(RED)10周年にAppleが大々的キャンペーン、見えてきたエイズの脅威の克服

(RED)10周年にAppleが大々的キャンペーン、見えてきたエイズの脅威の克服

  • マイナビニュース
  • 更新日:2016/12/01

●Appleストアが赤く染まる「世界エイズデー」

エイズの蔓延は終わらせられる。

これは根拠のない希望ではない。今はまだ「終結できるかもしれない」という状況だが、もし世界中の人たちが共にその可能性を目指したら「終結できる」に変わる。エイズは、かつてのように死に直結した疾病ではない。エピデミックを抑えられる可能性が見えてきた。それを実現するために重要なのは、エイズの脅威は克服できるという意識を世界中の人々が共有すること、エイズの現状について知ることが、これまで以上に重要になっている。

12月1日は「世界エイズデー」だ。WHO(世界保健機関)が定めるグローバルヘルスキャンペーンの1つであり、エイズの蔓延防止と感染者に対する差別や偏見の解消を目的に世界規模で様々なキャンペーンが行われる。2016年のテーマは「Hands up for #HIVprevention」である。エイズに関する啓発活動が重要になる中、(RED)の活動を積極的にサポートしてきたAppleが、今年は数多くのパートナーと共に例年以上に大々的なキャンペーンを展開する。

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「iPhone 7 Smart Battery Case」

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「iPhone SEレザーケース」

Appleの(RED)サポートと言えば、売上の一部を「世界エイズ・結核・マラリア対策基金 (グローバルファンド)」に寄付する(PRODUCT)REDだが、新たに対象製品に「iPhone 7 Smart Battery Case」と「iPhone SEレザーケース」が加わった。iPhone 7やiPhone SEのユーザーもアクセサリ購入を通じて(RED)の活動を支援できる。また、傘下のBeats by Dreがオーバーヘッド型のワイヤレスヘッドフォン「Beats Solo3 Wireless」とBluetoothスピーカー「Beats Pill+」の(PRODUCT)REDモデルの販売を開始した。

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「Beats Solo3 Wireless」

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「Beats Pill+」

App Storeでは、ゲームのアプリ内課金の売上を寄付するApps for (RED)が行われている。大小様々なゲームメーカー10社が、以下の20の人気ゲームで(RED)コンテンツを用意している。

Kabam:「MARVEL Contest of Champions」

King:「Candy Crush Jelly Saga」「Farm Heroes Saga」

EA: 「FarmVille: Tropic Escape」「SimCity BuildIt」「Plants vs. Zombies Heroes」

Outerminds:「PewDiePie’s Tuber Simulator」

Pocket Gems:「Episode」「War Dragons」

Rovio:「Angry Birds 2」「Angry Birds POP!」

Scopely:「YAHTZEE With Buddies」

Seriously:「In Best Fiends」「Best Fiends Forever」

Supercell:「Boom Beach」「Clash Royale」「Clash of Clans」「Hay Day」

Zynga:「CSR2」「FarmVille: Tropic Escape」

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2014年以来のApps for (RED)

これらの他、米国のiTunes Storeでは、The Killersのホリデーアルバム「Don't Waste Your Wishes」が寄付の対象になる。

キャンペーン期間中、世界中の400店を超えるApple Storeのロゴが(RED)のシンボルカラーである赤に変わる。Appleは、Apple.com、Apple Store、またはApple Storeアプリで、Apple Payを用いた買い物ごとに1ドルを寄付する(100万ドルまで)。Bank of Americaも同社が発行したカードを用いたApple Payの買い物ごとに1ドルを寄付する(100万ドルまで)。

(RED)はU2のボノと活動家/ジャーナリストのボビー・シュライバー氏によって2006年に組織された。その年の10月にAppleは「iPod nano (PRODUCT)RED Special Edition」を発売、同社は立ち上げから(RED)に関わってきた企業の1つである。

今年、(RED)の活動開始から10周年である。エイズの流行終結というような目標の達成こそが(RED)の節目であり、10年という数字はさほど重要ではないが、(RED)の活動が10年目を迎えてサポーターが増え続けているという事実は特筆に値する。というのも、パートナー企業の製品やサービスの売上から寄付を得るという(RED)の活動は、それまでの慈善活動の常識を覆すようなもので、慈善活動にコマーシャリズムを持ち込んだと、特に初期の頃は強く批判されることがあった。

そうした批判を覚悟でボノは(RED)を立ち上げた。当時、ボノは(RED)の活動を「フィランソロピー(慈善活動)ではなく、コマーシャルベンチャーである」と断言、その活動を「ハードコマース(hard commerce)」と表現した。「フィランソロピーは人々が手を取り合うヒッピー音楽のようなものだ。(RED)はもっとパンクやロック、ヒップホップに近い。ハードコマースと感じられるようなものになるべきだ」(Bono bets on Red to battle Aids)。(RED)は人々や社会が抱える問題を解決するという目的のために、従来の常識を覆すことも厭わない、革新的で、創造的な活動である。

音楽を売るという点で、ロックやヒップホップもコマーシャルな活動である。だが、その音楽がメッセージとなって人々に伝わり、ムーブメントを起こし、社会を変え、私たちが抱える大きな問題を解決する。音楽がコマーシャルな役割でしかなかったらムーブメントは広がらないし、優れたメッセージも伝わっていかなければ変化を起こせない。ロックやヒップホップにおいて、人々を楽しませる音楽が果たす役割は大きい。

(RED)に協力する企業が、単に製品やサービスの売上の一部を寄付するだけなら、それはただ音楽を提供していることと変わらない。(RED)への協力には、作品を作るようなクリエイティビティや姿勢が問われる。

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スティーブ・ジョブズ氏がCEOだった時代のAppleは慈善活動には全く関心を示さなかった。そのAppleが(RED)をサポートした理由としてジョブズ氏とボノの友人関係が指摘されているが、(RED)の基盤にある反骨精神はAppleに根づく企業文化の一つでもある

(RED)製品に用いられる赤は、エイズに関する運動のシンボルである「赤いリボン」を思わせる。エイズに苦しむ人々への理解と支援の意思を示すシンボルであり、(RED)製品を選択することは、エイズに関して偏見を持っていない、エイズとともに生きる人々を差別しないというメッセージになる。だからこそ、(RED)製品を購入する人はサポーターとして製品の選択にこだわる。

(RED)の活動を通じたグローバルファンドへの寄付金の累計は3億6,500万ドルを超えた。その約1/3に相当する約1億2,000万ドルにAppleは貢献している。数多くの企業が(RED)に協力する中でAppleの成果が突出しているのは、初期から参加しているとか、宣伝に力を入れいるといった理由だけでは説明できない。デザインに優れ、持ち歩いてアピールしたくなる(PRODUCT)RED製品を用意しているからではないだろうか。今回、Apps for REDに参加したRovioのヴィルヘルム・タフト氏は、REDキャンペーンに対するユーザーの期待は「高い」と述べていた。ただ赤いコンテンツを用意するだけでは、ユーザーは満足しない。ユーザーを驚かせたり、楽しませるコンテンツやアイディアを用意することで、ユーザーも企業の取り組みを認めてより深く製品と関わるようになり、それが慈善活動への貢献につながる。

日本国内では配信されていないが、米国のiTunes Storeでは(RED)の活動を追ったドキュメンタリー作品「The Lazarus Effect」を無料でダウンロードできる。メガホンはランス・バングス監督、プロデューサーにはスパイク・ジョーンズ氏が名を連ねる。(RED)の活動について知りたい人にお勧めの1本だ。その中に、エイズで子どもを失い、自分もエイズに侵されながら、エイズであることを隠さずにカウンセラーとして活動する女性が登場する。

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iTunes Storeで無料配信されている「The Lazarus Effect」

エイズを完全に治療することは難しい。しかし、抗レトロウイルス剤を服用する治療によって、HIVに感染しても発病を防止でき、長く生きられるようになった。妊娠中の女性が治療を受けることで、母子感染の可能性も大きく減少する。かつて1人あたり年間10,000ドルもかかっていた治療コストは、年間約100ドルにまで下がっている。1日に30セントもかからないのだ。抗レトロウイルス剤の提供に加えて、HIV検査や感染者が正しい治療を受けるためのカウンセリングも重要になる。そうした環境を整えることで、2020年には母子感染の問題から子供たちを解放できる可能性が見えてくる。それが(RED)の目標である。そんなエイズフリー世代を実現できれば、2030年までにエイズの脅威を克服するという夢も現実味を帯びてくる。

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