルク:300Nm/1600〜3600rpm
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)ダブルウイッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ベンチレーテッドディスク
・タイヤ:(前)225/55R18、(後)225/55R18
工藤貴宏