「エネルギーマネジメントのデジタル化に取り組む」シュナイダーCEO

「エネルギーマネジメントのデジタル化に取り組む」シュナイダーCEO

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  • 更新日:2017/10/12

仏シュナイダーエレクトリックが9月下旬、香港で開催したプライベートカンファレンス「Innovation Summit 2017」。中国/香港を中心としたAPACの15カ国から、およそ1000人の同社顧客、パートナーらが参加した。

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9月25日、26日に香港で開催されたシュナイダーエレクトリックの「Innovation Summit 2017」

シュナイダーは、ビルディングと住宅/データセンター/インダストリー(工場やプラントなど)/インフラストラクチャ(社会インフラ)という4つの事業領域において、エネルギーマネジメントの製品やソフトウェアを提供している。そして今回のカンファレンスにおいては、IoTデータをエネルギー効率化に活用していくための道筋が道筋が強調された。

前回のレポート記事で紹介したデータセンター向けソリューション「EcoStruxure IT」もその一部だが、今回はもう少し広い視野から、シュナイダーが考えるエネルギー効率化について、その中でのEcoStruxureの位置付けについて見てみたい。

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基調講演に登壇したシュナイダーエレクトリック 会長兼CEOのジャン-パスカル・トリコワ(Jean-Pascal Tricoire)氏

「パワーマネジメントのデジタル化」を推進しなければならない理由

近年、シュナイダーが掲げているコーポレートビジョンが「Life is On」というものだ。この“ライフ(生活)をオンにする”という言葉の意味について、同社会長兼CEOのジャン-パスカル・トリコワ氏は次のように説明する。

「われわれシュナイダーは『ライフをオンに』していく。これは、あらゆる場所、あらゆる人、あらゆる瞬間に、エネルギーがオンに(利用可能に)なるようにしていくということだ。生活(ライフ)とエネルギーを、安全で、信頼性があり、効率的に利用できるものにすること、さらにサステイナブルで、20世紀よりもより良い環境にしていくということ」(トリコワ氏)

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シュナイダーの掲げるビジョン「Life is On」

そのために今、シュナイダーがなすべきことが「パワー(電力の)エコノミクスをデジタル化する」ことだと、トリコワ氏は説明する。「顧客のパワーマネジメント(電力管理)をデジタル化(Digitization)していくことで、もっと効率化していかなければならない」。

その背景には、世界が直面するエネルギー課題がある。IEA(国際エネルギー機関)と同社の予測によると、2050年のエネルギー消費量は2009年比で1.5倍に増大する(加えて言えば、電力消費量はその2倍のペースで増大する)。一方で、世界の気候変動を抑えるために、二酸化炭素排出量は現在の2分の1に削減する必要がある。「つまり、エネルギー効率を現在の3倍程度に向上させなければならない」(トリコワ氏)。

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2050年に向けて、エネルギー消費量は現在の1.5倍になり、一方でCO2は半分に削減する必要がある

エネルギー効率を「3倍」に向上するという目標は、決して容易に達成できるものではない。少なくとも、過去の取り組みの延長では実現が難しいだろう。しかしトリコワ氏は、「新しい解決策(ソリューション)を、テクノロジーによって打ち立てていくことができる時代だ」と述べ、将来的には実現可能であることを示唆する。そのための“武器”となるテクノロジーのひとつが「再生エネルギー」であり、もうひとつが「デジタル化」だ。シュナイダーは発電分野には事業展開していないため、後者のデジタル化が取り組みの中心となる。

IoTデータ、アナリティクス、オペレーションの自動化が鍵を握る

それでは、エネルギー効率の最適化を実現する“パワーマネジメントのデジタル化”とは、具体的にどういうことを指しているのだろうか。

トリコワ氏は、IoT化によるデータ収集とアナリティクス、さらにITとOT(Operational Technology)の融合に基づくオペレーションの自動化が鍵を握ると説明する。つまり、ビルや工場、データセンター、送電網(パワーグリッド)などから大量のIoTデータを収集/可視化/分析可能にすることで、それらを運用する人間に対し効率的なエネルギー活用を促すと同時に、このデータに基づく自動オペレーションを通じてエネルギーの浪費を防ぐというものだ。

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IoTによってエネルギー消費に関するデータを収集、分析して、それをオペレーションの自動化に活用することでエネルギー効率化を実現していく

シュナイダーによると、現在でもビルディング領域ではおよそ80%、インダストリー領域でもおよそ50%のエネルギー消費が、まだ効率化の取り組みがなされていない“余地”だという。つまり、ここの効率化を図ることができれば、大きな効果が期待できる。

さらにトリコワ氏は、エネルギーマネジメントにおけるIoT導入はまっさらの状態から始める必要はなく、「すでに持っているモノ」を正しく活用していくことで実現しうることを示した。たとえばビルの管理システム(BMS)、製造業のFAシステム、データセンターの電源装置、さまざまなインフラを制御するSCADAなど、すでにほとんどの企業では、多くのモノが「つながって」いるからだ。ただし現状では、これらのモノは個別のシステムとして運用されており、データ統合はなされておらず、全体最適化が実現できる状態ではない。

「現状では、こうしたモノ(つながっているモノ)から収集されるデータの95%ほどは活用されていないと考えている。IoTによって、皆さんがすでに持っているモノ、データをさらに活用できるようにすることで、エネルギー効率化の可能性が生まれる」(トリコワ氏)

EcoStruxureは「ビジネスソリューション」を提供する

こうした発想から、シュナイダーは、サードパーティ製品を含む既存のモノ(センサー、デバイス、制御機器など)を接続し、それらをデータソース化として、データ活用アプリケーション/ソリューションを構築可能にする「EcoStruxureプラットフォーム」を展開している。

EcoStruxureプラットフォームの詳細は前回記事を参照いただきたいが、端的に言えば「あらゆるモノが接続でき、それらをオープンなデータソースとして活用可能にする」ことを狙ったIoTプラットフォームだ。このプラットフォームを共通基盤として「EcoStruxure IT」など6つのソリューションが提供されている。加えて、この基盤を通じて、サードパーティのアプリケーションにデータを提供することも可能だ。

トリコワ氏は、EcoStruxureプラットフォームを通じたデジタル化/データ分析によって、エネルギーとプロセスの効率化だけでなく、リモート監視/制御、アセットマネジメント、エネルギー消費の予測やパフォーマンスのベンチマーク、予防保全/プランニングなど幅広いソリューションが実現可能であると説明する。当然、膨大なIoTデータを機械学習やAI(人工知能)に活用する方向性も考えられる。

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トリコワ氏は、IoT/デジタル化を通じて生まれる「新たな価値」を強調した

EcoStruxureプラットフォームは、データソースとなるモノ(IoTデバイス)のレイヤー、デバイスの制御を行うエッジコントロールレイヤー、アナリティクスや各種アプリケーションのレイヤーという3層でアーキテクチャが構成されている。エッジコントロールレイヤーを備えることで、処理遅延がなく可用性の高い機器制御を実現するとともに、アナリティクスやアプリケーションのレイヤーをどこにでも(パブリッククラウド上でも)配置可能な柔軟さを持ち合わせている。

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EcoStruxureのアーキテクチャはIoTデバイス、エッジコントロール、アナリティクス&アプリケーションの3層で構成される

トリコワ氏は、EcoStruxureでは、単なる現場向けの監視/管理製品ではなく、「ビジネスソリューション」を提供することが狙いだと強調した。

「EcoStruxureは、シュナイダーの(各領域向け個別ソリューションの)アーキテクチャを統合したものだ。これにより、皆さんに完全なビジネスソリューションを提供する」「10年前のシュナイダーは“モノ”(製品)を売っていたが、デジタル化の進展によってソリューション販売へと進化している」(トリコワ氏)

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シュナイダーエレクトリック

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