密着取材!鉄道乗務員を目指す岩倉高校「運輸科」の学生たち

密着取材!鉄道乗務員を目指す岩倉高校「運輸科」の学生たち

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/14

「いつの日か自分も鉄道の乗務員に」。そんな夢に心を躍らせる高校生が集まる高校が東京・上野にある。上野駅入谷口の目の前にある「岩倉高等学校」。この学校は通常の高等学校の科目だけでなく、鉄道に関する専門的な知識を学ぶことが出来る「運輸科」が存在する学校なのだ。今回はそんな運輸科に通う1人の生徒と1人の教師に密着し、岩倉高等学校の日常をご紹介しよう。

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651系シミュレーターに座る今回の主人公の六反くん

今回密着取材をお願いしたのは3年生の六反建志くん。実は彼は親元を離れ、富山県から1人上京。「出身地である富山県を走る鉄道の運転士になるのが夢」と地元の高校ではなく、寮生活をしながらでも岩倉高等学校への進学する道を選んだ。「地元の高校に魅力をあまり感じられなかったので、夢を叶えるため岩倉に来ました。この選択には親も応援してくれました。ただ、途中であきらめるのはダメだよ、と言われましたが(笑)。寮生活は食事は出ますが、それ以外は全部自分でやらなきゃいけない。最初は大変でしたが今はもう慣れました。先輩から進路などのアドバイスももらえたり、毎日が楽しいですよ」と六反くんは語る。

さて、六反くんと共に岩倉高等学校の校内に入ってみよう。岩倉高等学校は普通科も4コースあるが、それとは別に六反くんが通う「運輸科」が存在する。運輸科は通常の高校の授業に加えて、鉄道の制度や歴史、メカニズムを学ぶ「鉄道概論」、鉄道と密接な関係がある旅行業を学ぶ授業(国家資格である旅行業務取扱管理者を習得することも可能)や、昨今鉄道の現場で重視されているサービス介助について学ぶ「ホスピタリティ」などのカリキュラムがある。そして3年生になると「運転業務」という授業が行われる。そのため、高校卒業後に鉄道会社への就職を希望する生徒が多数を占め、実際にJRや大手私鉄に多くの就職者を輩出している。

この日、六反くんは「運転業務」の授業がある日。同校の中でも非常に特徴的な鉄道実習室に入ると「ここは高校なの!?」と目を疑う光景が! この教室、なんと実際の鉄道車両を模した運転シミュレーターが2台(他教室にもう1台ある)に、ホーム施設といった本格的な鉄道施設が完備されている。生徒は3つのグループに分かれ、この教室での実習、他教室のシミュレーターを使った実習、座学と各々で鉄道の現場で必要とされている知識を学んでいく。

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シミュレーターが並ぶ運転実習室

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2014年度から岩倉高等学校は共学化。運輸科にも女子がいる

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大日方樹先生の指導の下、運転シミュレーターで学習する六反くん

ここで六反くんがシミュレーターの運転席に座る。マスコンと呼ばれる、車両の加速とブレーキをコントロールするハンドルを手前に引くと、目の前のモニターがゆっくりと前進する。「この条件ではここに気を付けて」。隣から先生の指導が入る。今回、密着取材をお願いしている大日方樹先生だ。大日方先生自身もこの岩倉出身者。高校卒業後、大学進学を経て相模鉄道に就職。実際に運転士として乗務した経験を持つ教師だ。現場を知るだけに生徒からの信頼も厚い。「多くの出身者が鉄道の現場で働いているのが当校の特徴です。実際に鉄道会社に就職しても岩倉の先輩後輩の関係がすぐに作れるのもいいかもしれません。私が担当している『運転業務』の授業は、シミュレーターを使うことから確かに生徒に人気が高い。ただ、これはゲームなどの遊びではなく授業。ここはかなり厳しく区別させています。例えば、お客さまの乗降扉の開閉であれば、一歩ずれて奥まで見通してからスイッチを操作することを教えます。そうすることでより安全にドア操作が行えます。また、乗務員用の扉は指を挟みやすく、注意が必要。これらは言葉で説明するよりシミュレーターで体感するほうが具体的にわかります。ここで失敗してもお客さまがけがをすることはありませんが、将来生徒が現場に出たときにはお客さまの命を預かるわけです。そのことを忘れずに授業に臨むよう指導しています。お客さまの安全確保と同時にやはり教え子に事故を起こしてほしくないですから」とかつて実際に乗客の命を預かっていた先生が語る。

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今はシミュレーターだが、いつかはこの手が多くの乗客の命を預かることになるだろう

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シミュレーターを使い「体感する」学びを行うのが狙いだ

「運輸科のカリキュラムはこのほかにもきっぷの運賃計算や旅行業務を取り扱う上でのルールを学ぶ座学もある。一般の高校ではこのような授業はまずないので、就職後に有利ですね。最近ではやはり車いすの取り扱いなども重点的に教えています。車いすもただ押せばいいだけじゃない。お客さまの立場に立って快適に、そしてなによりも、安全に鉄道を利用していただくために、気を付けなければいけない事を教えています。」(大日方先生)。ただ、刻一刻と変わる鉄道業界。先生自身もその流れについていかないといけませんね、と尋ねると「そこで自身も学ぶ時間を大事にしています。就職指導も担当しているので、鉄道会社さんとの交流は日常的に行っています。また、鉄道業界に限らず異業種の方との交流も積極的にしています。生徒に、より今の社会で求められることを教えないといけないので」と真剣な表情で教えてくれた。またそんな先生も六反くん同様に岩倉時代には1人暮らしをして学校に通っていたそうだ。

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ドアのメカニズムを学ぶ。将来、乗務員になるためには様々な知識が欠かせない

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車いすの押し方、注意の払い方、配慮すべき点など現代の現場事情を鑑みたカリキュラム

さて、六反くんの昼休みをのぞいてみよう。岩倉高等学校には食堂もあるがこの日はコンビニで買ってきた昼食を取っていた。同じ夢を持つ同志、3年間通じて友人との絆も深まる。六反くんに限らず、校内を歩くと気づくことがある。それは生徒がとにかくきちんと「挨拶」をしてくれること。大日方先生に聞くと「挨拶はコミュニケーションの基本。仕事をお互いに気持ちよくするためにも大切なので」と教えてくれた。校内にはグラウンドこそないが(西東京に専用グラウンドがある)、屋上に自由に使えるスペースがある。また、体育館や部活動で使うトレーニングルームなどもある。そしてちょっとユニークなのが図書室だ。なんとなく想像はできるけど……やはり鉄道関係の書籍のバリエーションは豊富だ!

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もうすぐ卒業。みんな次の舞台での活躍が楽しみだ

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昼休みには自由に使える屋上スペース

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さすが運輸科がある学校! 鉄道関連書籍は大充実!

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鉄道資料室には鉄道模型がたくさん!

午後の六反くんの授業は「鉄道概論」。教室で行われる座学だ。この授業では鉄道が動くメカニズムをあらゆる面から学ぶ。「運転する上では重要な知識なので……」と真剣に聞いているようすだが、難しい知識もあり苦戦することもあるよう。

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岩倉高等学校オリジナルの教科書。鉄道の基礎知識が満載

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座学も必須授業。3年間真剣に取り組んできたそうだ

放課後にはかつて所属していた鉄道模型部を案内してくれた。六反くんは3年生なのですでに引退しており、部活動は後輩たちに引き継がれている。岩倉の鉄道模型部は全国高等学校鉄道模型コンテストで最優秀賞受賞経験も持つ本格派。校外の様々なイベントともコラボしているのも特徴だ。このあたりは顧問である先ほどの大日方先生の人脈が活用されているようだ。「外部の方とイベントを進めたり、一般のお客さまをご案内するという機会も重要な学びです」と先生が語る。

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レイアウト(ジオラマ)を制作する鉄道模型部。校外イベントでの評価も高い

この日は17時過ぎに下校。通常であれば8時頃に登校して18時頃に下校するそうだ。六反くんが住む寮は東京メトロ東西線の葛西駅のそばにある。かつては岩倉専用の寮があったが、現在では他校の生徒と共に暮らす寮を使用している。

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富山から単身やってきて過ごす寮の部屋。念願叶い、もうすぐ夢の現場へ旅立つ

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厳選して持ってきたという六反くんの宝物

部屋はコンパクトながら1人部屋。お風呂やトイレ、食堂は共用だ。六反くんの部屋にお邪魔すると勉強机の後ろに鉄道雑誌やグッズが置かれた本棚があった。「これだけは実家から持ってこようと思って」と地元北陸を走っていた列車のグッズを見せてくれた。この部屋で六反くんは地元富山を走る鉄道の運転士になることを夢見て日々を過ごしてきた。そして「春からは富山県を走るあいの風とやま鉄道に就職することになりました。まずは駅員からですがいつか運転士になる日を目指して頑張ります」と六反くん。夢の入り口に立った彼の姿が印象的だった。

岩倉高等学校運輸科の受験、高校生活について最後に大日方先生は「中学校の基礎的な勉強を疎かにせず、高校を卒業するときにどんなことをしたいという夢や目標を、今のうちから言えるようにしておくことが大事かと思います。目的なく勉強するより、将来何をするという目的を持って勉強し、夢や希望を周りの人に伝えることで実現に一歩近づくかはずです。入学後の生活ですが、日々の勉強をしっかりやっていればなにも問題はないです。あとはいかに熱意をもって何事にも積極的に取り組めるかですね」と一言。未来の鉄道を背負う学生たちは今日も夢の実現を目指し勉学に励む。

岩倉高等学校
〒110-0005 東京都台東区上野7-8-8
Tel: 03-3841-3086
資料請求等は公式HPhttps://www.tky-iwakura-h.ed.jp/より

取材・文/村上悠太

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