羽生の10日間安静怪我の背景に真・4回転時代のリスク

羽生の10日間安静怪我の背景に真・4回転時代のリスク

  • THE PAGE
  • 更新日:2017/11/14
No image

羽生の右足首の怪我は10日間の安静を余儀なくされる重症。その背景には4回転時代のリスクが(写真:松尾/アフロスポーツ)

ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(22、全日空)が、右足関節外側靱帯損傷のため先のNHK杯を欠場した。9日に行われた公式練習で今季からプログラムに組み込んでいる難度の高い4回転ルッツの着氷に失敗。右足首をねじるようにして痛めた。

12日、羽生は日本スケート連盟を通じて「10日間は絶対安静と医師から言われました。その後3~4週間で元に戻るとみておりますが、まだ、あくまでも予定でございます。何とか全日本までに間に合うよう治療・リハビリに努力いたします」とコメントを発表した。
12月21日からの全日本選手権での復帰を目指しているというが、もし間に合わなくとも、代表選考基準には、実績のある選手が怪我や病気で欠場した際の救済措置が設けられていて、羽生の落選はまずあり得ないだろう。

しかし、今回、怪我を起こした背景には、真・4回転時代が抱えている問題点がある。羽生の今後の復帰への調整も含めて消えない故障リスクだ。
現役時代に4回転ジャンパーの元祖的存在でもあった中庭健介氏は、新しい4回転時代がもたらすリスクをこう説明した。

「僕の時代は、まだ今のような4回転に種類のない時代でしたが、それでも体への負担があまりに大きく腰を痛めました。個人差はありますが、腰、膝、足首に負担がかかります。4回転ジャンプは、極端に跳ぶ高さが高くなるわけではありませんが、回転力を増さねば跳べません。そうなると、必然、回転するだけでなく回転を止めるという動きが必要になるため、腰をこれまで以上にひねる、ねじるという動きが生まれ、それに伴い膝、そして右足で踏み切り、右足で着氷するわけですから右足首への負荷が非常に増大するのです。しかも、現代は、多種類の時代となり、羽生選手や宇野選手は4種類以上の4回転ジャンプに取り組んでいます。それだけ練習量は増え、複雑な動きに対応するため肉体への負担が増すことになります。アクシデント的な怪我だけでなく、慢性的な故障に発展するリスクが生まれます」

中庭氏の説明によると、多種類の4回転時代になり、それらの技術習得のため、練習量が増し、そこでの肉体へのダメージが増えているという。ただ、各陣営はコンディションを維持するため4回転の練習量には制限を加えているともいうが、曲を流しプログラムを通しで行う試合想定のトレーニングでは、4回転の成否がポイントになるため、集中して行うことで、怪我を負う可能性があるという。

「4回転ジャンプに耐えうる肉体作りが必須となり、オフアイスのトレーニングが見直され重要視されています。また故障のリスクを減らすためのランディング技術の向上も重要です。世界レベルで4回転ジャンパーは肉体強化に取り組んでいますが、いざシーズンが始まり、しかも、過酷といえるほどタイトなスケジュールで競技会が続きますから、コンディションを維持することは大変で怪我のリスクは減らないのです」

実際、羽生も、一昨年、練習中に右足首をねんざして約2週間休んだ。今年9月には右膝も痛めている。4回転の申し子と言われているボーヤン・ジー(20、中国)は、昨シーズンは故障と付き合いながらの戦いとなり満足のいく結果を残せなかった。5種類の4回転を操るネイサン・チェン(18、米国)も故障で1年間を棒にふった過去があり、なおさら肉体強化と、そのケアには神経質になっているという。それでも疲労が蓄積すると、4回転の成功の精度が落ちて、羽生のように故障につながるリスクが増す。

「羽生選手は、今季初めて取り組んだルッツで怪我をしてしまったので、またやってしまうのではないか、という精神的な不安が残る可能性があります。しかし、プログラムに複数の4回転を組み込まないことには五輪では勝てません。そのためには4回転を跳ぶための万全な状態にコンディションを仕上げて五輪を迎えなければなりません。体のどこかに不安があれば、それが演技のミスにつながります。羽生選手だけでなく、平昌五輪まで、体調とフィジカルのコンディションをベストの状態に仕上げることが勝敗を分けるのではないでしょうか」(中庭氏)
つまりコンディション調整とリスク回避の上手い選手がメダルに近づくのだ。
一方で、羽生の怪我は、タイトなスケジュールを回避できるメリットがあるのではないか、という「怪我の功名説」も流れている。だが、「試合勘が鈍る」という不安も残る。
派手に見える真・4回転時代の背景に潜むに怪我のリスクに、各選手はどう対策を練るのか。平昌五輪に向けて、目に見えない、もうひとつの戦いが始まっている。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

フィギュアスケートカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
宇野 ジャンプの技術面を問題視「跳べる気がしなかった」
宇野昌磨 GPファイナルへ「正常に戻りたい」 2位も“異常”だった仏杯から帰国
羽生結弦を「ケガ欠場」まで追い詰めたメディアの罪
三原舞依4位、白岩優奈6位 フランス杯
三原舞依「何で会えないかな...」振付師“行方不明”
  • このエントリーをはてなブックマークに追加